著者の所属・活動拠点の国は、アメリカです。
掲載誌:Frontiers in Nutrition
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
研究チームは、慣行栽培、有機栽培、再生有機認証(ROC)のビーツで、栄養成分や植物由来の成分にどのような違いがあるかを調べました。ROCは有機認証を土台に、土壌の健全性や生物多様性の回復なども重視する認証です。こうした栽培方式と成分の関係、とりわけROCで育てたビーツについてのデータは限られていました。
研究では、生鮮ビーツだけでなく、消費者が購入する市販のビーツ粉末も対象にしました。たんぱく質、糖、ミネラルに加え、ポリフェノール、色素成分のベタレイン、硝酸塩などを比較することが目的でした。
何を、どのように調べたか
生鮮ビーツは、米国オレゴン州南西部の同じ地域で、栽培方式ごとに1軒の生産者から調達しました。有機栽培とROCの試料は2024年に生産者から、慣行栽培の試料は2025年に地元のファーマーズマーケットで入手しました。ROCの農場では、被覆作物を使った輪作や堆肥の施用を行い、栽培期間中の追加肥料は使っていませんでした。有機農場でも被覆作物と堆肥を使っていましたが、有機肥料の追加施用がありました。慣行栽培では窒素・リン・カリウムを含む肥料や農薬が使われていました。
市販粉末は、これら3つの栽培方式に由来する5ブランドの製品を調べました。植物由来成分の分析には、生鮮ビーツは各栽培方式12試料、粉末は各製品6試料を用いました。成分を分離して測定する液体クロマトグラフィーと質量分析などでフェノール類やベタレインを定量し、糖、たんぱく質、ミネラル、硝酸塩についても調べ、試料間の違いを統計的に比較しました。
主な報告結果
研究チームは、生鮮ビーツではROCと有機栽培のものが、慣行栽培のものよりフェノール類、フラボノイド、硝酸塩を多く含んでいたと報告しました。測定したフェノール類などの関連成分は29種類、ベタレインは8種類で、植物由来成分の組み合わせにも栽培方式による違いが見られました。
一方、ミネラルは、どの栽培方式でも一様に多いわけではありませんでした。慣行栽培ではカリウムとナトリウムが、有機栽培ではリンや硫黄などが他の2方式より多く、カルシウムは慣行栽培で少ないという結果でした。糖含有量は、慣行栽培の100グラム当たり11.31グラムに対し、ROCは14.19グラム、有機栽培は14.15グラムでした。ROCのたんぱく質は100グラム当たり1.8グラムで、慣行栽培と有機栽培より少ないと報告されました。
市販粉末でも、植物由来成分、硝酸塩、ミネラル、糖、たんぱく質の含有量には製品間のばらつきがありました。例えば、たんぱく質はROC製品で100グラム当たり14.99グラムと最も多く、有機栽培の1製品では7.78グラムと最も少なくなっていました。同じ栽培方式の製品同士でも成分は異なり、硝酸塩含有量も一定ではありませんでした。
この報告が示すこと
著者らは、栽培方式による違いは、ミネラルやたんぱく質よりも、植物がつくる多様な成分の構成に表れやすいと結論づけています。また、市販粉末については、栽培方式の認証だけで栄養成分を予測することはできないと述べています。
ただし、この研究は栽培条件を統一した試験ではなく、生鮮ビーツは各方式につき1軒の生産者から得たものです。土壌、微気候、水の利用条件、品種なども成分の違いに関わった可能性があります。粉末製品も産地や加工条件などが異なるため、観察された差を栽培方式だけの効果とはみなせません。この報告は、実際に流通するビーツの成分を理解するには、栽培区分に加えて個々の生産・供給条件にも目を向ける必要があることを示しています。
原著論文の著者・所属:Surbhi Verma(Plants, Soils, and Climate Science, Utah State University)、Ying Xi(Center for Human Nutrition Studies, Utah State University)、Muhammad Ahsin(Center for Human Nutrition Studies, Utah State University)、Tiffany Evans(Utah State University Analytical Laboratory, Utah State University)、Stephan van Vliet(Center for Human Nutrition Studies, Utah State University)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Surbhi Verma, Ying Xi, Muhammad Ahsin, et al. Conventional, organic, and regenerative organic farming differentially shape nutritional and phytochemical profile in beetroot (Beta vulgaris) and its commercial powder products. Frontiers in Nutrition(出版社:Frontiers Media) 2026-08-10. DOI: 10.3389/fnut.2026.1874417. 原著ライセンス:CC BY.