著者の所属・活動拠点の国は、インド、中国です。

掲載誌:Aquaculture Journal

ライセンス: CC BY 4.0 対象: 公開論文 確認元: 論文PDF

養殖飼料と食料資源としての可能性を整理

養殖の拡大に伴って飼料用の魚粉の需要が高まるなか、代わりとなるたんぱく質源の探索が進んでいます。著者らは、水生植物ウォルフィア・グロボーサについて、栄養成分や栽培方法、養殖飼料・食品としての利用可能性を既存の研究から整理しました。新たな飼育実験ではなく、これまでの知見をまとめた総説です。

ウォルフィア・グロボーサは、根を持たず、水面に浮かぶ非常に小さな植物です。著者らは、増殖の速さと水中の栄養分を取り込む性質に着目し、栄養資源の生産と資源循環を結び付ける可能性を検討しています。

速い増殖と豊富な栄養成分

論文によると、この植物は主に芽をつくって増え、好条件では約48時間で量が倍になります。池や水槽、浅い容器などで栽培できますが、生産量や栄養成分は、肥料の与え方、光、塩分などの条件に左右されます。著者らは、収量が最大になる栽培方法が、必ずしも費用面でも最適とは限らないと説明しています。

総説で示されたたんぱく質含有量は、乾燥重量の20〜48%です。必須アミノ酸のほか、多価不飽和脂肪酸、食物繊維、ビタミン、ミネラルも含むと報告されています。また、著者らがまとめた水生動物への給餌研究では、成長や飼料の利用効率、生理的な健康状態を改善する可能性が示されています。

栄養を回収し、再び利用する資源へ

著者らは、水中の窒素やリンを吸収する能力も重要だとしています。養殖と組み合わせれば、水中の栄養分を植物体に取り込み、回収した植物を資源として使うことで、水質改善と栄養分の再利用を結び付けられる可能性があります。

一方、論文は、栄養成分のばらつき、大規模栽培のデータや長期給餌試験の不足、工業規模での採算性の不確かさも挙げています。総説が示すのは、ウォルフィア・グロボーサが、魚粉への依存を減らす栄養源と、水中の栄養分を循環させる資源という二つの役割を担いうる、まだ開発途上の素材だということです。

原著論文の著者・所属:S. Deepan Rajesh(College of Fisheries, Central Agricultural University (Imphal), Lembucherra 799210, Tripura, India)、Nitesh Kumar Yadav(College of Fisheries, Maharana Pratap University of Agriculture and Technology, Udaipur 313001, Rajasthan, India)、Jaya Angom(College of Fisheries, Central Agricultural University (Imphal), Lembucherra 799210, Tripura, India)、Nidhi Kumari(College of Fisheries, Central Agricultural University (Imphal), Lembucherra 799210, Tripura, India)、Edward Inpent Campal(Fish Genetics and Biotechnology Division, ICAR—Central Institute of Fisheries Education, Versova, Mumbai 400061, Maharashtra, India)、Pandi Kalaiselvan(Dr. MGR Fisheries College and Research Institute, Tamil Nadu Dr. J. Jayalalithaa Fisheries University, Thalainayeru 601204, Tamil Nadu, India)、Parvind Kumar(College of Fisheries, Central Agricultural University (Imphal), Lembucherra 799210, Tripura, India)、Mian Adnan Kakakhel(College of Hydraulic & Environmental Engineering, China Three Gorges University, Yichang 443002, China)、Arun Bhai Patel(College of Fisheries, Central Agricultural University (Imphal), Lembucherra 799210, Tripura, India)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):S. Deepan Rajesh, Nitesh Kumar Yadav, Jaya Angom, et al. Wolffia globosa as a Multifunctional Sustainable Bioresource: Applications in Aquaculture Nutrition, Functional Foods, and Circular Bioeconomy. Aquaculture Journal 2026-08-31. DOI: 10.3390/aquacj6030038. 原著ライセンス:CC BY.