もぎたてがいちばん甘い、ととうもろこしはよく言われます。収穫直後から甘みが落ちていくとされ、鮮度が味を左右する野菜です。ところが日本食品標準成分表(八訂)の数値を並べると、少し違う顔が見えてきます。スイートコーン 未熟種子 生より、ゆでたものや電子レンジ調理したもののほうが、しょ糖ぶどう糖といった糖類の数値がむしろ高く出るのです。

生よりゆで・電子レンジのほうが数値は高い

100gあたりで比べると、生のエネルギーは89kcal、炭水化物は16.8gです。これに対しスイートコーン 未熟種子 ゆでは95kcal・炭水化物18.6g、スイートコーン 未熟種子 電子レンジ調理は104kcal・炭水化物19.1g、スイートコーン 未熟種子 穂軸つき 冷凍は96kcal・炭水化物18.7gと、いずれも生より高い数値です。

甘みのもとになる糖類の内訳を見ても同じ傾向です。4つの状態の糖類を並べると次のようになります(可食部100gあたり・生は実測値、ゆで・電子レンジ調理・冷凍は推定値)。

スイートコーンの糖類(可食部100gあたり)
状態しょ糖ぶどう糖果糖
3.3g2.4g2.2g
ゆで3.5g(推定値)2.6g(推定値)2.3g(推定値)
電子レンジ調理3.8g(推定値)2.8g(推定値)2.5g(推定値)
穂軸つき 冷凍3.5g(推定値)2.6g(推定値)2.3g(推定値)

どの状態でもしょ糖がいちばん多い糖であることは共通しつつ、加熱や冷凍を経た後のほうが3つの糖の数値がそろって大きくなっています。ぶどう糖が最も多いのは電子レンジ調理の2.8g(推定値)で、生の2.4gより高くなっています。

これは、加熱によって甘み成分が増えたと読むべき数字ではありません。成分表の数値はどれも「調理後の食品100gあたり」で測られており、調理をすると重量そのものが変わります。生を電子レンジ調理すると重量は88%になり、ゆでると110%になることが分かっています。つまり、生の100gと、ゆでや電子レンジ調理の100gは、もとをたどれば同じ量のとうもろこしではないのです。物差しの当て方が違う以上、数値の差をそのまま「加熱で甘くなった」と受け取ることはできません。もぎたての甘さが濃いというイメージを否定するものでもなく、「100gあたり」という物差しは生の重さそのままではなく調理後の状態で測っている、ということを教えてくれる数字です。

プロビタミンAと酸味も、加熱・冷凍でわずかに動く

体内でビタミンAに変わるとされるβ-クリプトキサンチンは、生で54µg、ゆでで53µg、電子レンジ調理で63µg、冷凍で60µgです。最も多いのは電子レンジ調理の63µgでした。ビタミンAの推奨量(成人30〜49歳)は男性900μgRAE・女性700μgRAE。果実の酸味成分として知られるリンゴ酸は、いずれの状態も0.1g(生のみ実測、ゆで以降は推定値)で、大きな違いはありません。
※特定の食品の効果を示すものではありません。

なおヤングコーン 幼雌穂 生はスイートコーンをごく若いうちに収穫したものとされ、エネルギー29kcal・炭水化物6gと数値は控えめです。可食部の重量そのものが目安量になっており、1本およそ8gです。

選び方と保存の工夫

スイートコーンの収穫量(2024年産)は北海道が43.1%を占め、千葉9.1%・茨城8.5%・群馬7.1%・長野4.1%と続くとされています。旬の時期はこうした産地からの入荷が増える時期でもあります。1本の目安量はおよそ300g(皮や穂軸を含む購入時の重量)で、可食部はそこから廃棄率分を除いた部分になります。生の廃棄率は50%と、この4品の中では最も高い値です。食物繊維の目標量(成人30〜49歳)は男性22g以上・女性18g以上。

保存については、鮮度が命なのですぐに冷凍することがすすめられており、皮をむかずまるごと冷凍する方法や、粒を外して冷凍する方法があるとされています。冷凍の目安はおよそ1カ月、皮つきまるごとならおよそ2カ月、冷蔵ならおよそ3日とされています。皮つきで冷凍したものは、解凍時に皮をむくとされています。

まとめ

「生がいちばん甘い」というイメージは、収穫直後の味の濃さを言い当てたものと言えそうです。ただし成分表の数値の上では、ゆでや電子レンジ調理のほうが糖類もエネルギーも高く出ており、これは調理によって重量が変わり、「100gあたり」という物差しの中身が変わることと関係しています。どの状態でも甘みの主役がしょ糖であることは変わりません。買ってすぐに食べきれないときは、鮮度が落ちる前にまるごと、あるいは粒を外して冷凍しておくのが、味の面でも扱いの面でも理にかなった付き合い方と言えそうです。

※本記事は日本食品標準成分表(八訂)のデータ等をもとに作成しました。

栄養素のはたらき・摂取基準の記述は、次の公的資料に基づきます:厚生労働省 食事摂取基準