パントテン酸の1日の目安量は、30〜49歳女性で5mgです。この量を可食部100gあたりで軽々と超える食品の代表格が、実はレバー類です。にわとり 肝臓 生は100gあたり10mg、ぶた スモークレバーは7.28mg、ぶた 肝臓 生は7.19mgと、いずれも可食部100gあたりでは目安量を超える数値が並びます。パントテン酸は、体内で「コエンザイムA」という補酵素の構成成分になり、糖や脂肪酸の代謝にかかわるほか、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素とされています。名前だけ聞くとなじみがなくても、体のエネルギー代謝を陰で支えている存在だとイメージすると分かりやすいでしょう。「レバーを食べればパントテン酸は万全」と思いたくなる並びですが、この上位表にはもう一つ、見過ごせない共通点が隠れています。
上位5食品を読み解く
第1位・第3位・第4位はすべてレバー、そして同じ落とし穴
パントテン酸の多い上位に並ぶにわとり肝臓(10mg)、ぶた スモークレバー(7.28mg)、ぶた 肝臓(7.19mg)は、いずれもレバー類という共通点を持ちます。そしてもう一つの共通点が、ビタミンA(レチノール)の多さです。にわとり 肝臓 生は可食部100gあたりレチノール14000µg、ぶた スモークレバーは17000µg、ぶた 肝臓 生は13000µgを含みます。ビタミンAには耐容上限量が定められており、30〜49歳女性では2700µgRAEです。にわとり肝臓の場合、可食部100gでこの上限のおよそ5.2倍、控えめな一食分(約50g)に換算しても2倍を超える計算になります。ビタミンA(レチノール)は脂溶性で体に蓄積しやすいとされ、多量・連日の摂取やサプリメントとの併用、妊娠中は過剰摂取に注意が必要とされます。パントテン酸を狙ってレバーを選ぶと、意図せずビタミンAをかなりの量とることになる——これが上位表に隠れた落とし穴です(通常の食事で時折とる分には問題になりにくいとされます)。
第2位だけがレバーではない――しいたけの意外な立ち位置
ここで一段、予想を裏切るのが2位の乾しいたけ 乾です。パントテン酸8.77mgと、1位のにわとり肝臓に迫る数値を持ちながら、レチノールは含みません。かわりに際立つのが、りんごやぶどう(ワイン)などの果実に多いことで知られる酸味成分「リンゴ酸」を1.0g含む点です。乾しいたけ1個はおよそ2〜4g程度と使う量はごくわずかですが、水で戻して煮物や炊き込みご飯に使えば、レバーとは違う経路でパントテン酸を補える選択肢になります。上位表がレバーで塗り固められているように見えて、実は動物性食品に偏らない道も用意されている——ここが今回のデータの隠れた面白さです。
第5位・牛レバーはレチノールが控えめ
5位のうし 肝臓 生はパントテン酸6.4mgで、他のレバー同様に可食部100gあたりでは目安量を上回ります。ただしレチノールは100gあたり1100µgと、鶏や豚のレバーに比べると一段控えめです。同じ「レバー」という括りでも、動物種によってビタミンAの含有量にはこれだけの差があることが分かります。
まとめ――上限が「ある栄養素」と「ない栄養素」を見分ける
今回の上位表は、栄養素には「たくさんとっても上限の心配がいらないもの」と「とりすぎに注意すべきもの」があることを教えてくれます。パントテン酸には耐容上限量が定められておらず、通常の食事で不足しにくい栄養素とされます。一方でレバー類が同時に多く含むビタミンA(レチノール)には上限があり、脂溶性で蓄積しやすい性質を持ちます。日々の選び方としては、レバーは頻度と量をほどほどにしつつ、乾しいたけのような植物性食品も織り交ぜると、パントテン酸をとりながらビタミンAのとりすぎを避けやすくなります。数字の背景まで知っておくと、レバーは「怖い食材」ではなく「量を意識して付き合う食材」として上手に使えます。
栄養素のはたらき・摂取基準の記述は、次の公的資料に基づきます:厚生労働省 食事摂取基準
※本記事は日本食品標準成分表(八訂)および日本人の食事摂取基準(2025年版)のデータ等をもとに作成しました。