著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。

掲載誌:JURNAL RISET RUMPUN ILMU HEWANI

ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

インドネシアでは、手ごろな価格の動物性たんぱく源として卵が広く食べられています。なかでもアヒルの卵は、黄身のざらりとした食感から塩漬け卵などの加工品の原料として重宝されています。卵の成分は、品種や環境、飼い方、えさによって変わり得ると考えられています。

インドネシアの養鶩農家の飼い方は、大きく二つに分かれます。一つは、アヒルを小屋の中で育て、配合したえさを管理して与える「集約的飼育」です。もう一つは、田んぼや湿地、川べりなどに放し、自然のえさを自分で探させる「放し飼い」です。研究チームによると、この二つの飼い方を複数の産地で同時に比べ、卵の基本成分の違いを調べた研究は、ジャワ島中部バニュマス県スンバン郡では限られていました。

そこで著者らは、飼い方の違いと村の違いが、アヒルの卵の粗たんぱく質、粗脂肪、水分、灰分(燃やした後に残るミネラル分)にどう影響するかを調べました。農家や卵の加工業者に客観的なデータを提供することが狙いです。

何をどのように調べたか

研究チームは、スンバン郡のカランギントゥン、カランチェガ、ダタールの3村から、集約的飼育と放し飼いのそれぞれについて、産卵後24時間以内の新鮮な卵を集めました。サンプルの単位としたのは計6軒の養鶩場です。飼い方2通りと村3か所を組み合わせた6条件を、それぞれ3回ずつ繰り返して測定し、合計18の測定単位を得ました。

卵は洗浄して割り、白身と黄身をよく混ぜて均一にしてから分析しました。食品の基本成分をまとめて測る方法は「近似分析(プロキシメート分析)」と呼ばれます。著者らはこの方法で、たんぱく質、脂肪、水分、灰分の割合を測りました。たんぱく質は窒素量から求める方法、脂肪は溶剤で抽出する方法、水分は105℃の乾燥、灰分は600℃での焼却によって測定しています。得られた値は統計的に比較し、飼い方や村、両者の組み合わせによる差が偶然の範囲を超えるかどうかを判定しました。

主な結果

4つの成分のうち、はっきりした差が出たのは水分だけでした。論文によると、飼い方、村、そして両者の組み合わせのいずれもが、卵の水分に統計的に非常に明確な影響を与えていました。水分が最も高かったのはダタール村の集約的飼育の卵で65.73%、最も低かったのはカランギントゥン村の放し飼いの卵で58.81%でした。

一方、その影響は村ごとに一様ではありませんでした。集約的飼育ではダタール村の卵の水分が最も高かったのに対し、放し飼いではカランチェガ村の卵が最も高い値を示しました。著者らは、この違いの背景として、村ごとの微気候、自然のえさの量、飲み水の質などが関わっている可能性を挙げています。ただし、これは推測として述べられたものです。

水分以外の成分は、飼い方、村、その組み合わせのいずれによっても統計的に意味のある差を示しませんでした。報告された平均値の範囲は、たんぱく質がおよそ36.78〜38.40%、脂肪が10.08〜11.47%、灰分が1.12〜1.17%です。たんぱく質の平均は集約的飼育で38.06%、放し飼いで37.14%と、集約的飼育がやや高めでしたが、明確な差とは判定されませんでした。著者らは、どちらの飼い方でも、3つの村でアヒルが得るえさのエネルギーやたんぱく質の構成が大きくは違わなかったためだろうと解釈しています。

この研究が示すこと

著者らは、アヒルの卵の基本成分のなかで、飼い方や産地の違いに最も敏感に反応するのは水分であると結論づけています。たんぱく質、脂肪、ミネラル分については、今回調べた条件の範囲では比較的安定していました。

この結果を踏まえ、研究チームは二つの点を示しています。一つは、栄養面の主要成分に差がなかったことから、農家は自分の資源に応じて飼い方を柔軟に選べるという点です。もう一つは、水分の低い放し飼いの卵が加工用に向くという点です。同じ地域の中でも、卵の性質を左右する要素とそうでない要素を切り分けて示したことが、この研究の要点といえます。

原著論文の著者・所属:Damar Kusumapradana(Universitas Wijayakusuma Purwokerto)、Wida Nurnaningsih(Universitas Wijayakusuma Purwokerto)、Ihsan Hilmi(Universitas Wijayakusuma Purwokerto)、Muhammad Evan Magistrama(Universitas Wijayakusuma Purwokerto)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Damar Kusumapradana, Wida Nurnaningsih, Ihsan Hilmi, Muhammad Evan Magistrama Pengaruh Sistem Pemeliharaan dan Lokasi terhadap Kualitas Proksimat Telur Itik di Kecamatan Sumbang. JURNAL RISET RUMPUN ILMU HEWANI 2026-10-17. DOI: 10.55606/jurrih.v5i2.10628. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.

本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。