この研究は、ベルギーの研究機関の研究論文です。

掲載誌:Food Bioscience

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究のねらい

コンブチャは、砂糖を加えた茶(チャノキの葉からつくる紅茶や緑茶)を、細菌と酵母が共生する培養物で発酵させてつくる飲料です。近年は、茶以外の植物を原料にしたコンブチャ風飲料への関心が高まっており、原料によって性質や試験管内で測定される生理活性の特徴が異なる飲料が生まれる可能性があります。

この研究で著者らは、茶の代わりに別の植物の浸出液を使った場合に、発酵がどのように進み、できあがった飲料がどのような性質をもつかを調べ、従来の紅茶・緑茶のコンブチャと比較しました。

何を調べたのか

研究チームが原料として用いたのは、有機栽培のそば茶(ソバの実を煎じたもの)、ラズベリーの葉、タンポポの葉、イラクサの葉の4種類の浸出液です。これらを、紅茶と緑茶を用いた従来型のコンブチャと比べました。

発酵の進み具合は、酸性度を示すpHの変化、発酵中に液面にできる微生物の膜状の塊(SCOBYと呼ばれます)の量、そして糖類・エタノール・有機酸といった発酵でできる成分の分析によって評価されました。

あわせて、発酵の経過を通じて、ビタミンCの総量、植物に含まれるポリフェノールの仲間であるフェノール類とフラボノイドの量、2種類の化学的な試験による抗酸化能、そしてシクロオキシゲナーゼ2(COX-2)という酵素の働きを抑える作用が、いずれも試験管内で測定されました。

主な結果

報告によると、イラクサの葉を除くすべての原料で、コンブチャとしての発酵が成立しました。ただし、発酵の進み方、飲料の物理的・化学的な性質、機能に関わる特性には、原料によって有意な違いが見られました。

抗酸化能とCOX-2を抑える作用が最も高かったのは、従来の紅茶・緑茶のコンブチャでした。ラズベリーの葉とタンポポの葉のコンブチャは、発酵が効率よく進んだうえで、これらの測定値は中程度でした。一方、そば茶のコンブチャはこれらの試験で比較的低い結果にとどまりました。

イラクサの葉を使ったものは、通常とは異なる物理的・化学的な性質を示し、今回の試験条件のもとではコンブチャの原料として適しているとはいえない結果となりました。

この研究が示すこと

著者らは、どの植物を原料に選ぶかが、コンブチャの発酵の進み方や性質、試験管内で測られる生理活性を左右する重要な要因であると結論づけています。

なかでもラズベリーとタンポポの葉の浸出液は、従来の茶に代わる有望な原料として位置づけられ、著者らは地域で手に入る植物素材を新しい発酵飲料づくりに生かせる可能性を指摘しています。なお、今回報告された抗酸化能やCOX-2への作用は試験管内での測定結果です。

著者:Sarah Suffys(Laboratory of Gastronomic Sciences, Gembloux Agro-Bio Tech, University of Liège, 5310 Gembloux, Belgium)、Dorothée Goffin(Laboratory of Gastronomic Sciences, Gembloux Agro-Bio Tech, University of Liège, 5310 Gembloux, Belgium)、Olivia Denies(Laboratory of Gastronomic Sciences, Gembloux Agro-Bio Tech, University of Liège, 5310 Gembloux, Belgium)、Marie‐Laure Fauconnier(Laboratory of Chemistry of Natural Molecules, Gembloux Agro-Bio Tech, University of Liège, 5310 Gembloux, Belgium)、Éric Haubruge(Laboratory of Gastronomic Sciences, Gembloux Agro-Bio Tech, University of Liège, 5310 Gembloux, Belgium)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Sarah Suffys, Dorothée Goffin, Olivia Denies, et al. Alternative plant infusions as substrates for kombucha production: fermentation performance and functional properties. Food Bioscience 2026-10-01. DOI: 10.1016/j.fbio.2026.110151. 原著ライセンス:CC BY.