著者の所属・活動拠点の国は、ロシアです。

掲載誌:New Technologies

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

ひき肉を成形して作るカツレツ(ロシア風のハンバーグに近い料理)などの半製品は、肉製品の中でも大きな割合を占めます。研究チームは、健康上の制約がある人にも向けた機能性の肉半製品を開発するうえで、配合(レシピ)の最適化が重要だと考えました。

そこで著者らは、あまり使われてこなかった植物性の原料をひき肉に加えると、生の半製品から加熱後の完成品までの各段階で、製品の性質がどう変わるかを調べました。対象は、肉の生地(ひき肉)、野菜原料、そしてカツレツの半製品と、それを調理した完成品です。

何を調べたか

研究チームは、鶏肉、豚肉、牛肉を1種類以上組み合わせ、そこにズッキーニ、じゃがいも、キャベツ、にんじん、米、ひよこ豆などの植物性原料と香辛料を加えて、8種類のカツレツの配合を作りました。いずれも肉の割合は60.7〜75.7%、野菜は18.5〜23.5%、香辛料は0.8%でした。

比較の基準には、ロシアの給食向けレシピ集に載っている従来型のカツレツを用いました。著者らは、見た目・食感・味などの官能評価に加え、酸性度を示すpH、生地の密度、水分量、そして生地が水分を抱え込む力(保水性)などを測定しました。加熱はスチームコンベクションオーブンで行われました。

さらに、複数の材料の混合比率を体系的に変えて最適な組み合わせを探る「シンプレックス格子計画法」と呼ばれる実験計画の手法を使い、配合の比率を検討しました。論文によると、配合の変動幅は20%で、10通りの点で計算が行われました。

主な結果

材料の組み合わせによって、生地の扱いやすさや味ははっきり異なりました。論文によると、鶏皮とズッキーニを加えた配合は生地が柔らかすぎて成形に向かず、じゃがいもを加えた配合は形はよく保てたものの、じゃがいもの味が強く仕上がりのジューシーさに欠けました。キャベツや米を加えた配合は生地がぼろぼろになりやすく、形が崩れがちでした。にんじんでは甘みと肉らしくない色が出て、ひよこ豆では豆の風味が目立ちました。一方、牛肉・豚肉・ズッキーニの組み合わせは成形しやすく、焼き上がりもジューシーで肉の味がしっかりしており、技術面と官能面の両方で高い評価を得ました。著者らは結論で、この配合(牛肉・豚肉・ズッキーニを1対1対0.5)を最適なものとしています。

測定値として、生の半製品のpHは5.99〜6.42、完成品は6.22〜6.48でした。生地の密度は1立方センチメートルあたり0.958〜1.005グラム、水分量は73.0〜81.6%でした。保水性は高く、著者らはこれを米、大麦、ひよこ豆といった植物性原料の働きによるものとしています。ただし穀類は5〜15%という少量でも完成品に独特の味を与え、生地の扱いやすさを低下させたと報告されています。このため、最適化の計算では鶏肉、豚肉、ズッキーニが主な成分として選ばれました。

最適化された配合は、半製品100グラムあたりたんぱく質15.3グラム、脂質8.8グラム、炭水化物5.2グラム、160.4キロカロリーでした。論文では、たんぱく質12グラム、脂質9.0%の対照品と比べ、試作品の一つ(6番の配合)はたんぱく質が27.5%多かったと報告されています。また、180℃で加熱した際の重量の減少は、試作品が11.0〜13.0%で、対照品の19.0%より小さくなりました。

完成したカツレツの品質評価は平均4.5〜4.8点でした。冷蔵(0〜4℃)で7日間、冷凍(マイナス18℃)で90日間保存した後も評価は4.4〜4.8点で、著者らはこの製品群に求められる品質基準を満たしたとしています。

研究が示すこと

この研究は、ひき肉に加える野菜や穀類の種類によって、生地のまとまりや成形のしやすさ、加熱後のジューシーさや風味が大きく左右されることを、具体的な試作と測定で示しました。著者らは、適切な植物性原料を選ぶことで、肉らしい味を保ちながら、加熱による重量の減少を抑え、たんぱく質に富んだカツレツの配合が得られると報告しています。

原著論文の著者・所属:A. T. Vasyukova(Plekhanov Russian University of Economics; Russian State University of National Economy named V.I. Vernadsky)、K. V. Lyubimova(Plekhanov Russian University of Economics)、R. A. Edvars(Russian State University of National Economy named V.I. Vernadsky; Balashikha, the Russian Federation, )、A. F. Ivanov(Russian State University of National Economy named V.I. Vernadsky; Balashikha, the Russian Federation, )、F. N. Meretukova(Maikop State Technological University, RU)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):A. T. Vasyukova, K. V. Lyubimova, R. A. Edvars, et al. The influence of recipe components on the structure and nutritional value of semi-finished meat products. New Technologies 2026-10-13. DOI: 10.47370/2072-0920-2026-22-3-56-70. 原著ライセンス:CC BY.