2026年10月23日(金)は、十三夜です。同じ日の夕方6時38分には、二十四節気の霜降を迎えます。秋の名月をもう一度眺める夜と、霜が降り始めるころとされる日が、今年は同じ日に重なりました。

霜降とはいっても、実際に霜が降りる時期は地域でかなり違います。気象庁の平年値(1991〜2020年)で霜の初日を見ると、札幌は10月25日で、ちょうど霜降のころ。仙台は11月14日、大阪は12月10日、東京は12月23日で、東京ではおよそ2か月あとです。

十三夜のほうには「豆名月」という別名があります。月に供えてきたのは枝豆、つまり熟す前の大豆です。

十五夜の次は、十三夜

十三夜は、旧暦9月13日の夜の月です。中秋の名月(十五夜)を「前の月」と呼ぶのに対して「後の月」、二つを合わせて「二夜の月」とも呼ばれます。国立天文台によると、この風習は日本独自のもので、延喜19年(919年)に寛平法皇が催した月見の宴が始まりとされています。

十三夜の月は、満月になることがありません。満月の少し手前の月で、今年の満月は3日後の10月26日です。

栗名月、豆名月

十三夜に供えたのは、枝豆だけではありません。食べ頃になった栗も供え、「栗名月」とも呼んで祝っていました。十五夜に里芋を供えて「芋名月」と呼んだのと同じです。

栗が収穫したあとの貯蔵で甘くなる話は、「栗の甘さは、収穫後にも育ちます」で書きました。

若い大豆と、熟した大豆

枝豆と大豆は同じ豆ですが、食品成分表では載っている場所が別で、枝豆(だいずの未熟種子)は野菜類、熟した大豆は豆類に入っています。

同じ豆が、若いうちと熟してからでどれほど違うのか。どちらもゆでたもので比べてみます。

ゆでた枝豆と大豆の主な成分(可食部100g当たり・枝豆はさやを除いた豆)
成分枝豆(ゆで)大豆(国産・ゆで)
たんぱく質11.5g14.8g
脂質6.1g9.8g
食物繊維総量4.6g8.5g
β-カロテン当量290µg3µg
ビタミンK33µg7µg
葉酸260µg41µg
ビタミンC15mgTr

熟した大豆のほうが、たんぱく質も脂質も食物繊維も多くなります。反対に、β-カロテン、ビタミンK、葉酸、ビタミンCは枝豆のほうが多く、β-カロテン当量では100倍近い開きがあります。熟した大豆のビタミンCは、成分表では「Tr」です。これは、含まれてはいるものの、1mg単位では数字にならないほどわずかという意味で、100gあたり0.5mg未満にあたります。枝豆の15mgとは、30倍以上の開きです。

十三夜のころの枝豆

枝豆がいちばん多く出回るのは夏です。農畜産業振興機構によると、東京都中央卸売市場では6〜9月は群馬・埼玉・千葉産が中心で、入荷は8月がピークです。そのあと10月にかけては秋田・山形・新潟産が入り、11月以降は大きく減ります。十三夜のある10月は、北の産地の枝豆が東京に届く時期にあたります。

生の枝豆が手に入らなければ、冷凍の枝豆もあります。食品成分表によると、冷凍のえだまめは大部分が輸入品で、ビタミンCは100gあたり27mgと、生のえだまめと同じ値です。生の枝豆をゆでると、ビタミンCは27mgから15mgに減ります。

十三夜の膳に、団子と枝豆

月見に供える団子にも、土地ごとの形があります。静岡県の中部から西部、おもに富士川より西では、十五夜や十三夜に「へそもち」を供えてきました。上新粉の団子を平たく丸め、真ん中をへそのようにくぼませて蒸したもので、くぼみにあんこをのせて食べます。必ずその年の新米で作るものとされ、昔は12個、閏年には13個を、新藁の束の上にのせて供えました。月見の日には、子どもたちが家々を回り、縁側に供えたもちをもらい歩く風習も広く見られたといいます。いまは学校給食の行事食にもなっています。

枝豆は、すりつぶして砂糖を加えれば、あんになります。長野県の諏訪や上伊那では、ゆでた枝豆をすり鉢ですり、砂糖と塩を加えた「のた」を半搗きのごはんにかけて「のたもち」と呼び、盆や月見、彼岸に作ってきました。宮城県では、枝豆で作るあんを餅にからめた「ずんだ餅」があります。ずんだ餅は、以前は枝豆が出回る7〜9月だけのものでしたが、いまは冷凍の技術が進んだことなどで、一年中食べられるようになりました。

このあんは、成分表にもずんだあんとして載っています。配合は、ゆでた枝豆250に砂糖145、食塩1で、あんの6割あまりが枝豆です。ビタミンCは100gあたり(8)mgで、括弧は成分表の推定値を表します。熟した大豆ではTrだったビタミンCが、枝豆のあんには数字で残っています。

新米の団子、食べ頃の栗、熟す前の豆。十三夜に供えてきたのは、もとはどれも、その秋にとれたものでした。今年の十三夜は霜降の夜でもあり、平年なら、その2日後には札幌で初霜が降ります。

※参考資料

以下の公開資料をもとにNutriMapが構成・執筆しました。