この研究は、インドネシアの研究機関の研究論文です。
掲載誌:AcTion Aceh Nutrition Journal
ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の背景と目的
インドネシアでは成人の肥満が増えており、その割合は男性より女性で高いことが国の調査で示されています。肥満は血液中の脂質の異常につながりやすく、総コレステロール(血液中のコレステロールの総量)が高い状態は、血管の壁にプラークがたまって血流を妨げる要因になると考えられています。また働く女性は仕事に伴うストレスを受けやすく、ホルモンの反応や食習慣の乱れを通じてコレステロール値に影響が及びうることも指摘されています。
パイナップルには、たんぱく質を分解する酵素ブロメラインと食物繊維が含まれます。ブロメラインは果肉よりも芯(コア)に多く含まれますが、芯は硬く甘みが少ないため捨てられることが少なくありません。研究チームは、これまでの研究が主に果肉だけを使っていた点と、働く女性を対象にした検討が行われていなかった点に着目し、果肉と芯の両方を使ったジュースが、過体重・肥満の働く女性の総コレステロール値にどう影響するかを調べることを目的としました。
どのように調べたか
著者らは、インドネシア・ランプンの食品企業に勤める女性34人を対象に、2025年8月から9月にかけて準実験(無作為化比較試験とは異なる、条件をそろえきれない形の介入研究)を行いました。参加者は過体重・肥満の別で層に分けたうえで割り付けられ、パイナップルジュースを飲む介入群17人と、ステビアで甘みをつけた水を飲む対照群17人に分かれました。対象は20〜49歳の非交代勤務者で、コレステロール低下薬や抗うつ薬の使用者、慢性の消化器疾患がある人は除外されました。
ジュースは果肉75%・芯25%の割合で、水や砂糖を加えずに作られました。参加者は14日間、1日1回、体重70kgあたり142gに相当する量を飲み、介入の前後に約12時間の絶食後、採血で総コレステロールを測定しました。期間中は食事記録をつけ、摂取状況は観察や写真での確認によって管理されました。用いたジュースを分析したところ、100gあたり食物繊維4.9%、ブロメラインは1.2%、酵素活性は1.97 CDU/mgと報告されています。
報告された主な結果
論文によると、総コレステロールの変化量は2つの群の間で統計的に意味のある差がありました(p = 0.041)。対照群では平均7.59 mg/dL上昇したのに対し、介入群では平均6 mg/dL低下しており、ジュースを飲んだ群のほうが良好な方向の変化を示しました。
一方で、それぞれの群の中で介入前後を比べた変化は、対照群(p = 0.053)でも介入群(p = 0.268)でも統計的に意味のある差にはなりませんでした。著者らは、この点を踏まえて結果は慎重に解釈する必要があるとしています。
著者らはまた、開始時点で介入群の総コレステロール値が対照群より有意に高く、両群の出発点がそろっていなかったことを挙げ、この不均衡が群の比較しやすさを損ない、差をジュースだけの効果とみなすことを難しくしていると述べています。年齢と栄養状態を調整した分析(ANCOVA)では、これらの要因が総コレステロール値に有意な影響を与えてはいませんでした。さらに、参加者の食物繊維の摂取量が推奨される1日30gを下回り、脂質の摂取が推奨量より多かったことも、群内で変化が出にくかった背景として論じられています。研究の限界として、食事や運動の管理を組み合わせなかったこと、HDLや中性脂肪を含む脂質全体を分析していないこと、身体活動や喫煙などの詳細な情報がないこと、サンプル数が十分でなかった可能性も挙げられています。
この研究が示すこと
この研究は、ふだん捨てられがちなパイナップルの芯を果肉とあわせてジュースにし、働く女性という具体的な集団で総コレステロールへの影響を検討した試みです。群間の比較では介入群のほうが望ましい方向の変化を示した一方、群内の変化は有意ではなく、開始時点の差という設計上の制約も残りました。著者らは、この結果は有望な方向を示しつつも慎重に読むべきものであり、コレステロール値には食事や遺伝など多くの要因が関わることを考慮する必要があると結論づけています。
著者:Nadia Rachmawati Ciptaningtyas(Master of Nutrition Science, Department of Nutrition, Faculty of Health Sciences, Universitas Brawijaya)、Nurul Muslihah(Department of Nutrition, Faculty of Health Sciences, Universitas Brawijaya)、Irma Sarita Rahmawati(Department of Nutrition, Faculty of Health Sciences, Universitas Brawijaya)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Nadia Rachmawati Ciptaningtyas, Nurul Muslihah, Irma Sarita Rahmawati Effect of pineapple (Ananas comosus) juice containing flesh and core on serum total cholesterol in overweight and obese working women: a quasi-experimental study. AcTion Aceh Nutrition Journal 2026-09-16. DOI: 10.30867/action.v11i3.3092. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.
本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。