著者の所属・活動拠点の国は、中国です。
掲載誌:Metabolites
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
筋肉内の脂肪と肉質への影響を調べる
研究チームは、チベット羊の飼料にルーメン保護型ベタインを加えることで、筋肉内の脂肪の蓄積や肉質がどう変わるかを調べました。筋肉内の脂肪は肉の食感などを左右する重要な要素ですが、この添加物による影響は十分に分かっていませんでした。ルーメン保護型とは、反すう動物の第一胃で分解されにくいよう加工したものです。
実験では、生後3か月の雄のチベット羊60頭を無作為に30頭ずつの2群に分けました。一方には基本の飼料を、もう一方には保護型ベタインを0.08%加えた飼料を90日間与え、筋肉の状態や脂質の組成、肉質などを比較しました。
脂肪細胞や肉の硬さに見られた変化
添加群では、筋肉内の脂肪細胞の面積と直径が大きくなり、細胞の密度は低くなりました。また、背中の筋肉では筋線維の密度が高くなり、肉を切断するのに必要な力、加熱時に失われる水分などの割合、硬さ、かみごたえの指標が低下しました。これらはいずれも統計的に有意な変化として報告されています。
筋肉内では、酸化を抑える総合的な能力を示す指標と、抗酸化酵素SODの活性が上昇しました。一方、脂質の酸化の指標となるMDAの量は減少しました。脂肪酸の分析では、不飽和脂肪酸のうちC14:1、C17:1、C22:4が有意に増加しました。
肉質の変化に関わる仕組みの手がかり
研究チームは、遺伝子の働きと脂質の組成も幅広く分析しました。その結果、細胞膜などを構成するグリセロリン脂質の代謝に関わる遺伝子の働きや、いくつかの脂質の量に変化が見られました。
著者らは、保護型ベタインの添加が筋肉内の脂肪蓄積の増加と関連し、肉質の改善に寄与した可能性があると結論づけています。その背景にはグリセロリン脂質の代謝の変化が関わる可能性がありますが、仕組みが確定したわけではありません。この研究は、飼料への添加に伴い、筋肉内の脂肪や酸化に対する防御の指標、肉の食感に関わる性質が変化したことを示しています。
原著論文の著者・所属:Chengdi Shi(College of Agriculture and Animal Husbandry, Qinghai University, Xining City 810016, China)、Wei Gao(College of Agriculture and Animal Husbandry, Qinghai University, Xining City 810016, China)、Zhenglu Yang(College of Agriculture and Animal Husbandry, Qinghai University, Xining City 810016, China)、Lijuan Han(College of Agriculture and Animal Husbandry, Qinghai University, Xining City 810016, China)、Shengzhen Hou(College of Agriculture and Animal Husbandry, Qinghai University, Xining City 810016, China)、Chao Yang(College of Agriculture and Animal Husbandry, Qinghai University, Xining City 810016, China)、Zenghai Luo(Qinghai Agri-Animal Husbandry Vocational College, Xining City 812100, China)、Linsheng Gui(College of Agriculture and Animal Husbandry, Qinghai University, Xining City 810016, China)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Chengdi Shi, Wei Gao, Zhenglu Yang, et al. Rumen-Protected Betaine Improves Meat Quality in Tibetan Sheep by Influencing Intramuscular Fat Deposition, Antioxidant Capacity, and Fatty Acid Composition. Metabolites 2026-09-04. DOI: 10.3390/metabo16090650. 原著ライセンス:CC BY.