著者の所属・活動拠点の国は、インドです。

掲載誌:International Journal of Science and Research (IJSR)

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

落花生(ピーナッツ)は、アジアやアフリカ、南北アメリカの一部などで広く栽培されている重要な油糧作物で、豆類でもあります。食料の安定供給や食用油の生産、農村の暮らしを支える作物とされています。一方、落花生から油を搾ると、油かすや薄皮、殻といった副産物が大量に出ます。著者らによると、これらは主に家畜の飼料や肥料など、価値の低い用途にとどまってきました。

著者らは、落花生の栄養成分、加工による変化、副産物の活用、健康との関わりをまとめて扱った最新の総説は少ないと指摘しています。そこで、主に2020年以降に発表された研究を整理し、現在の知見をまとめることを目的としました。この論文は新たな実験の報告ではなく、既存の研究結果を集めて紹介する総説です。

落花生と副産物の栄養成分

論文が引用した資料によると、落花生の種子(実)は100グラムあたりたんぱく質を25〜30グラム、脂質を45〜50グラム、食物繊維を8〜10グラムほど含みます。脂質の77〜80%は不飽和脂肪酸です。中心は、オリーブ油にも多いオレイン酸(油全体の45〜55%)で、次いでリノール酸(25〜35%)が続きます。たんぱく質はアルギニンなどのアミノ酸を多く含む一方、硫黄を含むアミノ酸、特にメチオニンは比較的少ないとされています。このほか、ビタミンE、ナイアシン、葉酸、マグネシウム、カリウムなどの供給源にもなります。

副産物にも栄養価があると著者らは述べています。油を搾った後に残る油かす(ピーナッツミール)は、たんぱく質が約45〜55%と高い値です。湯通しで取り除かれる薄皮は、食物繊維が多いうえ、プロアントシアニジンやフラボノイドといったポリフェノール類を含み、抗酸化作用が注目されています。溶剤で油を抜いた脱脂ピーナッツ粉も、たんぱく質が約45〜52%と高濃度です。著者らは、たんぱく質強化食品やグルテンを含まない食品の素材になりうると紹介しています。

加工方法による変化

総説では、加工の仕方によって栄養成分が増えたり減ったりすることも整理されています。たとえば160〜170℃で15〜20分焙煎すると、取り出せるポリフェノール量が生の状態より約10〜25%増え、抗酸化力も高まったとする研究が紹介されています。一方で、高温や長時間の焙煎はビタミンEなど熱に弱い栄養素を減らします。ビタミンEの減少は、160℃・20分で約10〜20%、180℃・30分で約25〜40%と報告されています。

ゆでる加工については、ミネラルの吸収を妨げるフィチン酸や、たんぱく質の消化を妨げるトリプシンインヒビターが減り、消化性が上がるとされています。その一方で、水溶性のビタミンB群などがゆで汁へ流れ出て失われます。発酵については、たんぱく質の消化率が78〜82%から88〜94%へ高まるとした研究が紹介されています。発芽させるとポリフェノールが増えるといった報告も取り上げられています。著者らは全体として、加工は消化や吸収を妨げる成分を減らして栄養を利用しやすくする一方、温度・時間・方法によっては特定の栄養素を失わせると整理しています。

健康との関わりと研究の意味

総説では、落花生を習慣的に食べることと、血中脂質の改善、血糖の調整、体重管理、腸内環境などとの関連を示した既存研究も紹介されています。例として、健康な高齢者が無塩の皮付き焙煎ピーナッツを1日60グラム、16週間食べたランダム化比較試験が挙げられています。この試験では、脳の血流が約3.6%増え、言葉の記憶の成績が約5.8%向上したと報告されています。ただし、多くは食習慣と健康状態の関連を示した研究です。がんのリスク低下との関連については、確かめるにはさらに臨床試験が必要だと著者らは述べています。

著者らは、落花生とその副産物は栄養に富んだ資源であり、これまで低く評価されてきた油かすや薄皮も、たんぱく質や食物繊維、抗酸化成分の供給源になりうると結論づけています。また、加工方法の最適化と、人を対象とした研究による健康効果の検証が今後の課題だとしています。この総説は、落花生を食品として活用する際に、加工の仕方と副産物の扱いがともに重要であることを示しています。

原著論文の著者・所属:A S Uthayaraghavi(Assistant Professor, Department of Food Processing Technology , PSG College of Arts & Science , Coimbatore , Tamil Nadu , India; PhD Research Scholar , Department of Foods and Nutrition , PSG College of Arts & Science , Coimbatore , Tamil Nadu , India)、Sindhu S

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):A S Uthayaraghavi, Sindhu S. Groundnut and its By-Products: Nutritional Value and Processing - A Review. International Journal of Science and Research (IJSR) 2026-07-30. DOI: 10.21275/sr26727205247. 原著ライセンス:CC BY.