著者の所属・活動拠点の国は、中国です。

掲載誌:Industrial Crops and Products

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的:綿実かすをペプチドの原料に

綿実かすは大量に生産されている農業副産物です。粗タンパク質を40%以上含み、アミノ酸の構成もFAO/WHOの推奨に近いことから、研究チームは、生理的な働きを持つ短いタンパク質断片(活性ペプチド)を作る原料として有望だと考えました。

一方で綿実かすには遊離ゴシポールという成分が多く含まれるため、価値の低い廃棄物とみなされ、環境汚染の原因にもなっていると著者らは指摘しています。そこで研究チームは、フェノール類を取り除く処理をした綿実かす(脱フェノール綿実かす)を原料に選びました。そして微生物による発酵で抗酸化作用を持つペプチドを得る方法の開発に取り組みました。

何を調べたか:菌の選抜から細胞実験まで

研究チームはまず、脱フェノール綿実かすに含まれるゴシポールを分解する能力の高い菌株を探しました。続いて、綿実のタンパク質を分解するのに適した菌の組み合わせを選びました。

次に、ボックス・ベーンケン計画という実験計画法を用いて発酵条件を調整しました。これは複数の条件を効率よく組み合わせて最適な条件を探す方法です。この方法で、水に溶けるペプチドの収量が最大になる条件を求めました。得られたペプチドは、質量分析を用いた分析法(LC-MS/MS)で同定しました。さらに、抗酸化ペプチドのデータベースや、体内への吸収性などを予測するツールを使って、吸収されやすいと見込まれる抗酸化ペプチドを絞り込みました。最後に、それらの抗酸化作用を細胞を使った実験で確かめています。

主な結果:最適な菌の組み合わせと5種類のペプチド

遊離ゴシポールを最もよく分解した菌株はバチルス・ベレゼンシスWY122でした。綿実タンパク質の分解には、この菌と乳酸菌の一種ラクチプランチバチルス・プランタルム01002の組み合わせが最適だったと報告されています。

最適な発酵条件では、発酵させた脱フェノール綿実かす1グラムあたり最大211.855ミリグラムの水溶性ペプチドが得られました。抗酸化性の指標として使われる2つの値でも、高い結果が見られました。1つはDPPHラジカル消去能で、もう1つは二価鉄イオンを捕まえる力(キレート能)です。また、綿実かす中のゴシポールはサリチル酸とカテコールに分解されていたといいます。

抗酸化作用が見込まれるペプチドは42種類同定されました。これら42種類全体で見ると、フェニルアラニン、ロイシン、プロリン、バリン、アラニン、グリシンといった水になじみにくい(疎水性の)アミノ酸残基が大きな割合を占めていました。このうちVSLLLPR、FLVR、FLLR、VVDLLR、YLDDLAELRの5種類について抗酸化活性が確かめられました。中でもVSLLLPRの抗酸化能が最も強かったと報告されています。

研究が示すこと

著者らは、新たな菌株を見いだし、脱フェノール綿実かすから活性ペプチドを作る新しい方法を確立したとしています。著者らはこの成果を、綿実ペプチドを機能性素材として開発するための理論的な基盤と位置づけています。また、価値の低い農業副産物を付加価値の高い製品へ変える手段として、発酵が有効であることを示した研究としています。

原著論文の著者・所属:Yan Wang(Qiqihar University Ministry of Education Engineering Research Center, Qiqihar, 161006, China; Qiqihar University, College of Food and Biological Engineering, Qiqihar, 161006, China)、Liying Yang(Qiqihar University, College of Food and Biological Engineering, Qiqihar, 161006, China)、Xu Pan(Qiqihar University, College of Food and Biological Engineering, Qiqihar, 161006, China)、Xuanyi Zhang(Qiqihar University, College of Food and Biological Engineering, Qiqihar, 161006, China)、Kaining Cao(Qiqihar University, College of Food and Biological Engineering, Qiqihar, 161006, China)、Jinhua Chen(Qiqihar University, College of Food and Biological Engineering, Qiqihar, 161006, China)、Xiaolan Liu(Qiqihar University, College of Food and Biological Engineering, Qiqihar, 161006, China)、Jian Ren(Qiqihar University Ministry of Education Engineering Research Center, Qiqihar, 161006, China; Qiqihar University, College of Food and Biological Engineering, Qiqihar, 161006, China)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Yan Wang, Liying Yang, Xu Pan, et al. Production and characterization of antioxidant peptides from dephenolized cottonseed meal co-fermented by screened Bacillus velezensis WY122 and Lactiplantibacillus plantarum 01002. Industrial Crops and Products 2026-09-08. DOI: 10.1016/j.indcrop.2026.124241. 原著ライセンス:CC BY.