著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。
掲載誌:Jurnal Multidisiplin Dehasen (MUDE)
ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
地域の二つの食材を組み合わせる狙い
インドネシアには「アボン」と呼ばれる伝統的な保存食があります。肉や魚をゆでて細かくほぐし、香辛料やココナッツミルクで味付けしてから、からからになるまで炒めたり揚げたりした、日本のでんぶや肉そぼろに近い乾燥食品です。水分が少ないため日持ちがよく、おかずとして手軽に使えます。
研究チームが注目したのは、スマトラ島南西部のブンクル州で身近な二つの食材です。一つは「ロカン」と呼ばれる淡水の二枚貝で、地元では人気の食材ですが、料理はルンダンやグライといった煮込みのおかずにほぼ限られています。もう一つはバナナの花の部分(バナナハート)で、農業の廃棄物とみなされることが多いものの、食物繊維などを含みます。著者らは、食べられる品種の一つであるクポック種のバナナの花を使いました。
この研究の目的は、ロカンのアボンにバナナの花を混ぜたとき、製品の品質がどう変わるかを調べ、最も良い配合を決めることです。地元の食材を活用して食品の種類を広げる取り組みとして位置づけられています。
五つの配合で作って比べる
研究チームは、ロカンの身とバナナの花の割合を100対0、90対10、80対20、70対30、60対40の5通りに変えてアボンを作りました。各配合を3回ずつ繰り返し、統計的な手法で配合ごとの違いが偶然の範囲を超えるかどうかを確かめています。材料はブンクル市内の市場で調達し、エシャロット、ニンニク、レモングラス、ココナッツミルクなどで味付けしました。
調べた項目は、出来上がり量の割合(原料の重さに対する製品の重さで、歩留まりと呼ばれます)、水分、タンパク質、食物繊維の量です。さらに20人の半訓練パネリストが、色、味、香り、食感の好ましさを1〜5の5段階で評価しました。
バナナの花を増やすと繊維は増え、タンパク質と水分は減った
論文の表によると、歩留まりは22.14%から25.31%の範囲でした。ロカンだけの配合と90対10の配合が25.31%で最も高く、バナナの花が最も多い60対40の配合が22.14%で最も低くなりました。著者らは、バナナの花は水分が多く、加熱や乾燥の過程で目減りしやすいためではないかと考察しています。
水分はロカンだけの配合が13.47%で最も高く、バナナの花を増やすほど下がって、60対40の配合では6.92%になりました。インドネシア国家規格ではアボンの水分は7%以下とされており、論文はこの基準を満たしたのは60対40の配合だけだったと報告しています。
タンパク質は、ロカンだけの配合の35.00%から、60対40の配合の15.30%まで、バナナの花が増えるほど低下しました。動物性のロカンに比べ、植物性のバナナの花はタンパク質が少ないためと説明されています。それでも、国家規格が定める最低15%は全ての配合で満たしていました。一方、食物繊維は0.51%から1.08%へと、バナナの花の割合が増えるにつれて高くなりました。
色や味などの官能評価について、論文は具体的な点数を示していませんが、バナナの花の添加は評価に影響し、一定の量までであればパネリストに十分受け入れられたと結論で述べています。
最も良い配合と研究の意味
最適な配合については、論文内で二つの判断が示されています。結果の節では、原料の利用効率を表す「生産性値」が最も高かった70対30の配合を最良としています。一方、結論では、化学的な成分と官能評価を総合的に考えた結果として、ロカン80%、バナナの花20%の配合を最良の処理と定め、栄養のバランス、良好な食感、比較的高い好ましさを理由に挙げています。要旨でも80対20が最良とされています。
この研究は、地元で親しまれる貝と、捨てられがちなバナナの花という身近な二つの食材を組み合わせ、保存のきく加工食品を作る試みです。バナナの花を混ぜると、食物繊維が増える一方でタンパク質は減るという、配合による品質の違いが具体的な数値で示されました。地域の食材の新しい使い道を探るうえで、配合の決め方を考える手がかりとなる報告です。
原著論文の著者・所属:Geri Geri(Universitas Dehasen Bengkulu)、Lina Widawati(Universitas Dehasen Bengkulu)、Hesti Nur’aini(Universitas Dehasen Bengkulu)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Geri Geri, Lina Widawati, Hesti Nur’aini Pengembangan Abon Lokan Berbasis Substitusi Jantung Pisang Kepok sebagai Pangan Lokal. Jurnal Multidisiplin Dehasen (MUDE) 2026-07-28. DOI: 10.37676/mude.v5i3.11151. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.
本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。