著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。

掲載誌:Jurnal Peternakan Integratif

ライセンス: CC BY-SA 4.0 対象: 公開論文 確認元: 論文PDF

研究の目的

バリケン(ノバリケン、学名Cairina moschata)はアヒルの仲間で、その肉は栄養価の高いたんぱく源です。一方で、肉質がやや硬いこと、独特のにおいがあること、保存中に微生物が増えて品質が落ちやすいことが課題とされています。

肉の保存には冷蔵や冷凍、燻製、合成保存料などが使われてきました。ただ、合成保存料には消費者の健康への影響を懸念する声もあります。そこで注目されているのが「バイオ保存」です。これは、有用な微生物や発酵でできる物質、植物由来の成分を使って、腐敗菌や病原菌の増殖を抑える保存方法です。

研究チームは、抗菌作用をもつとされるフラボノイドやフェノール類などを含むセロリに着目しました。セロリの葉を発酵させた液に肉を浸し、その液の量と常温での保存時間が、バリケン肉の物理的な品質と細菌数にどう影響するかを調べました。

何をどのように調べたか

発酵液は、刻んだセロリの葉100グラムを、塩と砂糖を2.5%ずつ加えた水1リットルに入れて密閉し、常温で6日間発酵させてからろ過して作りました。研究チームはこの液から乳酸菌の分離も試みました。その結果、炭酸カルシウムを含む培地上で、酸を作る菌に特徴的な透明な輪(クリアゾーン)が見られたと報告しています。また、液中の総フェノール量はグラムあたり約91.19ミリグラム(没食子酸換算)、総フラボノイド量はグラムあたり15.95ミリグラム(ケルセチン換算)でした。発酵液のpHは3.6で、酸性でした。

実験では、生後8〜12か月のバリケンの肉を50グラムずつに分けました。発酵液0、60、80、100ミリリットルのいずれかに90分間浸し、水を切って密閉容器に入れ、常温で0、12、24、36時間保存しました。液量4通りと保存時間4通りを組み合わせた16条件を、それぞれ2回ずつ試験しています。

評価した項目は4つです。肉の酸性度を示すpH、加熱したときに失われる重量の割合である「加熱損失」、肉が水分を抱え込む力である「保水性」、そして肉1グラムあたりに含まれる生きた細菌の量の目安となる「一般生菌数(TPC)」です。

主な結果

pHは、発酵液が多いほど、また保存時間が長いほど下がりました。液量と保存時間の組み合わせによる効果も統計的に有意でした。最も高かったのは液なし・保存0時間の5.79で、最も低かったのは100ミリリットル・36時間の5.03でした。

加熱損失は、発酵液が多いほど小さく、保存時間が長いほど大きくなりました。液量と保存時間はそれぞれ独立に影響し、組み合わせによる効果は認められませんでした。最小は100ミリリットル・保存0時間の約14.08%、最大は液なし・36時間の約49.60%でした。保水性も液量と保存時間がそれぞれ独立に影響しました。発酵液が多いほど保水性は高く、保存が長くなるほど低下しました。

一般生菌数は、保存時間が長くなるほど増え、発酵液が多いほど少ない傾向でした。最少は100ミリリットル・保存0時間の1グラムあたり5.53(対数値、log CFU/g)、最多は液なし・36時間の6.29でした。

著者らは、こうした変化の背景として、乳酸菌がつくる有機酸などの抗菌物質や、セロリに含まれるフェノール類・フラボノイドの働きが考えられると論じています。そのうえで、物理的な品質と細菌数の両面から総合すると、100ミリリットル・保存12時間の組み合わせが最も良好だったと結論づけています。

この研究が示すこと

この研究は、身近な野菜であるセロリの葉を発酵させた液に浸すことで、常温保存中のバリケン肉のpH、加熱損失、保水性、一般生菌数が変化したことを示しました。著者らはこの結果から、セロリ発酵液が合成保存料に代わる天然のバイオ保存の材料として、常温保存中の鴨肉の品質維持に役立つ可能性があると述べています。ただし、どの条件でも保存時間が延びるにつれて細菌数は増えていました。今回の結果は、限られた保存時間の範囲で、発酵液の量による差を比べたものと受け止めるのが適切です。

原著論文の著者・所属:Farah Dias Amanda(Faculty of Agriculture, Universitas Sumatera Utara, Medan 20155, Indonesia)、Nurjama’yah Br. Ketaren(Faculty of Agriculture, Universitas Sumatera Utara, Medan 20155, Indonesia)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Farah Dias Amanda, Nurjama’yah Br. Ketaren The The Effect of Celery (Apium graveolens L.) Fermentation Solution as a Natural Biopreservative and Storage Duration on the Physical Quality and Total Plate Count of Muscovy Duck (Cairina moschata) Meat. Jurnal Peternakan Integratif 2026-10-30. DOI: 10.32734/jpi.v14i02.26383. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.

本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。