著者の所属・活動拠点の国は、イラクです。
掲載誌:IRAQI JOURNAL OF AGRICULTURAL SCIENCES
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
肉はたんぱく質やビタミン、ミネラルを多く含む一方、食物繊維をほとんど含みません。そこで、穀物などの植物性素材を肉製品に加え、栄養面や食感、保存中の品質を高める試みが続けられています。
バグダッド大学の研究チームは、オーツ麦(燕麦)に注目しました。オーツ麦はβグルカンと呼ばれる水溶性の食物繊維を多く含みます。著者らによれば、イラクでも手に入りやすく安価な素材です。研究チームは、ビーフバーガーのつなぎに使う小麦粉の一部をオーツ麦粉に置き換え、冷凍保存中の成分や品質がどう変わるかを調べました。
何をどう調べたか
実験では2種類のバーガーを作りました。一つは、牛肉800グラム、脂肪100グラム、小麦粉100グラムに塩と香辛料を加えた通常の配合です。もう一つは、小麦粉の半分にあたる50グラムをオーツ麦粉に置き換えた配合です。それぞれ100グラムのパティに成形し、マイナス18度前後で45日間冷凍保存しました。保存1日目、15日目、45日目に測定を行っています。
測定項目は、水分・たんぱく質・脂肪・灰分(ミネラル分の目安)の割合のほか、保存中の劣化を示す指標です。劣化の指標には、たんぱく質の分解で生じる揮発性塩基窒素(TVN)、脂肪の分解で増える遊離脂肪酸(FFA)、脂肪の酸化の程度を示す過酸化物価とTBA値が含まれます。さらに、pH、肉が水分を抱え込む力(保水性)、解凍時と加熱時に失われる重さの割合も調べました。
主な結果
論文の要旨によると、オーツ麦を使ったバーガーは通常のバーガーに比べ、たんぱく質と灰分の割合、保水性が高く、揮発性塩基窒素、遊離脂肪酸、解凍時と加熱時の損失は低いと報告されています。
違いがはっきり表れたのは加熱時の損失です。通常のバーガーは保存期間を通じて約26〜27%の重さを失いました。オーツ麦を使ったバーガーの損失は約20%で、どの測定時点でも有意な差がありました。解凍時の損失は、通常のバーガーでは保存とともに3.86%から4.98%へ増えました。一方、オーツ麦を使ったバーガーは3.6〜3.8%程度にとどまりました。
劣化の指標でも差が出ています。通常のバーガーでは、揮発性塩基窒素と遊離脂肪酸が保存とともに増えました。オーツ麦を使ったバーガーでは、ほぼ横ばいか、わずかな増加でした。保水性も、通常のバーガーは45日間ではっきり低下しましたが、オーツ麦を使ったバーガーの低下は小さいものでした。
一方、過酸化物価、TBA値、pHには、2つの配合の間で有意な差は見られませんでした。著者らは、これらの値はいずれも基準の範囲内で安定していたと述べています。また著者らは、こうした違いの理由について、オーツ麦の食物繊維が水を保持する性質や、オーツ麦に含まれる抗酸化成分が関わっていると考察しています。
研究が示すこと
著者らは、オーツ麦粉は冷凍ビーフバーガーのつなぎとして使え、45日間の冷凍保存中の好ましくない変化を抑えて品質を保つのに役立つ、と結論づけています。身近で安価な穀物素材でつなぎの一部を置き換えるだけで、加熱時に重さが目減りしにくい、保存中に劣化しにくいバーガーになりうることを、2つの配合の比較から示した研究です。
原著論文の著者・所属:Haidar Alwan(College of Agricultural Engineering Sciences, University of Baghdad)、Mahmoud Ahmed(College of Agricultural Engineering Sciences, University of Baghdad)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Haidar Alwan, Mahmoud Ahmed. EFFECT OF PARTIAL REPLACEMENT OF OATS IN IMPROVING THE CHEMICAL COMPOSITION AND QUALITY CHARACTERISTICS OF FROZEN BEEF BURGER. IRAQI JOURNAL OF AGRICULTURAL SCIENCES 2026-08-31. DOI: 10.36103/9smhg954. 原著ライセンス:CC BY.