著者の所属・活動拠点の国は、トルコです。

掲載誌:Macedonian Veterinary Review

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

卵は栄養が豊富で使い道の多い食品ですが、保存期間が長くなるほど品質が落ちていきます。著者らによると、その主な原因は、殻にある細かな穴を通して水分や二酸化炭素が抜けていくことです。水分が抜けると殻の内側にある空気の部屋(気室)が大きくなり、卵白は水っぽく広がりやすくなります。

保存中の品質には、温度や期間に加えて空気中の湿り気、つまり相対湿度も関わります。湿度が低いと卵から水分が逃げやすくなり、高すぎると殻の表面で微生物が増えやすくなると考えられてきました。一方で著者らは、温度や保存期間に比べると、湿度を大きく変えた条件で卵の中身の品質と殻の微生物汚染をあわせて調べた研究は少ないと指摘しています。そこで研究チームは、室温で卵を保存する際の湿度が、中身の品質と殻の微生物にどのような違いをもたらすかを調べました。

どのように調べたか

研究チームは、60週齢のローマン・ブラウン種の鶏が産んだMサイズの卵を無作為に選びました。1群30個、計90個を、湿度20%・60%・100%に保った密閉容器にそれぞれ入れ、22±2℃の室温で28日間保存しました。湿度は、乾燥剤のシリカゲル、ヨウ化カリウムの飽和溶液、蒸留水を使って調整しています。

卵の重さは1週間ごとに量り、28日後に卵を割って中身を調べました。調べた項目は、気室の大きさ、卵白の広がりと高さ、卵黄の形や色、pHなどです。卵白の状態は「ハウユニット」という指標でも評価しました。これは、濃い卵白の高さを卵の重さで補正した値で、高いほど新鮮で卵白の構造が保たれていることを表します。あわせて、あらかじめ決めた基準に沿って、卵を「正常」「劣化」「腐敗」に分類しました。殻の表面については、保存開始時と17日後に一定の面積を綿棒でぬぐい、一般的な細菌やカビ・酵母の量を測りました。

主な結果

重さの減り方は湿度によって大きく異なりました。28日後の重量減少率は、湿度20%で5.9%、60%で5.0%と大きかった一方、100%ではわずか0.39%でした。気室も湿度100%の卵がもっとも小さく保たれていました。

ところが、28日後に正常と判定された卵の割合は、湿度100%で36.7%にとどまりました。湿度60%では96.7%、20%では100%です。湿度100%の群では劣化が40%、腐敗が23.3%を占め、腐敗した卵は湿度60%と20%の群には見られませんでした。17日後の殻の表面でも、湿度100%の卵で細菌やカビ・酵母がもっとも多く検出されました。湿度20%と60%の間には、統計的にはっきりした差は認められませんでした。

卵白の状態を示すハウユニットは、湿度60%で56.76ともっとも低くなりました。これに対し、湿度20%では72.29、100%では71.35と高い値が保たれていました。湿度20%の卵は水分を多く失った一方で、卵白の広がりが小さく、まとまった状態でした。著者らはこの理由として、極端に乾いた条件では水分が二酸化炭素より速く抜けることや、卵白のたんぱく質の結びつきが安定することなどの可能性を挙げています。また卵黄の盛り上がりを示す指標は湿度が高いほど低くなり、卵黄の赤みは湿度20%でもっとも強くなりました。卵黄のpHは湿度による差が見られませんでした。

研究が示すこと

この研究からは、重さの減りを抑えるだけでは、卵をうまく保存できているとは言えないことがうかがえます。湿度100%では水分の減少をほぼ防げた一方で、殻の微生物が増え、食べられる状態の卵が大きく減りました。著者らは、保存中の湿度を考える際には、中身の品質と微生物の安全性の両方を見る必要があるとしています。そのうえで、今回の室温28日間という条件では、湿度20%程度の低湿度がもっとも好ましい保存条件だったと結論づけています。

原著論文の著者・所属:Ahmet Yavuz Pekel(Department of Animal Nutrition and Nutritional Diseases, Faculty of Veterinary Medicine , Istanbul University-Cerrahpaşa , , Istanbul , Türkiye)、Alp Emre Yıldız(Department of Food Hygiene and Technology, Faculty of Veterinary Medicine , Istanbul University-Cerrahpaşa , , Istanbul , Türkiye)、Abdurrahman Kızıl(Department of Animal Nutrition and Nutritional Diseases, Faculty of Veterinary Medicine , Istanbul University-Cerrahpaşa , , Istanbul , Türkiye)、Ali Aydın(Department of Food Hygiene and Technology, Faculty of Veterinary Medicine , Istanbul University-Cerrahpaşa , , Istanbul , Türkiye)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Ahmet Yavuz Pekel, Alp Emre Yıldız, Abdurrahman Kızıl, et al. Influence of Relative Humidity on Internal Quality, Bacterial Load, and Mold Contamination of Eggs During 28-Day Storage. Macedonian Veterinary Review 2026-08-04. DOI: 10.2478/macvetrev-2026-0022. 原著ライセンス:CC BY.