コレステロールと聞くと身構える人も多いかもしれませんが、そもそもは体に必要な脂質の一種です。細胞膜をつくり、各種のホルモンや胆汁酸(脂肪の消化を助ける胆汁の成分)の材料になる、体になくてはならない物質とされています。しかも体は自分でもコレステロールをつくり出せる仕組みを持っています。この記事では、日本食品標準成分表でコレステロールが多い食品を数字で見比べながら、その「多さ」がどういう意味を持つのかを読み解いていきます。

第1位は乾燥卵黄

コレステロールが最も多いのは鶏卵 卵黄 乾燥卵黄で、100gあたり2300mg、638kcalです。この食品はレチノール(視覚の維持や成長・生殖、皮膚・粘膜の健康に関わるビタミンAの一種)も100gあたり630µgと多く含みます。ただし乾燥卵黄は卵黄の水分を飛ばして凝縮した加工品で、100gをそのまま食べる場面はまずありません。数字の大きさよりも「凝縮するとここまで濃くなる」という目安として見るのが実用的です。

第2位は乾燥全卵

鶏卵 全卵 乾燥全卵は100gあたり1500mg、542kcalです。乾燥卵黄より少ないのは、コレステロールをあまり含まない卵白が混ざる分、100gあたりの濃度が薄まるためです。この食品はビタミンB2が100gあたり1.24mgと豊富で、これは女性30〜49歳の1日推奨量(1.2mg)を上回る量です。ただし乾燥全卵も凝縮された加工品のため、実際の一食での摂取量はぐっと少なくなります。卵という素材の栄養の厚みを感じさせる数字です。

第3位タイは、ゆで卵黄と生卵黄

鶏卵 卵黄 ゆで鶏卵 卵黄 生は、ともに100gあたり1200mgで同程度です。ここで押さえておきたいのが実際の量の感覚です。卵は卵黄と卵白の重量比がおよそ31対69とされ、卵1個(可食部約50g)のうち卵黄は約17gほど。その卵黄に含まれるコレステロールは約200mgと見積もれます。100gという数字の大きさに反して、卵1個から摂れる量はぐっと現実的な範囲に収まります。

ゆで卵黄はヨウ素が100gあたり200µgと多く含まれています(女性30〜49歳の1日推奨量140µgの約143%に相当)。ヨウ素は甲状腺ホルモンの材料になり成長やエネルギー代謝に関わる成分です。なお卵黄の実際の一食量は約17g程度なので、一食からの摂取量はこの6分の1ほどにとどまります。生卵黄はレチノールが100gあたり690µgとこの5食品中で最も多く、卵黄という部位そのものの特徴がよく表れています。

第5位は魚の卵、かずのこ

卵黄が上位を占めるなか、卵以外から唯一顔を出すのがにしん かずのこ 乾です。100gあたり1000mg、358kcal。鶏の卵黄が並んだ最後に魚の卵が続く、という顔ぶれになりました。もっとも、そのコレステロール自体は、細胞膜やホルモンの材料になる体に必要な成分とされています。

体は摂った分だけそのまま蓄えるわけではない

ここで押さえておきたいのが、コレステロールには体内で合成量を調整する仕組みがあるという点です。食品からのコレステロール摂取量の変化に応じて体内での合成量がある程度変動するとされており(個人差があります)、日本人の食事摂取基準でもコレステロールに数値の目標量は設定されていません。ですので、100gあたりの数字だけを見て「怖い食品」と決めつけるのではなく、卵1個・かずのこひと口といった実際の量に置き換えて考えることが大切です。

※本内容は栄養生理に関する一般的な情報であり、特定の食品の健康効果・血中値への影響等を示すものではありません。

まとめ

乾燥卵黄の2300mg、乾燥全卵の1500mg、卵黄のゆで・生の1200mg、かずのこの1000mg(いずれも100gあたり)。これらの数字は「怖がる基準」というより、卵1個あたり約200mgという現実的な量と見比べるための「ものさし」として使うのがちょうどよさそうです。数値の大きさだけに反応するのではなく、卵黄のヨウ素やビタミンA、かずのこのトリプトファンやチロシンといった、その食品ならではの個性にも目を向けてみると、同じ「コレステロールが多い食品」でもそれぞれ違う顔が見えてきます。

※本記事は日本食品標準成分表(八訂)および日本人の食事摂取基準(2025年版)のデータ等をもとに作成しました。

栄養素のはたらき・摂取基準の記述は、次の公的資料に基づきます:厚生労働省 食事摂取基準e-ヘルスネット「コレステロール」(厚生労働省)