著者の所属・活動拠点の国は、タイです。
掲載誌:International Journal of Food Properties
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
タイの香り米として知られるジャスミン米(KDML 105)は、世界中で主要な炭水化物源として食べられています。一方で、そのデンプンは消化されやすく、食後の血糖値が上がりやすいことが指摘されています。
研究チームは、精米の過程で生じる砕けたKDML 105(砕米)に注目し、そこから取り出したデンプンを加工して、推定グリセミック指数(eGI)の低い米麺を作ることを目指しました。グリセミック指数は、食品が食後の血糖値をどの程度上げやすいかを示す目安で、eGIはその推定値です。なお、ここで紹介する内容は論文の抄録に基づいています。
どのように調べたか
研究チームは、まず砕米を粉(砕米粉)にし、そこからデンプン(砕米デンプン)を取り出しました。このデンプンに対して、マイクロ波を5〜20分照射する処理と、クエン酸・酢酸・プロピオン酸を10〜25%の濃度で用いる酸処理を行い、性質の異なる加工デンプンを作りました。
そのうえで、水を吸って膨らむ度合い(膨潤力)、吸水性、水への溶けやすさ、デンプン成分の一つであるアミロースの含有率、そしてeGIなどを比較しました。
主な結果
著者らによると、マイクロ波処理したデンプンでは、膨潤力、吸水性、溶けやすさが統計的に有意に向上しました。アミロースの含有率は、砕米粉の17.09%に対し、砕米デンプンや各加工デンプンでは27〜29%と高くなっていました。
eGIについては、マイクロ波処理のうち「MWS-20」と表記された条件で55.11、酸処理のうち「CAS-25%」と表記された条件で53.86と、低下が報告されています。研究チームはこの2種類を選んで米麺を作り、加工していない砕米デンプンや砕米粉で作った麺と比べました。
その結果、MWS-20の麺は食感が良く、引っ張りに対する強さが最も高いと報告されました。CAS-25%の麺はより柔らかい食感で、ゆで時間が長くかかりましたが、eGIは52.07と最も低い値でした。また、官能評価(人が味や食感を評価する試験)で最も受け入れられやすかったのはマイクロ波処理デンプンの麺でした。
研究が示すこと
著者らは、砕けたKDML 105から得たデンプンを加工することで、eGIの低い食品に仕立てられる可能性があり、精米で出る副産物の価値を高めることにもつながると結論づけています。加工の方法によって、eGIの低さと食感や食べやすさの間に違いが見られた点も、この研究から読み取れる特徴です。
原著論文の著者・所属:Pornklaw Incherdchai(Kasetsart University)、Muhammad Umar(Mahidol University)、Seema Vijay Medhe(ASEAN Institute for Health Development, Mahidol University, Salaya, Nakhon Pathom, Thailand)、Anil Kumar Anal(Food Innovation, Bioprocessing, Nutrition, and Health Program, Faculty of Food, Agriculture, and Natural Resources, Asian Institute of Technology, Pathum Thani, Thailand)、Sujitta Raungrusmee(Kasetsart University)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Pornklaw Incherdchai, Muhammad Umar, Seema Vijay Medhe, et al. Development of low estimated glycemic index (eGI) rice noodles from broken jasmine rice (KDML 105) starch modified by microwave and acid treatments. International Journal of Food Properties 2026-10-30. DOI: 10.1080/10942912.2026.2751868. 原著ライセンス:CC BY.