この研究は、インドネシアの研究機関の研究論文です。
掲載誌:Jurnal Obsesi Jurnal Pendidikan Anak Usia Dini
ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
この研究は、超加工食品(UPF)の摂取が「隠れた飢餓」と幼児の認知発達にどう関わるのかを、既存の研究論文を整理して分析することを目的としています。UPFとは、一般の家庭の台所では使われないような原材料を用いて工業的に製造され、おいしさや手軽さを高めるよう設計された食品のことです。著者らは、キャンディー、加糖飲料、ファストフード、アイスクリーム、各種の袋菓子などをこの分類の例として挙げています。
もう一つの鍵となる言葉が「隠れた飢餓(hidden hunger)」です。これは、カロリーの摂取は足りているように見えても、鉄、ビタミンA、亜鉛、ヨウ素といった微量栄養素が不足している状態を指します。子どもが痩せて見えないため見落とされやすい点が特徴だと論文は説明しています。
著者らは、栄養と幼児の認知発達の関係はこれまで多く研究されてきたものの、UPFの摂取・隠れた飢餓・幼児の認知発達という三つを一つの分析枠組みにまとめた文献研究は、とくにインドネシアの文脈では非常に限られていると述べ、その空白を埋めることを研究の出発点としています。
どのように調べたか
研究方法は文献研究(literature study)です。著者らはGoogle ScholarとScienceDirectで、UPFの摂取、隠れた飢餓、栄養状態、幼児の認知発達に関連するキーワードを用いて論文を検索しました。対象としたのは2022年から2026年に公表され、全文が入手でき、インドネシア語または英語で書かれ、研究の焦点に合致する論文です。抄録しか入手できないもの、焦点に合わないもの、非学術的な出典のものは除外されました。
検索では29本の論文が得られ、題名と抄録による選別と全文の精読を経て、最終的に18本が主要な資料として採用されました。残る11本は、UPFの摂取・隠れた飢餓・幼児の認知発達の関係を具体的に扱っていないなどの理由で除外されています。採用された論文の知見は、幼児のUPF摂取、UPF摂取と隠れた飢餓の関係、隠れた飢餓が認知発達に与える影響、UPF摂取の予防における家庭と幼児教育機関の役割という四つのテーマに分類され、共通点・相違点・相互の関連を見るために叙述的な統合(ナラティブ・シンセシス)が行われました。
報告された主な結果
著者らの整理によれば、幼児のUPF摂取は、手軽さを重視する現代の食生活の変化とともに各国で増加傾向を示しています。加糖飲料、キャンディー、ファストフード、袋菓子などが、入手しやすさ、魅力的な味、大規模な販売促進に支えられて日常の食事の一部になってきており、もはや間食にとどまらないと論文は指摘します。
レビューされた研究では、加工食品を多くとる子どもほど果物・野菜・生鮮食品の摂取が少なくなる傾向があり、多量栄養素も微量栄養素も満たされにくくなると報告されています。UPFは糖・塩・脂肪が多く、ビタミンやミネラルが少ないため、満腹感は得られても必須の微量栄養素が供給されません。著者らは、UPFと隠れた飢餓の結びつきは直接的なものではなく、食事全体の質が継続的に低下する過程を通じて生じると述べています。
さらに、乳幼児期は脳の構造と機能が形づくられる重要な時期であるため、鉄・亜鉛・各種の必須ビタミンの不足は脳の発達を妨げ、注意、集中、記憶、学習への準備といった認知面の能力に影響しうると報告されています。論文が引用した研究の一つでは、中国・広西の4〜7歳の子ども228人を対象とした調査で、甘いキャンディーを頻繁に摂取することが言語理解指標(VCI)と全検査IQ(FSIQ)の得点の低下と有意に関連し、2種類以上のUPFを頻繁に併せて摂取する子どもでも言語理解能力の有意な低下がみられたとされています。
著者らは、健康的な食習慣の形成は子ども本人だけに左右されるのではなく、家庭、幼児教育(PAUD)機関、社会環境の役割に影響されるとも整理しています。保護者による食の選択と提供が重要な一方で、家計の状況や食品の入手しやすさなども関わるとされ、園における栄養教育やより健康的な食事の提供、保護者との継続的な連携が、UPFの摂取を抑える手立てとして挙げられています。
著者らは本レビューの限界も明示しています。採用した文献は研究デザイン、対象者の特性、焦点が異なるため、知見が常に一様ではなく、また三つの要素を特定して扱った研究自体がまだ比較的少ないと述べています。
この研究が伝えること
著者らの結論は、UPFの過剰な摂取が食事の質を下げ、エネルギーは足りて見えても微量栄養素が不足する隠れた飢餓のリスクを高め、それが脳の発達を通じて幼児の認知面の能力に影響しうるという、相互につながった一連の関係として示されています。見た目の栄養状態が良好でも栄養の質に目を向ける必要があるという視点を、この文献研究は提示しています。
著者:Najla Gania Ayashi(Universitas Negeri Surabaya)、Nadiyah Ilal Khoiroti(Universitas Negeri Surabaya)、Niha Nabila Hanan(Universitas Negeri Surabaya)、Wefa’ Faradila(Universitas Negeri Surabaya)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Najla Gania Ayashi, Nadiyah Ilal Khoiroti, Niha Nabila Hanan, Wefa’ Faradila Peran konsumsi makanan ultra-processed (UPF) terhadap Hidden hunger dan perkembangan kognitif anak usia dini: studi literatur. Jurnal Obsesi Jurnal Pendidikan Anak Usia Dini 2026-09-09. DOI: 10.31004/obsesi.v10i5.8560. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.
本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。