著者の所属・活動拠点の国は、ナイジェリアです。
掲載誌:Discover Sustainability
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
世界では大量の食品が捨てられており、その多くは家庭から出ています。ナイジェリアでも、年間に発生する廃棄物のおよそ半分を食品が占めるとされます。国連の持続可能な開発目標(SDGs)は、小売・消費段階の食品廃棄を2030年までに半減させることを掲げており、家庭の食品廃棄は飢餓、気候変動、都市の暮らしにも関わる課題と位置づけられています。
研究チームによれば、ナイジェリアのこれまでの研究は、食品廃棄を左右する社会経済的要因や収穫後の損失に重点を置いてきました。家庭でどのような食品がどう捨てられ、それが環境・経済・社会にどのような影響を及ぼすと受け止められているかは、十分に調べられていませんでした。そこで著者らは、ナイジェリア南西部のオヨ州を対象に、家庭の食費と食事の様子、捨てられる食品の特徴と処分方法、廃棄の要因、そして持続可能性への影響を調べました。
どのように調べたか
調査はある一時点での状況を捉える質問票調査として行われました。オヨ州の3つの上院選挙区からそれぞれ1つの地方自治体を無作為に選び、オグボモショ北、オヨ西、イバダン北東の都市部で、世帯主または家庭の食品廃棄をよく知る成人計480人から回答を得ました。
回答者は、廃棄の要因や影響として挙げられた項目に対して、「強く同意する」(5点)から「強く同意しない」(1点)までの5段階で評価しました。捨てた食品の金額は回答者の記憶に基づく自己申告です。著者らは、思い出し方による誤差や、望ましくない行動を少なめに答える傾向が結果に影響しうること、また一時点の調査のため因果関係は判断できないことを限界として挙げています。
主な結果
典型的な世帯は約6人で、多くの家庭は自宅で調理し、1日3食をとっていました。捨てられる食品として最も多く挙がったのは米で、スープ、豆が続きました。これらの大半は家庭で調理された料理でした。著者らは、食品廃棄が日々の調理と食事の習慣に根ざしていると見ています。
家庭の平均月間食費は約10万7170ナイラで、そのうち約1万490ナイラ、割合にして9.8%が捨てられた食品の金額と推計されました。地域別の割合はオヨ西で13.3%と最も高く、オグボモショ北で9.5%、イバダン北東で7.6%でした。処分方法では、廃棄物回収業者に任せる家庭が約31%、野外のごみ捨て場に捨てる家庭が約28%でした。著者らは、半数を超える家庭が環境上安全とはいえない方法で処分していると指摘しています。
廃棄の要因として同意の度合いが高かったのは、食べ残し、冷蔵に影響する不安定な電力供給、適切な保存方法の欠如、盛りつけ量の多さ、作りすぎでした。持続可能性への影響については、環境汚染への寄与、埋め立て処分による気候変動への影響、飢えに苦しむ人々に届く食料が減ることなど、どの項目にも強い同意が示されました。環境・経済・社会の3つの側面に分けると、環境面の評価が最も高くなりました。
さらに著者らは、回答者が感じている影響の大きさと、各要因との関係を統計的に分析しました。世帯人数や食費といった社会経済的な条件はこの評価の違いをほとんど説明しませんでした。一方、作りすぎや盛りつけ量の多さといった行動面の要因と、保存設備の不足を加えると、説明できる割合が大きく高まりました。中でも作りすぎとの関連が最も強く表れました。
研究が示すこと
この研究は、オヨ州の家庭の食品廃棄を、家計の損失にとどまらず、環境・経済・社会にまたがる持続可能性の問題として捉え直すものです。捨てられる食品の多くは日常的な手料理であり、作りすぎや盛りすぎといった日々の習慣と、電力や保存設備の不足が重なって廃棄が生じている様子が、家庭の回答から浮かび上がりました。著者らはこうした結果を踏まえ、行動の変化、廃棄物管理の改善、政策づくり、インフラへの投資、関係者の連携を組み合わせた取り組みを提言しています。
原著論文の著者・所属:Oladotun E. Morakinyo(Department of Urban and Regional Planning, Federal Polytechnic, Ayede, Oyo State, Nigeria)、Mosimisola E. Ojokuku(Department of Food Science, Ladoke Akintola University of Technology, Ogbomoso, Oyo State, Nigeria)、Opeyemi G. Ogundeji(Department of Sustainability Studies, University of Ibadan, Ibadan, Oyo State, Nigeria)、Khadijat Abdulquadri(Department of Urban and Regional Planning, Aliko Dangote University of Science and Technology, Wudil, Kano State, Nigeria)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Oladotun E. Morakinyo, Mosimisola E. Ojokuku, Opeyemi G. Ogundeji, et al. Sustainability implications of household food waste in Oyo State, Nigeria. Discover Sustainability 2026-09-23. DOI: 10.1007/s43621-026-04750-0. 原著ライセンス:CC BY.