著者の所属・活動拠点の国は、パキスタンです。

掲載誌:International Journal of Agriculture Innovations and Cutting-Edge Research (HEC Recognised)

ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

収穫後に失われるタマネギを加工で生かす

パキスタン南部のシンド州は、タマネギの主要な産地です。一方で、市場や加工設備が不足しているため、多くの生のタマネギが使われないまま無駄になっています。論文は先行研究を引用し、パキスタンでは毎年およそ30〜40%のタマネギが失われていると紹介しています。

研究チームは、タマネギを加工品にして付加価値を高める「価値付加」に注目しました。生のタマネギを粉末や揚げ物、漬物などに加工すれば、保存期間を延ばし、収穫後の損失を減らせる可能性があります。そこでこの研究では、いくつかの加工法でタマネギ製品を作り、加工法によって品質や食べたときの好ましさがどう変わるかを調べました。

6種類のタマネギ製品を作って比べる

研究チームは、地元の市場で購入したタマネギから6種類の試料を用意しました。比較の基準となる薄切りの生タマネギに加え、60℃の熱風で24時間乾燥させた乾燥タマネギ、乾燥させたものを細かく挽いたタマネギ粉末、180℃の油で揚げたフライドオニオン、衣をつけて揚げたオニオンリング、酢と水を1対1で混ぜて食塩を2%加えた液に3日間漬けたタマネギの漬物です。

それぞれの製品について、水分量、灰分(燃やした後に残る成分で、ミネラル量の目安)、糖などの溶けている成分の量を示す糖度(°Brix)、酸性度を表すpHを測りました。あわせて、かさの詰まり具合を示すかさ密度、水をどれだけ抱え込めるかを示す保水性、油をどれだけ吸うかを示す吸油性も調べました。さらに、見た目、色、風味、食感、味、総合的な好ましさを、「非常に嫌い」から「非常に好き」までの9段階で評価する官能評価も行いました。

加工法で水分や油の吸収、好まれ方が大きく変わる

論文によると、水分量は加工法によって大きく異なりました。生タマネギは88.2%と最も高く、漬物も82.1%と高い値でした。揚げたフライドオニオンとオニオンリングはそれぞれ55.8%と60.4%で中間でした。これに対して、乾燥タマネギは7.3%、タマネギ粉末は5.1%と非常に低くなりました。灰分は粉末が4.5%で最も高く、生タマネギは0.5%で最も低い値でした。著者らは、乾燥と粉砕によってミネラルが濃縮されたためと説明しています。

pHは漬物が4.1で最も低く、ほかの製品よりはっきり酸性でした。これは酢を含む漬け液の影響と考えられています。油の吸収しやすさを示す吸油性は、フライドオニオンとオニオンリングで高く、粉末では最も低くなりました。

味や見た目の評価では、オニオンリングの総合的な好ましさが9点満点中8.6点で最も高く、フライドオニオンが8.1点で続きました。生タマネギは7.4点、漬物は7.2点でした。一方、乾燥タマネギは6.5点、タマネギ粉末は6.1点と低めでした。著者らは、揚げ調理によって色や香ばしさ、食感が良くなる一方、乾燥や粉末化では香り成分が失われたり、見た目がくすんだりすることが影響した可能性を挙げています。

用途に応じた加工法の選び方を示す結果

研究チームは、加工法の選択がタマネギ製品の品質を左右する重要な要因だと結論づけています。乾燥タマネギや粉末は水分が非常に少ないことから、著者らは保存期間を延ばし、販売先を広げるうえで最も可能性のある加工法と位置づけています。ただし、単独の食品としての好まれ方は低い評価でした。

反対に、揚げた製品は最も好まれましたが、油を多く含みます。このため著者らは、健康を意識する消費者向けには改良の余地があると指摘しています。この研究は、日持ちを重視するか、味の好まれやすさを重視するかによって適した加工法が異なることを、同じ原料から作った6種類の製品を並べて比べることで示しました。

原著論文の著者・所属:Dr. Tahseen Fatima Miano(Associate Professor, Institute of Food Sciences and Technology, Sindh Agriculture University, Tandojam, Pakistan)、Dr. Arif Ali Alvi(Associate Professor, Halal Certification, Testing, and Research Services (HCTRS), at the HEJ Research Institute of Chemistry, HEJ, Karachi, Pakistan)、Sadia(Post graduate student, Intitute of Food Sciences and Technology, Sindh Agriculture University, Tandojam, Pakistan)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Dr. Tahseen Fatima Miano, Dr. Arif Ali Alvi, Sadia Processing and Value Addition of Onion in Sindh Province of Pakistan. International Journal of Agriculture Innovations and Cutting-Edge Research (HEC Recognised) 2026-10-02. DOI: 10.67244/jai.bwo-researches.v4i3.a266. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.

本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。