著者の所属・活動拠点の国は、ナイジェリアです。

掲載誌:African Journal of Agricultural Science and Food Research

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の背景と目的

玉ねぎは世界中で栽培され、料理に風味や香りを加える身近な野菜です。一方で水分が多く傷みやすいため、ナイジェリアでは保存期間の短さや収穫後の損失が大きな問題になっていると、著者らは先行研究を引いて指摘しています。北部の産地からの輸送中に失われる量も多く、生産者や販売者の収入にも影響するといいます。

研究チームは、乾燥させて粉末にすれば保存性が高まり、収穫後の損失を減らせる可能性があると考えました。また、玉ねぎを刻むときの目の刺激を理由に摂取を控える人がいることにも触れ、粉末なら調理時の刺激を減らせるとしています。そこで本研究では、赤玉ねぎと白玉ねぎからパウダーを作り、ミネラルやポリフェノール類などの成分を調べるとともに、パウダーを使った料理が生の玉ねぎを使った料理と比べてどの程度好まれるかを評価しました。

何をどのように調べたか

パウダーは、皮をむいた玉ねぎを厚さ約5ミリに薄切りし、55℃の熱風で24時間乾燥させたあと、粉砕してふるいにかけて作られました。研究チームは生の玉ねぎとパウダーの両方について、水分やたんぱく質などの基本的な成分、糖の量、辛みの指標、ミネラル、そして植物由来の成分を測定しました。植物由来の成分として調べたのは、ポリフェノールの総量、その一種であるフラボノイド、ビタミンC、β-カロテンです。

辛みは、玉ねぎを切ったりすりつぶしたりしたときに生じるピルビン酸という物質の量で評価しました。論文によると、ピルビン酸は辛み成分ができるときに同時に生じるため、辛さの目安として使われています。

料理の試験では、ナイジェリアで親しまれている豆のプディング(モインモイン)、ゆで肉、野菜シチュー、ピザ、スクランブルエッグの5品を用意しました。それぞれ、生の赤玉ねぎまたは白玉ねぎを100グラム使ったものを比較の基準とし、パウダーを20グラムまたは40グラム使ったものと比べました。30人の訓練を受けた評価者が、色、味、風味、辛み、総合的な好ましさを9段階で採点しました。

主な結果

生の玉ねぎの水分はおよそ82〜83%で、傷みやすさを裏付ける値でした。糖の量は生の白玉ねぎで最も多く、乾燥によって約3割減ったと報告されています。辛みの指標であるピルビン酸は、生の赤玉ねぎで1グラムあたり72.67マイクロモル、生の白玉ねぎで88.43マイクロモルでした。乾燥によって約25%減りましたが、著者らの分類では生もパウダーもすべて「非常に辛い」に当たり、白玉ねぎのほうが辛みが強い結果でした。

植物由来の成分では、赤玉ねぎのほうが白玉ねぎよりもポリフェノール、フラボノイド、ビタミンC、β-カロテンを多く含んでいました。たとえばフラボノイドは、生の赤玉ねぎで1グラムあたり133.25ミリグラム(ケルセチン換算)、赤玉ねぎパウダーで94.91ミリグラムでした。一方、乾燥によってこれらの成分は減少し、ビタミンCは5割以上、β-カロテンは7割以上失われたと報告されています。

ミネラルはカルシウムとカリウムが多く、乾燥後のパウダーではカルシウムが約1割増えるなど、鉄・銅・亜鉛もわずかに増加していました。赤と白のパウダーのカルシウムは100グラムあたりそれぞれ182.76ミリグラムと174.22ミリグラムでした。

料理の評価では、豆のプディング、ゆで肉、ピザは生の玉ねぎ100グラムを使ったものが総合的に高く評価されました。これに対し、スクランブルエッグではパウダー40グラムを使ったものの評価が高くなりました。色、味、風味、辛みについては、試料間に統計的に意味のある差は見られなかったとされています。また、パウダーの色は料理全体の好ましさにはあまり影響しなかったと著者らは述べています。

この研究が示すこと

この研究は、玉ねぎをパウダーに加工すると、ビタミンCやβ-カロテンなどの成分や辛み・甘みは減る一方で、ミネラルは保たれ、料理の色や味の評価に大きな差は生じにくいことを示しました。どの料理で生の玉ねぎとパウダーのどちらが好まれるかは料理によって異なりました。それでも、傷みやすい玉ねぎを保存しやすい形に変えて日常の料理に使うという選択肢について、成分と食べやすさの両面から具体的なデータを示した報告といえます。

原著論文の著者・所属:Adediran Alamu(Department of Food Science and Technology, Bells University of Technology, Ota, Nigeria)、Olutayo Olukunmi(Department of Food Science and Technology, Bells University of Technology, Ota, Nigeria)、Taiwo Adeola Olotu(Department of Food Science and Technology, Bells University of Technology, Ota, Nigeria)、Odunayo Abiodun(Department of Food Science and Technology, Bells University of Technology, Ota, Nigeria)、Doris Anaemene(Department of Food Science and Technology, Bells University of Technology, Ota, Nigeria)、Rukayat Abidemi Tajudeen(Department of Food Science and Technology, Bells University of Technology, Ota, Nigeria)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Adediran Alamu, Olutayo Olukunmi, Taiwo Adeola Olotu, et al. Evaluation of Micronutrient Composition, Phytochemical Properties and Acceptability of Selected Nigerian Culinary Products made with Onion Powder (Allium cepa. L). African Journal of Agricultural Science and Food Research 2026-10-19. DOI: 10.62154/ajasfr.2026.023.01034. 原著ライセンス:CC BY.