著者の所属・活動拠点の国は、チェコです。

掲載誌:Chemické listy

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

コンブチャは、甘くした紅茶や緑茶を、酢酸菌や酵母などが共生する微生物の集まりで発酵させた伝統的な飲み物です。消化を助ける、腸内の微生物のバランスを整えるといった健康上の利点が語られてきました。しかし著者らは、人を対象とした厳密な研究は組み立てが難しく費用もかかるため、人での裏付けはまだ限られていると述べています。

そこで研究チームは、プロバイオティクス(体に良い働きが期待される生きた微生物)を加えた発酵コンブチャ飲料を毎日飲んでもらいました。そのうえで、本人が感じる体調の変化と、血液検査などの客観的な指標がどう変わるかを調べました。著者らはこの研究を、短期間の予備的な研究(パイロット研究)と位置づけています。

何をどのように調べたか

参加者は、目立った持病のない成人50人(男性12人、女性38人)です。全員が市販の発酵飲料を1日1回330ミリリットル、100日間飲みました。この飲料は100ミリリットルのうち99.45ミリリットルがコンブチャ酢で、マテ茶の抽出液はわずか0.55ミリリットルです。これにビフィズス菌や乳酸菌、枯草菌、酵母が加えられています。研究は盲検化(誰が何を飲んでいるかを伏せる工夫)をせずに行われました。

飲み始める前、30日後、100日後の3回、体重やBMI(身長に対する体重の指標)、血圧を測り、体調に関するアンケートに答えてもらいました。あわせて採血し、9項目を測定しました。測定したのは、血糖値、肝臓の状態を示す酵素(AST、ALT、GGT)、膵臓の消化酵素であるリパーゼ、中性脂肪、総コレステロール、HDLコレステロール、LDLコレステロールです。

また、物質が赤外線をどのように吸収するかを調べる赤外分光法という手法を使い、飲料と市販のコンブチャのサプリメント(カプセル)の成分の特徴も比べました。

主な結果

アンケートでは、多くの参加者が良い変化を感じたと答えました。消化の調子が良くなったと答えた人は64%、全体的な気分の良さが改善したと答えた人は60%、便通が規則的になったと答えた人は44%でした。感染症にかかりにくくなったと感じた人は26%でした。活力や気分、睡眠の改善を挙げた人もいましたが、その割合はより低めでした。集中力や体重減少については、変化を感じた人が最も少なかったと報告されています。また、飲料はすべての参加者によく受け入れられたとされています。

一方、体重や血圧、血液検査の9項目には、100日間を通じて統計的に意味のある変化は見られませんでした。BMIの平均は、女性で開始時25.1から100日後24.5へ、男性で28.3から27.5へとわずかに下がりました。ただし著者らは、これを有意ではない変化としています。

血液検査値には男女で違いがありました。男性のグループでは、中性脂肪が1リットルあたり1.45ミリモルから1.34ミリモルへ、HDLコレステロールが1.22ミリモルから1.30ミリモルへと動きました。このように、いくつかの項目で値の推移が見られたと報告されています。ただし、これらも統計的に確かな変化とは示されていません。

成分の分析では、飲料とサプリメントがよく似た化学的特徴を持ち、有機酸、多糖類、ポリフェノールなどの成分が含まれることが示されました。一方で、コンブチャの特徴的な成分とされるグルクロン酸の存在は、この分析では確認できなかったとしています。

研究から伝わること

この研究では、参加者の多くが消化や気分の改善を実感しました。その一方で、100日間では体重や血圧、血液検査の数値に統計的に意味のある変化は確認されませんでした。本人が感じる変化と、測定で捉えられる変化が一致しなかったことが、この研究の中心的な結果です。

著者らは、参加者が少なく、年齢の幅が広く、個人差によって数値のばらつきが大きかったことを指摘しています。そのため、今回の結果を確かめるには、より多くの参加者を対象に、より長い期間をかけた研究が必要だとしています。コンブチャへの期待と、人での客観的な裏付けとの間にある隔たりを、具体的なデータで示した報告といえます。

原著論文の著者・所属:Jana Čepová(Ústav lékařské chemie a klinické biochemie, 2. lékařská fakulta Univerzity Karlovy a Fakultní nemocnice Motol a Homolka, Praha, Česká republika)、Michaela Hrůšová(Ústav lékařské chemie a klinické biochemie, 2. lékařská fakulta Univerzity Karlovy a Fakultní nemocnice Motol a Homolka, Praha, Česká republika)、Julia Werle(Ústav lékařské chemie a klinické biochemie, 2. lékařská fakulta Univerzity Karlovy a Fakultní nemocnice Motol a Homolka, Praha, Česká republika)、Ondřej Mitrovský(Ústav lékařské chemie a klinické biochemie, 2. lékařská fakulta Univerzity Karlovy a Fakultní nemocnice Motol a Homolka, Praha, Česká republika)、Kateřina Štefanová(Ústav lékařské chemie a klinické biochemie, 2. lékařská fakulta Univerzity Karlovy a Fakultní nemocnice Motol a Homolka, Praha, Česká republika)、Richard Průša(Ústav lékařské chemie a klinické biochemie, 2. lékařská fakulta Univerzity Karlovy a Fakultní nemocnice Motol a Homolka, Praha, Česká republika)、René Kizek(Ústav lékařské chemie a klinické biochemie, 2. lékařská fakulta Univerzity Karlovy a Fakultní nemocnice Motol a Homolka, Praha, Česká republika)、Karel Kotaška(Ústav lékařské chemie a klinické biochemie, 2. lékařská fakulta Univerzity Karlovy a Fakultní nemocnice Motol a Homolka, Praha, Česká republika)、Eva Klapková(Ústav lékařské chemie a klinické biochemie, 2. lékařská fakulta Univerzity Karlovy a Fakultní nemocnice Motol a Homolka, Praha, Česká republika)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Jana Čepová, Michaela Hrůšová, Julia Werle, et al. Study of the Effect of Fermented Kombucha Tea with Added Probiotics on Selected Biochemical Parameters. Chemické listy 2026-08-15. DOI: 10.54779/chl20260453. 原著ライセンス:CC BY.