著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。

掲載誌:Indonesian Community Service and Empowerment (IComSE)

ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

活動のねらい

インドネシア西ジャワ州バンドン県チパライ郡のサガラチプタ村では、アヒルの飼育が地域経済の柱の一つになっています。ただ、農家が生産したアヒル卵は、これまで主に生卵のまま塩漬け卵の業者へ売られてきました。そのため、卵を加工して得られる上乗せの価値、いわゆる「付加価値」は、農家ではなく別の業者が受け取っていました。

著者らは、大学の学生による地域実践活動(KKN)の一環として、この村のアヒル農家にアヒル卵を塩漬け卵へ加工する方法を教え、実際の作業に伴走しました。論文は、農家が自ら加工することで生産物の売値を高める可能性を示すことを目的とした、地域支援活動の報告です。

どのように進めたか

活動は、地域の資源の観察、必要としていることの聞き取り、材料の調達、説明、加工の実践、熟成、仕上がりの評価という順で進められました。協力者となったのは、活動拠点のある地区で地区長を務めるアヒル農家のディヌール氏1名です。聞き取りの中で、自分の卵を使って塩漬け卵を自ら作りたいという希望があることが分かり、塩漬け卵づくりに取り組むことで合意しました。

2026年7月26日、ディヌール氏の小屋兼アヒル舎で、家族と学生らが参加して説明と実習が行われました。もみ殻を燃やした灰と、ヨウ素を加えていない塩を混ぜ、水を少しずつ加えて粘土のような練り物を作ります。これでアヒル卵25個を一つずつ均一に包み、容器に入れてしっかり蓋をし、約15日間寝かせて塩を浸み込ませました。

2026年8月10日に卵を取り出し、表面の練り物を落として洗ったあと、約2時間蒸して火を通しました。冷ました卵の状態を確かめ、試食も行われました。

報告された結果

著者らによると、この方法で25個の塩漬け卵ができ、全体として仕上がりは良好でした。なお、この「良好」という評価は、仕上がりの観察と試食に基づくものとして報告されています。

ディヌール氏は以前にも別の材料で塩漬け卵を作ったことがありましたが、今回の、もみ殻灰と無ヨウ素塩を使う方法の仕上がりのほうを好み、今後の生産でもこの材料を使い続けるつもりだと述べたといいます。また、これまで生卵のまま売ってきた卵も、自分で加工すれば付加価値を得られるという新たな理解につながったと報告されています。

この報告が示すこと

著者らは、地域の生産物を生かした食品加工の工夫は、複雑な技術がなくても、もみ殻灰や無ヨウ素塩のような手に入りやすい材料で実践できると述べています。そして今回の活動が、原料を売るだけの考え方から、付加価値のある製品を育てる考え方へ、農家の意識が変わるきっかけになったとまとめています。

一方で、論文は、これを事業として続けていくには、塩加減の調整、包装やブランドづくり、原価と販売価格の計算、販路の開拓といった段階が必要で、学生の活動終了後も農家が自立して生産できるよう継続的な支援が求められると指摘しています。一軒の農家との小さな取り組みですが、身近な素材による加工が地域の産物の価値を見直す出発点になりうることを伝える報告です。

原著論文の著者・所属:Deasy Permatasari(Universitas Alghifari)、Alya Laila Safitri(Universitas Al-Ghifari)、Achmad Nurmawan(Universitas Al-Ghifari)、Deni Hermawan(Universitas Al-Ghifari)、Genta Suara Revolusi(Universitas Al-Ghifari)、Irvi Dara Dhewita(Universitas Al-Ghifari)、Rangga Wulan Agustina(Universitas Al-Ghifari)、Rafli Fadilah(Universitas Al-Ghifari)、Safitri Nur Fitriani(Universitas Al-Ghifari)、Tyara Ananda Puteri Sudrajat(Universitas Al-Ghifari)、Widyanti Nurrohmah(Universitas Al-Ghifari)、Meiry Akmara Dhina(Universitas Al-Ghifari)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Deasy Permatasari, Alya Laila Safitri, Achmad Nurmawan, Deni Hermawan, Genta Suara Revolusi, Irvi Dara Dhewita, Rangga Wulan Agustina, Rafli Fadilah, Safitri Nur Fitriani, Tyara Ananda Puteri Sudrajat, Widyanti Nurrohmah, Meiry Akmara Dhina Innovation in Salted Egg Processing for Enhancing the Market Value of Duck Farming Products. Indonesian Community Service and Empowerment (IComSE) 2026-09-28. DOI: 10.34010/icomse.v7i2.21198. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.

本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。