著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。

掲載誌:Jurnal Ilmu Gizi dan Dietetik

ライセンス: CC BY 4.0 確認元: 雑誌の掲載方針

研究の目的

思春期の女子は、成長に伴って必要な栄養が増えるため、栄養の問題を抱えやすい時期にあるとされます。そのひとつが「慢性エネルギー不足(CED)」です。CEDは食事からの摂取不足が長く続くことで起こる低栄養の状態を指し、健康や生産性、生活の質に悪影響を及ぼすと説明されています。

研究チームは、CEDに直接関わる要因として食事からの摂取量、間接的な要因として栄養に関する知識と「ボディイメージ」(自分の体をどう感じ、評価しているか)に注目しました。そして、インドネシア・中部ジャワ州の公立高校であるSMA Negeri 1 Mojolabanの女子生徒を対象に、これらの要因とCEDとの関連を調べました。論文によると、中部ジャワ州の非妊娠女性のCED有病率は全国平均を上回っています。一方で、この地域の学校で3つの要因をまとめて調べた研究はまだ少ないことが、研究の背景として挙げられています。

調査の方法

研究は、ある一時点で全員のデータを集める横断研究として行われました。在籍する女子生徒427人のうち、条件を満たした10〜11年生(15〜18歳)91人が参加しました。特別な食事制限をしている生徒は対象外とされ、データは2024年8月から2025年1月にかけて集められました。

CEDかどうかは、上腕の周囲の長さ(上腕周囲長)で判定しました。23.5センチ未満をCEDとしています。食事については、過去1か月に何をどのくらいの頻度と量で食べたかを聞き取る質問票を使いました。そこからエネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物の摂取量を推定し、推奨量に対する充足度で分類しています。あわせて、10問の栄養知識テストと、体型への気がかりの程度を測る34問の質問票にも回答してもらいました。分析では、各要因とCEDの関連をそれぞれ調べたあと、複数の要因を同時に考慮する回帰分析を行いました。

主な結果

参加者の74.7%がCEDに該当しました。食事の摂取量が推奨量の80%に届かない生徒の割合は、エネルギーで72.5%、たんぱく質で63.7%、脂質で74.7%、炭水化物で78%でした。エネルギー摂取量の平均は1日約1,555キロカロリーです。聞き取りでは、朝食を抜いて登校し、主な食事は1日2回程度という生徒が多かったと報告されています。

栄養知識は、「普通」の水準が51.6%、「低い」が42.9%、「良い」は5.5%にとどまりました。生徒たちは、学校でも家庭でもSNSでも、CEDに関する栄養教育を受けた経験がなかったと話しています。ボディイメージについては、90.1%が体型を気にしない「無関心」に分類されました。

要因を一つずつ調べた分析では、4種類の摂取量、栄養知識、ボディイメージのいずれもCEDと統計的に有意な関連を示しました。続く回帰分析では、互いに強く重なり合う脂質と炭水化物をモデルから外し、エネルギー摂取量、たんぱく質摂取量、栄養知識、ボディイメージの4つを同時に検討しました。その結果、有意だったのはエネルギー摂取量、栄養知識、ボディイメージの3つで、たんぱく質摂取量は有意ではありませんでした。著者らは、このうちエネルギー摂取量が最も大きく関わる要因だったと報告しています。

研究が示すこと

著者らは、CEDに該当した生徒の多くが体型に無関心だった点に着目しています。体型を気にしないことは一見すると前向きな態度に見えますが、食生活への関心の低さにつながり、栄養状態にとってはかえって不利に働く可能性がある、というのが著者らの解釈です。なお、この研究は一時点の調査であり、示されたのは要因とCEDとの関連です。

研究チームは、この学校の女子生徒の間ではCEDが広くみられ、なかでもエネルギー摂取の不足が最も強く関わっていたと結論づけています。そのうえで、十分なエネルギーをとること、栄養教育、健全なボディイメージを育むことを組み合わせた、包括的な取り組みが必要だと述べています。

原著論文の著者・所属:Deswita Ayu Fitriany(Jurusan Gizi, Fakultas Ilmu Kesehatan, Universitas Kusuma Husada, Surakarta, Jawa Tengah 57136, Indonesia)、Fanny Novanty Nur Hanifah(Jurusan Gizi, Fakultas Ilmu Kesehatan, Universitas Kusuma Husada, Surakarta, Jawa Tengah 57136, Indonesia)、Bahriyatul Ma’rifah(Jurusan Gizi, Poltekkes Kemenkes Semarang, Semarang, Jawa Tengah 50192, Indonesia)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Deswita Ayu Fitriany, Fanny Novanty Nur Hanifah, Bahriyatul Ma’rifah. Relationship Dietary Intake, Knowledge Level, and Body Image Incidence of Chronic Energy Deficiency in Adolescent Girls. Jurnal Ilmu Gizi dan Dietetik 2026-09-30. DOI: 10.25182/jigd.2026.5.3.703-712. 原著ライセンス:CC BY.