掲載誌:Journal of Educational Innovation and Public Health
ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的:身近な食品で貧血を支えられるか
貧血は思春期の女子に多い健康問題で、多くは鉄分の不足によって起こります。思春期には成長のために鉄の必要量が増え、月経による出血もあるため、鉄が不足しやすくなります。論文によれば、鉄不足は疲れやすさや集中力の低下につながり、長く続くと将来の生殖に関わる健康にも影響しうるとされています。
インドネシアでは、思春期の女子に鉄剤(増血錠)を配る取り組みが行われています。それでも貧血の例は残っているため、食事から鉄を補う方法も支えとして考えられています。鶏卵と大豆は、いずれもたんぱく質と鉄を含みます。どちらも、血液中で酸素を運ぶ色素たんぱく質であるヘモグロビンをつくるのに役立つ栄養素です。
研究チームは、ゆで卵と大豆を直接比べた研究は少ないと指摘しています。そこで、インドネシア・バタム市の公立高校(SMA Negeri 26)で、貧血のある女子生徒を対象に、両者がヘモグロビン値に与える影響の違いを調べました。
どのように調べたか
研究は2025年9月に行われました。対象は貧血のある15〜18歳の女子生徒32人です。研究者が定めた条件に合う生徒を選び、16人ずつ「ゆで卵を食べるグループ」と「大豆を食べるグループ」に分けました。参加者をくじ引きのように無作為に割り振る方法ではなく、二つのグループを比べる「準実験」と呼ばれるデザインです。
条件として、卵や大豆にアレルギーがないこと、ビタミンCやサプリメント、鉄剤をとっていないことなどが求められました。重い慢性の病気がある人や、研究中に輸血を受けた人は対象から外されました。
それぞれの食品を7日間とってもらい、その前後でヘモグロビン値を測りました。各グループの中で、前後の値に統計的に意味のある変化があるかを調べる手法(対応のあるt検定)で分析しています。
主な結果:どちらのグループでも値が上がった
ゆで卵のグループでは、ヘモグロビン値の平均が1デシリットルあたり11.48グラムから12.08グラムへ上がりました。上昇幅は0.60グラムです。前後の変化は統計的に意味のあるものでした(p値0.000)。介入後には16人中10人が正常値に達したと報告されています。
大豆のグループでは、平均が11.20グラムから12.90グラムへ上がり、上昇幅は1.70グラムでした。この変化も統計的に意味のあるものでした(p値0.002)。介入後には16人中11人が正常値に達したとされています。
平均の上昇幅で見ると、大豆のグループのほうがゆで卵のグループより大きくなりました。ただし著者らは結論で、この差は数値を並べて比べた結果にとどまると述べています。二つのグループを直接比べた統計検定の結果がはっきり示されていないため、差が統計的に確かなものとはまだ言えない、という立場です。
この研究が示すこと
この研究は、貧血のある女子高校生がゆで卵や大豆を1週間とった前後で、どちらのグループでもヘモグロビン値が上がったことを報告しています。手に入りやすい食品を使った取り組みを考えるうえで、一つの材料になる結果です。一方で、大豆のほうが優れているかどうかは、この研究の範囲では統計的に確かめられていません。少人数で、無作為に割り振っていない一つの学校での結果として受け止めるのが適切です。
原著論文の著者・所属:Mimit Fitriani(Institut Kesehatan Mitra Bunda Batam)、Siti Husaidah(Institut Kesehatan Mitra Bunda Batam)、Rofiqo Larasati Philip(Institut Kesehatan Mitra Bunda Batam)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Mimit Fitriani, Siti Husaidah, Rofiqo Larasati Philip Perbedaan Pengaruh Pemberian Telur Ayam Rebus dan Kacang Kedelai terhadap Kadar Hemoglobin Remaja Putri dengan Anemia di SMA Negeri 26 Batam. Journal of Educational Innovation and Public Health 2026-10-01. DOI: 10.55606/innovation.v4i4.10382. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.
本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。