著者の所属・活動拠点の国は、東ティモールです。
掲載誌:Siber Journal of Advanced Multidisciplinary
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
捨てられがちなバナナの球茎を食品に
バナナの株元には、球茎(コーム)と呼ばれる地下の茎の部分があります。新しい芽を育てるために水分や養分を蓄える器官ですが、収穫後は農業廃棄物として扱われることが多く、食品としてはあまり使われていません。研究チームは、この球茎を付加価値のある食品原料として使う道を探りました。
題材に選ばれたのは、揚げて作るクラッカーです。クラッカーにはキャッサバのでんぷんから作るタピオカ粉がよく使われ、揚げたときの膨らみや食感に関わります。著者らは、球茎とタピオカ粉をどの割合で混ぜると食べる人に好まれるかを調べ、さらに家庭規模で作って売る事業として成り立つかを検討しました。
5通りの配合で試作し、味や食感を評価
実験では、合計1000グラムのうち球茎を300グラムから700グラムまで100グラム刻みで増やし、その分タピオカ粉を減らした5通りの配合を用意しました。各配合は3回ずつ繰り返して作られています。すりつぶした球茎をタピオカ粉、コリアンダー、ニンニク、キャンドルナッツ、塩、水と混ぜて生地にし、蒸してから薄く切り、乾燥させて油で揚げました。
できあがったクラッカーは、訓練を受けていない20人の評価者が、色、香り、味、食感などについて「とても嫌い」の1点から「とても好き」の5点までの5段階で評価しました。この方法は官能評価と呼ばれ、人の感覚で食品の好ましさを測るものです。結果は統計的に比較され、色・香り・味・さくさく感を重み付けして一つの点数にまとめる指標を使って、総合的に最も良い配合が選ばれました。
球茎とタピオカ粉を半分ずつにした配合が総合1位
色、香り、味、さくさく感のいずれでも、球茎500グラムとタピオカ粉500グラムを同量ずつ混ぜた配合が最も高い平均点を得ました。たとえば味の平均点は、この配合が4.99点で最も高く、最も低い配合は4.75点でした。どの配合もおおむね好意的に評価されています。
ただし論文は、配合の違いによる評価の差は、どの項目でも統計的に意味のある差とは認められなかったと報告しています。そのうえで、重み付けした総合指標では同量配合が最高値となり、最も好まれた配合として選ばれました。著者らは、球茎が多すぎると色が濃くなったり特有の土っぽい香りが強まったりし、タピオカ粉が多すぎると球茎らしさが薄れる可能性を考察しています。
選ばれた配合で家庭規模の生産を想定した試算では、100グラム入りの袋を1日145袋作り、1袋あたりの生産費を0.31米ドル、販売価格を0.36米ドルとしました。その結果、収入と費用の比率は1.16、損益分岐点は約1万7795袋(販売額で約2189米ドル)と報告され、著者らは収入が費用を上回るため事業として成り立つと結論づけています。
農業廃棄物を収入源に変える可能性
この研究は、普段は捨てられるバナナの球茎を、タピオカ粉と同量で組み合わせることで、好まれるクラッカーに加工できることを示しました。同時に、小規模な家庭での生産でも採算が見込めるという試算も示しています。
一方で著者らは、球茎が一つの入手先に限られていたこと、評価者が20人だったこと、栄養成分や保存性、微生物面の品質は調べていないことを限界として挙げています。研究の結果は、こうした条件の範囲で示されたものです。
原著論文の著者・所属:Justino Mendes Pereira(Universitas Oriental Timor Lorosa’e)、Celestino Mendes Pereira(Universitas Oriental Timor Lorosa’e)、Armando Afonso(Universitas Oriental Timor Lorosa’e)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Justino Mendes Pereira, Celestino Mendes Pereira, Armando Afonso. An Investigation of the Proportion of Banana Corm and Tapioca Flour on the Organoleptic Properties of Crackers and Their Business Feasibility. Siber Journal of Advanced Multidisciplinary 2026-08-12. DOI: 10.38035/sjam.v4i2.1009. 原著ライセンス:CC BY.