著者の所属・活動拠点の国は、イランです。

掲載誌:International journal of modern achievement in science, engineering and technology.

ライセンス: CC BY 4.0 対象: 公開論文 確認元: 論文PDF

研究の目的:砂糖と紅茶を置き換えたコンブチャ

コンブチャは、甘くした紅茶や緑茶などを細菌と酵母の共生培養物で発酵させてつくる、微炭酸で軽い酸味のある飲み物です。発酵中に酵母が砂糖(ショ糖)をブドウ糖と果糖に分解し、細菌がそれらやアルコールを利用して酢酸などの有機酸をつくります。原料を変えると、出来上がる飲み物の性質も変わることが知られています。

コンブチャの発酵には、一般にショ糖が炭素源として使われます。研究チームが注目したのは、果物や野菜にも含まれる糖アルコールのソルビトールです。論文によると、ソルビトールのエネルギーは1グラムあたり2.6キロカロリーで、ショ糖の4.2キロカロリーより低く、甘さはショ糖の約6割とされます。著者らはこのソルビトールと、抗酸化作用などが報告されているシナモンを取り入れました。

研究の目的は、ショ糖の一部または全部をソルビトールに、紅茶の一部をシナモンに置き換えることで、コンブチャの物理化学的な性質(酸性度やアルコール分、色など)と抗酸化性を最適化することでした。

何を調べたか:3つの条件を組み合わせた実験

研究チームは、3つの条件を変えて実験しました。1つ目はショ糖をソルビトールに置き換える割合で、0%から100%までです。2つ目は紅茶をシナモンに置き換える割合で、25%から75%までです。3つ目は発酵期間で、7日から15日までです。

条件の組み合わせは「応答曲面法」という統計的な手法で決めました。これは、複数の条件を少しずつ変えた実験の結果から、条件と結果の関係を表す式を作り、最も望ましい条件を予測する方法です。今回は専用ソフトウェアで、中心となる条件の3回の繰り返しを含む18通りの実験を設計しました。

それぞれの試料について、アルコール分、全酸度(どれだけ酸が含まれるか)、pH、抗酸化性、色を測りました。抗酸化性は、DPPHという色のついた試薬が試料によってどれだけ打ち消されるかを調べる方法で評価しました。色は、明るさ、赤み、黄みの度合いを数値で表す方法で測っています。

主な結果:最適条件はソルビトール100%、シナモン25%、発酵14日

論文によると、発酵前に約4〜5だったpHは、微生物がつくる有機酸が増えるにつれて下がり、発酵の終わり頃には約2〜3になりました。著者らは、今回の試料のpHが、風味の面で望ましいとされる範囲に収まっていたと述べています。全酸度は100ミリリットルあたり酢酸換算で3.02グラムからの範囲で変化し、統計解析ではシナモンの割合が酸度に関わる要因として示されました。

色については、明るさにはソルビトールの割合が関わる要因として示されました。一方、黄みについては、調べた条件との間に統計的に意味のある関係が見られず、予測式は提案されませんでした。

結果を総合した最適条件は、シナモン25%(紅茶75%)、ソルビトール100%(ショ糖0%)、発酵期間14日でした。この条件で抗酸化性が最も高くなり、物理化学的な性質も改善したと報告されています。予測式による値と実際に作って測った値を比べたところ、項目ごとの誤差はおよそ1%から10%の範囲で、著者らはこれを予測式の妥当性を示すものとしています。

この研究が示すこと

この研究は、砂糖をソルビトールに完全に置き換え、紅茶の一部をシナモンにした条件でも、コンブチャを発酵させ、調べた範囲では抗酸化性と物理化学的な性質を高められることを示しました。著者らは、ショ糖の使用を減らせる点が、砂糖の摂取を抑えて栄養面の性質の改善につながる可能性があると述べています。

ただし、今回調べたのは飲み物そのものの性質であり、飲んだ人への健康効果は確かめられていません。著者らも、原料の産地や気候、加工や保存の方法、工業規模での発酵の標準化が進んでいないことなどにより、コンブチャの成分や性質が大きくばらつきうる点を限界として挙げています。

原著論文の著者・所属:Zahra Mohammadi(Ph.D.Student,Departmentof food science and technology , shah.C.,Islamic Azad University Shahreza ,Iran)、Monir Doodi(Ph.D.in Microbiology ,Faculty Member and Assistant Professor in the Department of Microbiology and Biotechnology Islamic Azad University Falavarjan Branch)、Maryam Jafari Veldani(Assistant Professor and Faculty member in the Department of Food Science and Technology Islamic Azad University Shahrekord Branch)、Shohreh Vahed(Assistant Professor Department of Food Science and Technology Islamic Azad University Shahreza Branch)、Leila Lakzadeh(Assistant Professor and Faculty Member in the Department of Food Science and Technology Engineering)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Zahra Mohammadi, Monir Doodi, Maryam Jafari Veldani, et al. Investigation and optimization of physicochemical and antioxidant properties of probiotic kombucha drink containing cinnamon and low-calorie sweetener sorbitol using response surface methodology. International journal of modern achievement in science, engineering and technology. 2026-09-24. DOI: 10.63053/ijset.165. 原著ライセンス:CC BY.