生姜の仲間でありながら、花が咲く前のつぼみを食べる——そんな香味野菜の食べ方は世界でも珍しく、みょうがを香味野菜として食卓に上らせる文化は日本ならではとされています。それがみょうが 花穂 生です。ハウス栽培のものは一年を通じて手に入りますが、本来は初夏から秋にかけてが旬とされ、8月はちょうどその盛りの時期にあたります。冷奴や素麺の薬味としてみょうがを添えるだけで、夏の食卓がぐっと涼やかになる季節です。

そもそも「みょうが」として食べているのは、花が咲く前のつぼみが集まった花穂の部分です。夏につぼみをつけるものは夏みょうが、秋につけるものは秋みょうがと呼ばれ、どちらも私たちが薬味として楽しんでいるのはこの花穂にあたります。選ぶときは、色があざやかでツヤがあり、小ぶりなものがよいとされています。葉がぎっしり詰まってふっくら膨らんだものより、締まった小ぶりの姿のほうが状態がよい目安になるようです。

低カロリーで水分たっぷり、軽やかな野菜

みょうがの成分値を見ると、可食部100gあたりでエネルギーはわずか11kcalです。水分が95.6gを占め、たんぱく質0.9g、脂質0.1gと、栄養素そのものの量は控えめです。薬味として少量ずつ添える食べ方にちょうど合った、軽やかな野菜といえます。

注目したいのは食物繊維総量2.1gという値です。内訳は不溶性食物繊維1.7g、水溶性食物繊維0.4gで、不溶性が大半を占めています。カリウムも210mgと、野菜の中では控えめながら含まれており、灰分0.8gという数値からも、ミネラル分をそれなりに持つ野菜であることがうかがえます。

あの赤色の正体はアントシアニン

みょうがといえば、あの淡い赤色です。この色はアントシアニンという色素によるもので、酢やレモンなどの酸に触れると赤みが増して発色することが知られています。梅酢に漬けたみょうがが鮮やかな赤色になるのも、この性質によるものとされています。アントシアニンには抗酸化作用があるとされ、独特の辛みやくせのもとになる成分も、この野菜ならではの持ち味です。「みょうがを食べると物忘れがひどくなる」という言い伝えには科学的な根拠はなく、むしろあの香りが脳を刺激し、集中力を高めるという報告もあるとされています。

薬味からひと工夫、旬の食べ方

もっとも身近な食べ方は、やはり薬味です。刻んで冷奴や素麺、味噌汁に散らすだけで、独特の香りが料理全体を引き締めてくれます。酢やレモンと合わせれば、含まれるアントシアニンの働きで色味も一段と鮮やかになり、見た目にも夏らしい一皿に仕上がります。

甘酢に漬け込んで即席の漬け物にするのも、旬の時期ならではの楽しみ方とされています。天ぷらにして丸ごと一つの食感と香りを味わうのもおすすめです。少量でも香りが立つ野菜なので、料理の仕上げにひとつまみ添える程度から試すとよさそうです。

まとめ

花穂を香味野菜として食べる文化を持つみょうがは、世界的に見ても日本ならではの存在とされています。低カロリーで水分に富み、食物繊維も含むこの野菜は、暑さで食が細くなりがちな時期にも取り入れやすい存在です。初夏に始まり秋まで続く旬の時間の中、8月は薬味としての出番がいちばん多くなる季節でもあります。冷たい料理に一つまみ添えるたびに、あの香りと赤い色が、夏の食卓を静かに彩ってくれます。

※特定の食品の効果・効能を示すものではありません。

※本記事は日本食品標準成分表(八訂)のデータ等をもとに作成しました。