著者の所属・活動拠点の国は、ポルトガルです。
掲載誌:Applied Food Research
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
研究チームは、微細藻類を加えることで、サワードウの発酵や小麦パンの生地の性質、焼き上がりの品質がどう変わるかを調べました。微細藻類はたんぱく質や生理活性物質を含むパンの材料として期待されていますが、発酵や製パンへの影響は十分に分かっていませんでした。
何を、どのように調べたか
研究チームは、まずスピルリナを重量比4%加えたサワードウについて、糖の利用や乳酸の生成など、発酵の進み方を調べました。続いて、クロレラまたはスピルリナを加えたサワードウと、それぞれの微細藻類原料を使い、最終的なパン配合で微細藻類が重量比4%となる小麦パンを評価しました。対照と比較したのは、生地の変形しやすさや伸びやすさ、パンの体積や硬さ、栄養成分などで、48人による官能評価も行いました。
主な報告結果
スピルリナを加えると糖の利用と乳酸の生成が進み、24時間後の乳酸量は対照の1.550 g/100 gに対し、5.154 g/100 gに達しました。また、スピルリナでは生地がこね上がるまでの時間が約55%長くなり、生地は強くなる一方、伸びにくくなる性質を示しました。パンの単位重量当たりの体積は対照より約25%小さく、内側の部分は硬くなりました。一方、クロレラは生地の吸水と水分保持を高め、製パン上の性質はスピルリナより対照に近く保たれました。栄養面では、スピルリナのパンの鉄含有量が対照の約12倍となり、どちらの微細藻類入りパンもEUの「鉄を豊富に含む」という表示基準を満たしました。官能評価では、生地やパンの構造の変化が大きかったスピルリナのパンの方が、クロレラのパンより高い受容性の評価を得ました。
この報告が示すこと
著者らは、微細藻類がサワードウの発酵の進み方を変え、生地やパンの品質に及ぼす影響は種類によって異なると結論づけています。この報告は、微細藻類による栄養成分の変化だけでなく、生地の扱いやすさや焼き上がり、食べた人の評価を分けて捉えることの意味を示しています。
原著論文の著者・所属:Nancy Mahmoud(University of Lisbon School of Agriculture, Portugal)、Catarina Machado(University of Lisbon School of Agriculture, Portugal)、Catarina Prista(University of Lisbon School of Agriculture, Portugal)、Anabela Raymundo(University of Lisbon School of Agriculture, Portugal)、Maria Cristiana Nunes(University of Lisbon School of Agriculture, Portugal)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Nancy Mahmoud, Catarina Machado, Catarina Prista, et al. Sourdough wheat bread: Impact of microalgae supplementation on fermentation metabolism, dough rheology and bread quality. Applied Food Research 2026-11-01. DOI: 10.1016/j.afres.2026.102806. 原著ライセンス:CC BY.