著者の所属・活動拠点の国は、イタリア、セルビア、オーストラリアです。

掲載誌:Meat Science

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

研究チームは、アーティチョークの苞(ほう、つぼみを包む葉のような部分)を原料にしたサイレージ(発酵させて貯蔵する飼料)を、肉用牛の肥育の最終段階である仕上げ期の飼料に取り入れた場合、その牛肉を長期間ドライエイジング(乾燥熟成)したときの性質がどう変わるかを調べました。

評価の対象は、肉の細菌数、生体アミン(主にアミノ酸が分解されて生じる物質で、ヒスタミンなどを含みます)、香りに関わる揮発性成分、そして人が実際に食べて評価する官能特性です。なお、この紹介は論文の抄録に基づいています。

調べた方法

研究では、ホルスタインとベルジャンブルーの交雑種の去勢牛48頭を3つの飼料グループに分けました。1つは麦わらを含む対照飼料、残る2つは麦わらの一部をアーティチョーク苞サイレージに置き換えた飼料で、置き換え量は飼料の乾物(水分を除いた重さ)1キログラムあたり50グラムと100グラムの2段階です。

60日間の給餌の後、骨付きのロース部分を採取し、温度2℃、相対湿度82%、風速毎秒0.4メートルの条件で42日間ドライエイジングしました。熟成開始時と、14日、21日、28日、35日、42日目に、腰の部分の最長筋という筋肉から試料を取り、分析しました。

主な結果

肉の細菌の総数は、中程度の温度で増える細菌、低温でも増える細菌のいずれについても、飼料による違いは見られませんでした。

一方、生体アミンには差が出ました。サイレージを与えた牛の肉では、熟成28日目以降に生体アミンの総量が対照の肉より少なく、ヒスタミンとプトレシンの濃度も低くなりました。また、カダベリンという生体アミンが現れる時期も対照より遅れたと報告されています。

香りに関わる成分では、脂質の酸化やアミノ酸の分解、ドライエイジング中の生化学的な変化に関係するアルデヒド類、ケトン類、アルコール類、脂肪族炭化水素など、いくつかの成分が、サイレージを与えた牛の肉より対照の肉で多くなりました。

食べて評価する試験では、ドライエイジングによって軟らかさと肉らしい風味が向上しました。ただし熟成が進んだ段階では、対照の肉で不快なにおいや味の評価点が高くなりました。全体的な好ましさの評価には、飼料による違いはありませんでした。

研究が示すこと

著者らは、仕上げ飼料にアーティチョーク苞サイレージを加えることで、長期のドライエイジング中に起こる生化学的な変化や官能特性の変化が調整される可能性があり、しかも牛肉の全体的な官能評価は損なわれないことが示唆されたとまとめています。牛に与える飼料の違いが、熟成中の肉の成分や風味の変化に関わりうることを示した研究です。

原著論文の著者・所属:Lucrezia Forte(Department of Veterinary Medicine, University of Bari Aldo Moro, Strada Provinciale per Casamassima Km 3, Valenzano, Bari 70010, Italy. Electronic address: [email protected])、Giuseppe Natrella(Department of Soil, Plant and Food Science DiSSPA, University of Bari Aldo Moro, Via Amendola, 165/a, I-70126 Bari, Italy. Electronic address: [email protected])、Igor Tomasevic(Faculty of Agriculture, University of Belgrade, Nemanjina 6, 11080 Belgrade, Serbia. Electronic address: [email protected])、David L. Hopkins(Canberra, Australian Capital Territory 2903, Australia)、Elisabetta Bonerba(Department of Veterinary Medicine, University of Bari Aldo Moro, Strada Provinciale per Casamassima Km 3, Valenzano, Bari 70010, Italy. Electronic address: [email protected])、Alessio Manfredi(Department of Veterinary Medicine, University of Bari Aldo Moro, Strada Provinciale per Casamassima Km 3, Valenzano, Bari 70010, Italy. Electronic address: [email protected])、Pasquale De Palo(Department of Veterinary Medicine, University of Bari Aldo Moro, Strada Provinciale per Casamassima Km 3, Valenzano, Bari 70010, Italy. Electronic address: [email protected])、Aristide Maggiolino(Department of Veterinary Medicine, University of Bari Aldo Moro, Strada Provinciale per Casamassima Km 3, Valenzano, Bari 70010, Italy. Electronic address: [email protected])

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Lucrezia Forte, Giuseppe Natrella, Igor Tomasevic, et al. Artichoke bracts silage in the finishing diet of beef steers: microbial, volatile, and sensory dynamics during dry aging. Meat Science 2026-08-11. DOI: 10.1016/j.meatsci.2026.110205. 原著ライセンス:CC BY.