著者の所属・活動拠点の国は、中国です。

掲載誌:Chemistry & Biodiversity

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

肥満が世界的に増えるなか、肥満に伴って肝臓に脂質がたまる状態への対策として、食品由来の成分に関心が寄せられています。研究チームは、野菜として食べられるアーティチョークのポリフェノールに注目し、肝臓での脂質蓄積を抑える機能性素材になりうるかを検討しました。

論文では、アーティチョークのポリフェノールにどのような成分が含まれているかを明らかにするとともに、肝細胞の脂質蓄積にどう関わり、その背景にどのような仕組みが考えられるかを調べています。紹介に用いた資料は論文の要旨で、以下は要旨に書かれた範囲の内容です。

ポリフェノールの成分

研究チームは、アーティチョークのつぼみを包む「苞(ほう)」と呼ばれる部分を内側と外側に分け、それぞれからポリフェノールを得ました。成分の分析には、成分を分離して種類を見分ける機器分析(HPLC-MS)を使い、半定量的に評価しています。

その結果、1,4-ジカフェオイルキナ酸とクロロゲン酸の2成分が、ポリフェノール全体のピーク面積の60〜80%を占めていたと報告されています。また、内側の苞から得たポリフェノールは、外側の苞から得たものより純度が高く、フェノール酸類の含有量も多かったとされています。

細胞実験の結果

研究チームは、肝臓の細胞として研究で広く使われる培養細胞HepG2に脂肪酸の一種であるオレイン酸を加え、脂質を多くため込んだ状態をつくりました。この細胞に、細胞を傷つけない濃度のアーティチョークのポリフェノールを加えたところ、細胞内の脂肪の粒(脂肪滴)の蓄積、中性脂肪、総コレステロールが有意に減り、加えた量が多いほど減り方が大きくなったと報告しています。

仕組みについては、ポリフェノールの作用がAMPKという経路の活性化と関連していたとされています。AMPKは細胞のエネルギー状態に応じて代謝を調節する酵素です。具体的には、AMPKαとその活性化した形(リン酸化AMPKα)、脂肪酸をミトコンドリアで燃やす過程に関わるCPT1Aが大きく増えました。一方で、脂肪酸の取り扱いに関わるFABP4や、脂肪の合成・蓄積に関わる調節因子PPARγは減少していたと報告されています。

研究が示すこと

著者らは、アーティチョークの苞に含まれるポリフェノールが肝細胞での脂質蓄積の軽減と関連しており、その背景には、PPARとAMPKの経路が連動して調節され、ミトコンドリアでの脂肪酸の分解が高まり、新たな脂肪の合成が抑えられることが関わっている可能性があると考察しています。

今回の結果は培養細胞で得られたもので、人での効果を示したものではありません。著者らは、肥満に関連する代謝の不調への対策に役立つ天然の機能性素材として、さらに調べる価値があると位置づけています。

原著論文の著者・所属:Wenyang Tao(Institute of Food Science Zhejiang Academy of Agricultural Sciences Hangzhou Zhejiang China)、Chenchen Yang(Institute of Food Science Zhejiang Academy of Agricultural Sciences Hangzhou Zhejiang China)、Quanqin Tan(Institute of Food Science Zhejiang Academy of Agricultural Sciences Hangzhou Zhejiang China)、Wanyi Zhou(Institute of Food Science Zhejiang Academy of Agricultural Sciences Hangzhou Zhejiang China)、Jianrong Xing(Institute of Food Science Zhejiang Academy of Agricultural Sciences Hangzhou Zhejiang China)、Jingrui Li(Institute of Food Science Zhejiang Academy of Agricultural Sciences Hangzhou Zhejiang China)、Mengfan Luo(Institute of Food Science Zhejiang Academy of Agricultural Sciences Hangzhou Zhejiang China)、Ying Yang(Institute of Food Science Zhejiang Academy of Agricultural Sciences Hangzhou Zhejiang China)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Wenyang Tao, Chenchen Yang, Quanqin Tan, et al. Artichoke Polyphenols Rich in 1,4‐Dicaffeoylquinic Acid Regulate Lipid Metabolism via the PPAR and AMPK Pathways to Alleviate Hepatic Lipid Accumulation. Chemistry & Biodiversity 2026-10-01. DOI: 10.1002/cbdv.71750. 原著ライセンス:CC BY.