とうもろこしのひげを数えたことがあるだろうか。実は、あの一本一本が中の粒とちょうど同じ本数だけ伸びている。1本のひげは1粒の花から続く道で、皮をむいたときに見える黄色い粒の数だけ、ひげも存在していたことになる。今の時季、北海道をはじめ千葉や茨城などから届くスイートコーンは、だいたい1本で300gほど。皮ごと抱えるとずっしり重いこの一本を、今日は丸ごと味わってみたい。
可食部100gの数字が語ること
スイートコーンは廃棄率が50%と高い野菜だ。太い皮と芯がその分を占めていて、1本300gのうち、実際に食べられる粒の部分はおよそ半分になる計算になる。皮をむくたびに「もったいない」と感じる人もいるかもしれないが、これは穀物にも野菜にも数えられるとうもろこしならではの構造で、皮が実をしっかり守っているからこその割合でもある。
可食部100gあたりのエネルギーは89kcal、たんぱく質3.6g(可食部100gあたりで女性30〜49歳の推奨量50g/日の7%にあたる)、脂質1.7g、炭水化物16.8g、食物繊維総量は3gと、野菜の中では糖質を多く含むタイプに入る。ゆでたてを頬張ったときのあの甘みは、気のせいではなく成分表にもしっかり数字として表れている。
黄色い粒に隠れた色素
粒の黄色を作っているのが、β-クリプトキサンチンという色素成分だ。可食部100gあたり54µg含まれており、この成分は体内でビタミンAに変わるプロビタミンAの一つとされる。かんきつ類やかぼちゃ、柿などにも含まれる仲間で、あの鮮やかな色そのものが、体の中で役割を持つ成分の証というのは、ちょっとした発見ではないだろうか。粒のつやと色の濃さを見て選ぶのも、旬を楽しむ小さな目利きになる。
もう一つ、控えめながら数字に残っているのがリンゴ酸0.1gだ。りんごやぶどうの酸味を支える有機酸として知られる成分で、とうもろこし本来の甘みの奥に、ごくわずかながら味の輪郭を添えている。
丸ごと味わう夏の食べ方
皮つきのままゆでる、蒸す、焼くといった調理はスイートコーンの持ち味をそのまま活かせる。粒がぷつりとはじける食感を楽しむなら、収穫からあまり時間をおかずに調理するのが良さそうだ。芯ごと味噌汁やスープに入れれば、出汁代わりの甘みも一緒に楽しめる。
今日食べきれない分は、すぐ冷凍で
とうもろこしは鮮度が命の野菜で、時間が経つほど甘みが落ちていくといわれる。食べきれない分はできるだけ早く冷凍するのが賢い付き合い方だ。皮をむかずにまるごと冷凍すれば目安で2カ月、粒を外して冷凍すれば目安で1カ月保存でき、皮つきのまま冷凍したものは食べる際に解凍してから皮をむけばよい。冷蔵なら3日ほどが目安になる。
ひげの本数と粒の数が同じだと知ってから一本を見ると、あの繊細な糸の束が、粒ひとつひとつの成長の記録に見えてくる。今年出会った一本を、皮までしっかり使い切ってみてはどうだろうか。
栄養素のはたらき・摂取基準の記述は、次の公的資料に基づきます:厚生労働省 食事摂取基準
※本記事は日本食品標準成分表(八訂)および日本人の食事摂取基準(2025年版)のデータ等をもとに作成しました。