著者の所属・活動拠点の国は、ブラジルです。

掲載誌:Agricultural Research & Technology Open Access Journal

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

揚げ物加工に向くジャガイモを探る

フライドポテトやポテトチップスに加工するジャガイモは、見た目や大きさだけでなく、中に含まれる成分が品質を大きく左右します。とくに重要とされるのが「還元糖」です。還元糖はブドウ糖などの糖で、揚げる際にアミノ酸と反応して褐色になる「メイラード反応」を起こします。還元糖が多いと揚げ色が濃くなりすぎ、製品として受け入れられにくくなります。また、水分を除いた残りの部分である「乾物」が多いことも、加工用の品種に求められる条件です。

ブラジルの研究チームは、栽培する季節の違いがジャガイモの成分にどう表れるかを調べました。対象は、夏作のアステリックスとコロラド、冬作のアステリックスとマーキーズという4つの試料です。還元糖やでんぷんの成分であるアミロースをはじめ、加工品質に関わりうる成分を比較しました。

どのように調べたか

試料は2010年の夏作と2011年の冬作で収穫された塊茎です。夏作のアステリックスはブラジル南部、そのほかはミナスジェライス州アルト・パラナイバ地域で栽培されていました。いずれも栽培開始から120日の生育期間の終わりに収穫され、試料ごとに9回の繰り返しで分析されました。

著者らは、皮をむいて薄く切り乾燥させた試料などを用いて、水分、乾物、脂質、繊維、灰分(ミネラル分の目安)、たんぱく質、炭水化物、還元糖、アミロース、でんぷん、pH、糖などの溶けた成分の量の目安となる可溶性固形分を測りました。そのうえで、統計的に意味のある差があるかを検討しています。

夏作は還元糖が多く、冬作は少なかった

最も目立った違いは還元糖でした。論文によると、夏作のアステリックスとコロラドは還元糖が平均約0.45%と高く、冬作のアステリックスとマーキーズより有意に多い結果でした。論文は、乾物あたり0.3%を超えると揚げ物に向かないとする文献の基準を示し、夏作の2試料はこれに当たると述べています。

乾物は夏作のアステリックスが約20.5%と最も高く、夏作のコロラドが約17%と最も低い値でした。冬作の2試料はその中間でした。でんぷんは夏作の2試料が平均約82%で、冬作の2試料の約72%を上回りました。たんぱく質と脂質は冬作の2試料のほうが高い値でした。一方、アミロースは4試料の間に有意な差がなく、平均は約18.6%でした。

研究が示すこと

著者らは、水分、乾物、脂質、たんぱく質、還元糖、でんぷん、pHでは季節による差が見られた一方、繊維、灰分、炭水化物、アミロース、可溶性固形分では差がなかったとまとめています。そのうえで、栽培季節が品質を一方的に良くした、あるいは悪くしたとは断定できないとしています。

ただし加工適性については、冬作のアステリックスが評価項目全体で良い結果を示した一方、夏作のアステリックスとコロラドは還元糖が多いため工業的な揚げ物加工には適さないと結論づけています。コロラドは乾物が少ないことも理由に挙げられました。同じ品種でも、栽培条件によって加工に重要な成分が変わりうることを、この研究は示しています。

原著論文の著者・所属:Mariana Borges de Lima Dutra(Federal Institute of Education, Science and Technology of South of Minas Gerais, IFSULDEMINAS campus Inconfidentes, Brazil)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Mariana Borges de Lima Dutra. Chemical Composition of Potato Varieties Grown at Different Cropping Seasons for Industrial Processing. Agricultural Research & Technology Open Access Journal 2026-07-31. DOI: 10.19080/artoaj.2026.30.556476. 原著ライセンス:CC BY.