掲載誌:Riset Akuntansi dan Portofolio Investasi
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的と背景
インドネシアの地方自治体は、自前で集める収入である「地域自主財源(PAD)」を財政の柱の一つとしています。その財源の一部を占めるのが、飲食店の売上にかかるレストラン税です。しかし、同じ税目でも都市の経済の成り立ちによって、その位置づけは大きく変わりうると考えられます。
この研究で著者らが取り上げたのは、北スラウェシ州の二つの都市です。トモホン市は観光と食文化が経済を牽引する都市であり、ビトゥン市は工業と港湾関連の活動が経済を支える都市です。著者らは、対照的な産業構造をもつこの二都市について、レストラン税が地域自主財源にどれだけ貢献しているか(貢献度)と、徴収がどれだけうまくいっているか(有効性)を比較することを目的としました。
何をどう調べたか
研究は量的研究で、記述的・比較的アプローチが用いられました。対象期間は2023年から2025年までの3年間です。著者らは、両市の地域財政・歳入管理機関(BPKPD)から、レストラン税の目標額、実際の徴収額(実現額)、そして地域自主財源全体の実現額という二次データを入手しました。
分析には二つの指標が使われています。一つは貢献度比率で、レストラン税の徴収額が地域自主財源全体に占める割合を示します。もう一つは有効性指数で、あらかじめ設定された徴収目標に対して実際にどれだけ集められたかの達成割合を示します。算出された値の評価は、インドネシア内務大臣決定1996年第690.900.327号の基準に沿って解釈されました。
主な報告結果
著者らの報告によれば、トモホン市のレストラン税の貢献度は13.86%から22.90%の範囲で推移し、基準に照らすと「低い」から「中程度」のあいだで変動しました。一方、ビトゥン市の貢献度は6.33%から7.21%と、一貫して「非常に低い」区分にとどまりました。
これに対し、徴収の有効性は両市ともおおむね良好でした。トモホン市は93.37%から106.01%で「有効」から「非常に有効」の範囲、ビトゥン市は86.97%から118.89%で「やや有効」から「非常に有効」の範囲にありました。
著者らは、有効性と貢献度が連動しないこの現象について次のように説明しています。有効性は、あくまで各自治体が自ら設定した目標をどれだけ達成できたかという行政の実務能力を映す指標にすぎません。他方で貢献度は、その都市の地域自主財源全体の規模と産業構成によって左右されます。ビトゥン市では港湾・工業部門に支えられて地域自主財源そのものが大幅に大きいため、レストラン税の徴収額そのものはトモホン市と同程度であっても、全体に占める割合は計算上薄まってしまう、というのが著者らの説明です。
この研究が示すこと
著者らはこの結果から、トモホン市については現在の徴収の有効性を維持しつつ観光と食文化の潜在力を活かすこと、ビトゥン市についてはレストラン税の課税対象を広げ、実際の潜在力をより適切に反映した目標を設定することが、貢献度を高めるうえで課題になると述べています。
この研究の意義は、都市ごとに異なる経済構造が、税の徴収実績と自主財源への貢献との関係をどう形づくるのかを、実際のデータで示した点にあります。徴収目標の達成率が高いことと、その税目が財政に大きく寄与していることは別の話であり、二つの指標を切り分けて読む必要がある——二都市・3年間という限られた範囲の観察ではありますが、著者らの報告はその点を具体的に浮かび上がらせています。
著者:Belicia Novelia Tatori、Harijanto Sabijono、I Gede Suwetja
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Belicia Novelia Tatori, Harijanto Sabijono, I Gede Suwetja. Analisis perbandingan kontribusi dan efektivitas pajak restoran terhadap pendapatan asli daerah pada pemerintah Kota Tomohon dan Kota Bitung. Riset Akuntansi dan Portofolio Investasi 2026-09-19. DOI: 10.58784/rapi.504. 原著ライセンス:CC BY.