100gあたり37,000µg。この数字だけを見ると身構えたくなりますが、果たして本当に危険な食品なのでしょうか。答えを探ると、レチノールという成分との付き合い方が見えてきます。
レチノールは、いわゆるビタミンAの一種で、主に動物性食品に含まれる脂溶性の成分です。夜間の視力の維持(暗順応)を助け、皮膚や粘膜の健康維持にも関わるとされています。
1位はたらのあぶら、しかし大さじ1杯なら
たらのあぶらは853kcalと高カロリーな油脂類で、レチノールの含有量も突出しています。しかし、この油を使う目安量は大さじ1(約12g)程度です。100gという仮定を現実に使う量へ戻せば、摂取量はぐっと小さくなります。それでも末尾の目安が示すとおり、注意が要る水準からは外れません。
肝臓・臓物系に共通する「濃縮」の罠
2位以下に並ぶのは、いずれも肝臓や臓物系の食品です。肝臓は、小腸で吸収された栄養が集められ、体に必要な形に変えられたり一時的に貯蔵されたりする臓器とされています。レチノールもこれらの食品に多く含まれています。
ただしここでも実食量に置き換えると景色が変わります。焼きとりのレバーや炒め物など、日常の料理で肝臓を使う場合、一度に食べる量は100gを大きく下回ることが多いでしょう。にわとりの肝臓なら、焼きとり1串で約30gです。100gよりはずっと少ない量ですが、末尾の目安が示すとおり、それでも注意が必要な水準です。「では肝臓さえ避ければ安心か」と思いきや、話はそこで終わりません。
魚の内臓も肝臓由来はレチノールが濃い
「きも」はあんこうの肝臓にあたる部位で、レチノールが多い理由は畜肉のレバーと共通しているとみてよさそうです。あんこう鍋などで食べる1切れは約50gです。100gあたりの数字ほどではありませんが、こちらも末尾の目安のとおり、やはり注意が必要な水準です。魚でも畜肉でも、「肝臓・内臓系はレチノールが濃い」という共通項が上位5食品を貫いていることが見えてきます。
実際に口にする量に置き換えて読む
ここまで見た数字は、いずれも「可食部100gをそのまま食べたら」という仮定の値です。ただし実際の一食分に置き換えても、上位に並ぶ食品では注意が要る水準に届きます。100gという仮定が極端なだけで、量を減らせば気にしなくてよい、という話ではありません。
肝臓や内臓系の食品は「レチノールが濃い食材」として頭の片隅に置き、続けて食べない、他の食材と組み合わせる、といった付き合い方が現実的です。100gあたりの数字だけを見て怖がるのではなく、実際に自分が食べる量に置き換えて考える――その一手間が、データを正しく読むコツなのかもしれません。
※特定の食品の効果・効能を示すものではありません。
【摂取量の目安】たらのあぶらは、ビタミンA(レチノール)が100gで耐容上限量2700μgRAEの約13.7倍、大さじ1(約12g)で約1.6倍にあたります。 ぶた [その他] スモークレバーは、ビタミンA(レチノール)が100gで耐容上限量2700μgRAEの約6.3倍、1個(約200g)で約12.6倍にあたります。 にわとり [副品目] 肝臓 生は、ビタミンA(レチノール)が100gで耐容上限量2700μgRAEの約5.2倍、焼きとり1串(約30g)で約1.6倍にあたります。 ぶた [副生物] 肝臓 生は、ビタミンA(レチノール)が100gで耐容上限量2700μgRAEの約4.8倍、レバにら炒め1人分(約50g)で約2.4倍にあたります。 あんこう きも 生は、ビタミンA(レチノール)が100gで耐容上限量2700μgRAEの約3.1倍、1切れ(約50g)で約1.5倍にあたります。 あんこう きも 生は、ビタミンDが100gで耐容上限量100μgの約1.1倍、1切れ(約50g)で約0.6倍にあたります。 ビタミンA・Dは脂溶性で体に蓄積しやすいため、多量・連日の摂取やサプリメント併用、妊娠中は過剰摂取に注意が必要とされます(通常の食事で時折とる分には問題になりにくいとされます)。
※本記事は日本食品標準成分表(八訂)および日本人の食事摂取基準(2025年版)のデータ等をもとに作成しました。
栄養素のはたらき・摂取基準の記述は、次の公的資料に基づきます:厚生労働省 食事摂取基準