この研究は、ブラジルの研究機関の研究論文です。
掲載誌:Journal of Food Science
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
研究チームは、ブルーベリーで風味づけしたコンブチャ(紅茶や緑茶に砂糖を加え、微生物の働きで発酵させた飲料)を新たに開発し、その機能性としてどのような性質を持つのか、また人の腸の健康にどう関わるのかを調べることを目的としました。
近年、発酵飲料に含まれる生きた微生物や植物由来の成分が注目されていますが、この研究はブルーベリーを加えたコンブチャについて、成分の分析と人を対象とした試験の両方を同じ研究の中で行った点に特徴があります。
どのように調べたか
飲料は緑茶とショ糖(砂糖)を原料とし、細菌と酵母が共生した培養体(SCOBY)で発酵させました。そのうえでブルーベリーのシロップを加え、二段階目の発酵を行っています。
比較のため、研究チームは二種類の製品を用意しました。ひとつは微生物が生きたまま残っている「活性」タイプ、もうひとつは加熱などで微生物を除いた対照タイプです。これらについて、物理化学的な分析(酸性度やアルコール分など)、微生物の分析、生理活性成分の分析を行いました。
さらに、成人39名が参加する対照試験を実施し、参加者は1日100mLの飲料を28日間にわたって飲みました。
報告された主な結果
活性タイプのコンブチャでは微生物がよく生き残っており、酵母、乳酸菌、酢酸菌がそれぞれ適切な量で確認されました。pHは低く(酸性)、アルコール分は0.20%と、安全な範囲にとどまっていたと報告されています。
抗酸化活性については、活性タイプのほうが対照より高く、IC50は10.66µL/mLでした。これは、抗酸化の働きが半分の水準に達するのに必要な量を示す指標で、値が小さいほど少量で働くことを意味します。あわせて、フェノール化合物、フラボノイド、アントシアニンといった成分の量も対照より多かったとされています。
臨床面では、活性タイプを飲んだ参加者において腸の働きの改善との関連が認められました。具体的には、便の硬さがブリストルスケールのタイプ4(一般に望ましいとされる形状の区分)へと整うこと、そして腹部の膨満感や痛みといった自己申告による症状の軽減です。参加者の約90%が、お腹の調子が良くなったと感じたと報告しています。
この研究が示すこと
著者らは、これらの結果から、ブルーベリー入りコンブチャは有用な生理活性成分を備え、消化器の健康を支える可能性を持つ機能性飲料として有望だと述べています。
ただし研究チーム自身が、今回の臨床評価は探索的な性質のものであるため結果は慎重に解釈すべきであり、臨床的に特徴づけられた集団を対象とした、より規模の大きい臨床研究による確認が必要だと付け加えています。食品としての工業的な応用先としては、そのまま飲めるブルーベリー入りコンブチャという形が挙げられています。
つまりこの研究は、果実を加えた発酵飲料の成分的な特徴と、人が飲んだときの腸の感じ方とを一続きに調べた一例として位置づけられます。
著者:Angélica Morgan Anselmini(Department of Food Engineering URI Erechim Erechim Brazil)、Gabrieli Lorandi(Department of Food Engineering URI Erechim Erechim Brazil)、Marcieli Peruzzolo(Department of Food Engineering URI Erechim Erechim Brazil)、Itamar Luís Gonçalves(Department of Food Engineering URI Erechim Erechim Brazil)、Rogério Luis Cansian(Department of Food Engineering URI Erechim Erechim Brazil)、Jamile Zeni(Department of Food Engineering URI Erechim Erechim Brazil)、Eunice Valduga(Department of Food Engineering URI Erechim Erechim Brazil)、André Keng Wei Hsu(Department of Food Engineering URI Erechim Erechim Brazil)、Vivian Polachini Skzypek Zanardo(Department of Food Engineering URI Erechim Erechim Brazil)、Geciane Toniazzo Backes(Department of Food Engineering URI Erechim Erechim Brazil)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Angélica Morgan Anselmini, Gabrieli Lorandi, Marcieli Peruzzolo, et al. Physicochemical, Bioactive, and Clinical Evaluation of Blueberry‐Enriched Kombucha as a Functional Beverage. Journal of Food Science 2026-09-01. DOI: 10.1111/1750-3841.71337. 原著ライセンス:CC BY.