著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。
掲載誌:Jurnal Ilmiah Kesehatan
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
貧血は思春期の女子にとって今も重要な健康課題です。成長期で栄養の必要量が増える一方、月経によって鉄が定期的に失われるため、日々の食事の内容が血液中のヘモグロビン(酸素を運ぶ赤血球の成分で、貧血の目安となる値)の維持に関わると考えられています。
鉄の吸収のされ方は食品によって異なります。肉や魚に含まれる鉄は比較的吸収されやすく、植物性食品に多い鉄は一緒にとる食品の影響を受けやすいとされます。ビタミンCは吸収を助け、お茶などに含まれる成分は吸収を妨げることがあります。著者らは、これまでの研究の多くが個々の食品や習慣を別々に調べてきたことを踏まえ、複数の食習慣を一つのモデルの中で同時に扱い、女子高校生のヘモグロビン値とどのように関連するかを調べることを目的としました。
何をどのように調べたか
研究チームは、インドネシア・デポック市の公立高校に通う女子生徒60人(16〜19歳、平均17歳)を対象に、ある一時点での状態を調べる横断研究を行いました。ヘモグロビン値は携帯型の測定器で直接測りました。
食習慣は、過去1か月にどのくらいの頻度で各食品を食べたかを尋ねる簡易な質問票で調べ、六つのまとまりに分けました。肉・レバー・鶏肉・魚・卵などの動物性食品、テンペ・豆腐・豆類・緑黄色野菜などの植物性食品、柑橘類やグァバなどのビタミンC源となる果物、食事の時間帯にお茶・コーヒー・牛乳を控える習慣、朝食や1日3食の規則性、そして間食を主食代わりにすることやファストフード・スナック菓子を控える習慣です。
分析には、複数の要因をまとめて一つのモデルに組み込み、それぞれの要因と結果との関連の強さを同時に推定できるPLS-SEM(部分的最小二乗法による構造方程式モデリング)という統計手法が使われました。
主な結果
参加者のヘモグロビン値の平均は12.68 g/dLで、論文が用いた基準(12 g/dL未満)では、60人中22人(36.7%)が貧血に該当しました。
六つの食習慣を合わせたモデルは、ヘモグロビン値のばらつきの27.1%を説明したと報告されています。つまり、残りの多くは食習慣以外の要因によると考えられます。
六つのうち統計的に意味のある関連が認められたのは、健康的でない間食を控える習慣だけでした。この習慣がしっかりしている生徒ほど、ヘモグロビン値が高い傾向が見られました。動物性食品、植物性食品、ビタミンC源の果物、吸収を妨げる飲み物を控える習慣、食事の規則性は、いずれもヘモグロビン値が高い方向の関連を示したものの、統計的に意味のある差とはなりませんでした。また、各要因が単独で持つ影響の大きさは、どれも小さいか非常に小さいと評価されています。
著者らは、間食を控える習慣との関連について、特定のお菓子が直接ヘモグロビン値を左右するというより、主食を間食で置き換えないことが、栄養密度の高い食事全体を表す目印になっている可能性があると考察しています。動物性食品などで関連が見られなかった点については、質問票が食べる頻度だけを尋ね、量や一食の分量を測っていないことなどが理由として挙げられており、これらの食品が重要でないことを意味するわけではないとしています。
この研究が示すこと
この研究は、一時点の調査であるため因果関係を示すものではなく、対象者が60人と少ないこと、鉄の蓄えを示すフェリチンなどの検査を行っていないこと、月経や栄養状態などの要因をモデルに含めていないことを、著者ら自身が限界として挙げています。
そのうえで著者らは、女子高校生のヘモグロビン値は特定の一つの食品だけでは説明しきれず、食事全体のあり方、とりわけ主食を間食で置き換えるような習慣を控えることに目を向ける必要があると結論づけています。学校での貧血予防の取り組みに、栄養教育と健康的でない間食を控える働きかけを含めることが、論文の中で提案されています。
原著論文の著者・所属:Petrus Geroda Beda Ama(Universitas Mohammad Husni Thamrin, Indonesia)、Desi Rusmiati(Universitas Mohammad Husni Thamrin , Indonesia)、Dwi Wahyuni(Universitas Mohammad Husni Thamrin , Indonesia)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Petrus Geroda Beda Ama, Desi Rusmiati, Dwi Wahyuni. Determinants Of Hemoglobin Levels As Anemia Indicator Based On Consumption Patterns In Adolescent Girls: A PLS-SEM Approach. Jurnal Ilmiah Kesehatan 2026-10-21. DOI: 10.37012/jik.v18i2.3843. 原著ライセンス:CC BY.