著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。

掲載誌:International Journal of Economics Business and Innovation Research

ライセンス: CC BY-SA 4.0 対象: 公開論文 確認元: 論文PDF

研究の目的:伝統料理店の競争力の源を探る

インドネシア東ジャワ州のトゥルンアグン県では、飲食業を担う零細・中小企業が地域経済の柱になっています。一方で研究チームは、伝統料理を扱う店の多くが、販売促進などのやり方が一貫しないために競争力を保ちにくいという問題を指摘しています。

この地域の名物が「アヤム・ロド」です。放し飼いの鶏を焼いて香ばしい香りをつけ、辛みのあるココナッツミルクのスープで煮込んだ料理で、ロドを出す店が増えたことで競争が激しくなっています。

研究チームは、マーケティングの基本的な枠組みである「4P」に注目しました。4Pとは、商品(Product)、価格(Price)、場所・提供経路(Place)、販売促進(Promotion)の4要素を指します。ロドの人気店3軒がこの4要素をどのように実践しているかを分析・比較し、地域の飲食店の競争力を高める戦略の型を導くことが研究の目的です。

調べた店と方法

対象は「ロド・ヨラ」「アヤム・ロド・リシー」「アヤム・ロド・ブ・ヤユク」の3店です。研究チームが本調査の前に確認した来店客数は、店ごとに異なる動きを示していました。ロド・ヨラは2023年の2万5674人から2025年の2万5953人までほぼ横ばいで安定し、リシーは1万8257人から1万9233人へ着実に増加しました。ブ・ヤユクは3万5878人から3万6774人で、3店の中で最も多くの客を集めていました。

調査は、数値の統計分析ではなく、聞き取りや観察から得た言葉や記録をもとに、実態を詳しく読み解く質的研究として行われました。複数の現場を並べて比べる設計がとられています。研究目的に合う人を意図的に選び、各店の経営者、接客などを担う従業員、利用客から情報を集めました。

データは、研究者が現場に参加して行う観察、あらかじめ質問を定めた面接、関連資料の調査の3つの方法で収集されました。得られた情報は、要点を絞り込み、整理して示し、結論を導いて確かめるという段階を経て分析されています。結果の信頼性を確かめるため、観察期間の延長や、情報源・調査方法・時期の異なるデータを照らし合わせる手法も用いられました。

主な結果:3店それぞれの4Pの特徴

商品について、3店はいずれも薪で焼き上げるトゥルンアグン伝統のロドの味を守っていました。そのうえでロド・ヨラは盛り付けの量を一定に保つことと、選び抜いた鶏肉の柔らかさを重視していました。リシーはスープの辛さを選べるようにし、一人用から家族用までのセットを用意するなどの工夫をしていました。ブ・ヤユクは代々受け継いだレシピで大量に調理しながら、衛生面と料理の新鮮さを保っていました。

価格については、3店とも、原価に利益を上乗せする考え方と、客が感じる価値に基づく考え方を組み合わせていました。ロド・ヨラとリシーは、家族連れや地元で働く人向けに手頃で競争力のある価格を設定していました。ブ・ヤユクはやや高めの価格ですが、設備や食事の快適さ、量に見合うものとして、客から高い価値を感じてもらえていると報告されています。

場所について、3店とも幹線道路沿いにあり、自家用車でも公共交通でも行きやすい立地でした。ロド・ヨラは十分な駐車場があることが利点になっていました。リシーは料理宅配アプリを通じた注文など、店舗とオンラインを組み合わせた販売経路を活用していました。ブ・ヤユクは伝統的なあずまや風の席を設けた、広く快適で家族向けの食事空間を提供していました。

販売促進では、従来の方法とデジタルの方法が組み合わされていました。ロド・ヨラとブ・ヤユクは、常連客の評判による口コミに大きく頼っていました。一方リシーは、InstagramやTikTokといったSNSで画像や動画を積極的に発信し、若い世代や観光客を呼び込もうとしていました。論文の要旨では、成功の要素のひとつとして、インターネット上で広がる口コミが挙げられています。

研究が示すこと

著者らは、ロド料理店の成功と競争力の鍵は、狙う客層に合わせて4つの要素を調和させて組み合わせることにあると結論づけています。論文によると、ロド・ヨラは安定した品質と価格で常連客をつなぎとめ、リシーはメニューの工夫や柔軟な提供経路、積極的なデジタル発信で客数を伸ばし、ブ・ヤユクは事業規模や伝統的なブランドの力、快適な店内環境によって首位を保っていると整理されています。

同じ郷土料理を出す店でも、強みの作り方は一つではありません。この研究は、地域の伝統料理店が自分たちの客層を見極め、商品・価格・場所・宣伝をちぐはぐにせずにそろえることが競争力の土台になるという見方を、3店の具体的な事例を通して示しています。

原著論文の著者・所属:Eno Wahyu Endriansyah(Economic Education Study Program, Faculty of Social Sciences and Humanities, Universitas Bhinneka PGRI, Tulungagung, Indonesia)、Tutut Suryaningsih(Economic Education Study Program, Faculty of Social Sciences and Humanities, Universitas Bhinneka PGRI, Tulungagung, Indonesia)、Bayu Cahyoadi(Economic Education Study Program, Faculty of Social Sciences and Humanities, Universitas Bhinneka PGRI, Tulungagung, Indonesia)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Eno Wahyu Endriansyah, Tutut Suryaningsih, Bayu Cahyoadi Comparison Of Marketing Mix Strategy (4p) In The Culinary Business Of Lodho Yolla Restaurant, Lodho Lissy Restaurant, And Lodho Bu Yayuk Restaurant In Tulungagung Regency. International Journal of Economics Business and Innovation Research 2026-08-19. DOI: 10.63922/ijebir.v5i05.6125. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.

本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。