シスチンは、硫黄を含むアミノ酸(たんぱく質を構成する最小単位)の一つです。体内ではたんぱく質をつくる材料として使われるほか、体内で別の物質をつくる際にも使われることが知られています。シスチンには日本人の食事摂取基準に推奨量や目安量といった定量的な基準が設定されていないため、「これだけ摂るべき」という数値はありません。それでも、どの食品にどれだけ含まれているかを知っておくと、食品選びのヒントになります。
このランキングの上位には乾燥・粉末といった「凝縮」された食品が多く並びます。これらは一度に使う量が通常ごく少量なので、本記事で示す100gあたりの数値はあくまで凝縮された状態での目安として読んでください。以降の各食品でも同じ前提が当てはまります。本記事では上位6食品のうち、シスチン量の特徴や使い勝手の観点から選抜した食品を紹介します。
1位の乾燥卵白が突出——その差は歴然
可食部100gあたりのシスチン含有量で最上位に立つのは、乾燥卵白(鶏卵由来)の2500mgです。2位タイの食品が1600mgですから、数値の突出ぶりは一目瞭然です。しかも乾燥卵白は脂質がほぼゼロで、ビタミンB2も100gあたり2.09mg含まれます。卵白全体の主成分は水分とたんぱく質で、それを乾燥させた食品だけにアミノ酸が凝縮されているのが、高い数値の背景です。脂質を抑えつつたんぱく質を補いたいときの素材として、製菓やスポーツ用途で使われています。
2位タイに並ぶ2食品——選ぶ理由は数値の外にある
2位タイには、小麦たんぱく(粉末状)とかずのこ(乾燥)がともに1600mgで並んでいます。同じ数値ですから優劣はなく、どちらを選ぶかは数値以外の事情で変わります。
小麦たんぱく(粉末状)は、小麦のたんぱく質(グルテン)を取り出した食品で、麩(ふ)や練り製品の原料などに使われます。一方で小麦は食物アレルギーを起こしやすい特定原材料に指定されており、小麦アレルギーのある方は使用できない場合があります。「数値が高い食品=自分にも使える食品」とは限らない、ということがこの食品でよくわかります。
同じ2位タイのかずのこ(乾燥)は、にしんの卵巣(魚卵)を乾燥させた食品で、塩抜きや戻して食べるのが一般的です。コレステロールを100gあたり1000mg含んでいます。日本人の食事摂取基準ではコレステロールの耐容上限量は設定されていませんが、コレステロールや飽和脂肪酸の過剰摂取については脂質異常症のリスクとの関連が指摘されています。脂質の管理が気になる方や高齢の方は、量に配慮し日常的な多用は控えるとよいでしょう。主要な特定原材料には該当しませんが、魚卵アレルギー等がある方はご注意ください。
4位の乾燥全卵——卵黄を含む全卵タイプ
4位は乾燥全卵(鶏卵)で1200mgです。卵白だけの乾燥卵白と違い卵黄も含むため、コレステロールは100gあたり1500mgと、2位タイのかずのこ(乾燥・1000mg)より高くなります。前述のとおりコレステロールの過剰摂取は脂質異常症リスクとの関連が指摘されているため、脂質の管理が気になる方や高齢の方は、かずのこと同様に量に配慮するとよいでしょう。
5位タイも「凝縮」の構図
5位タイには分離大豆たんぱく(塩分調整タイプ)と分離大豆たんぱく(塩分無調整タイプ)がともに1100mgで並びます。大豆はたんぱく質が豊富で「畑の肉」とも呼ばれる食品ですが、その大豆からたんぱく質を高濃度に取り出した分離大豆たんぱくもアミノ酸が凝縮されています。数値は同じなので、塩分の摂取量が気になる方は無調整タイプを選ぶ、という選び分けができます。なお大豆も食物アレルギーの原因となることがある食品(特定原材料に準ずるもの)ですので、アレルギーがある方はご注意ください。
「数値を知る」その一歩先へ
シスチンを意識して粉末・乾燥品を探さなくても、卵料理を普段から食べていれば全卵や卵白からシスチンは自然に摂れます。製菓で卵白をよく使う方なら、脂質がほぼゼロでビタミンB2も豊富な乾燥卵白が便利な選択肢になります。一方で、数値が高い食品が自分にとって使いやすいかどうかは、アレルギーの有無や脂質の管理状況によって変わります。ランキングは「どこに多いか」を知る入り口として使い、そのうえで自分が日常的に使える素材かどうかを確かめると、数字を毎日の食選びに生かせます。
参考:食品安全委員会「L-システイン及びL-シスチン評価書」/文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)」/厚生労働省「日本人の食事摂取基準」/消費者庁「食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業報告書(2020年)」
※本記事は日本食品標準成分表(八訂)および日本人の食事摂取基準(2025年版)のデータ等をもとに作成しました。