著者の所属・活動拠点の国は、中国です。
掲載誌:Frontiers in Microbiology
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
研究チームは、農産加工の副産物であるミルクシスルミールを、産卵後期の鶏の飼料に利用できるかを調べました。産卵後期には加齢などに伴って生産成績が低下するため、従来の飼料原料を一部置き換えながら、産卵成績や卵の品質を維持・改善できる原料が求められています。
ミルクシスルミールには、たんぱく質やシリマリンなどの生理活性成分が含まれます。著者らは、飼料への配合割合を変えたとき、産卵成績、卵の品質、栄養の利用、排せつ物中の細菌群集にどのような違いが生じるかを検討しました。
何を、どのように調べたか
55週齢の採卵鶏「Jinghong 3.0」450羽を、ミルクシスルミールの配合割合が0%、2.5%、5.0%、7.5%、10.0%の5群に無作為に分けました。各群には18羽をまとめた単位を5つ設け、この単位ごとに成績を比較しました。ミルクシスルミール1キログラムにつき、トウモロコシと大豆かすをそれぞれ0.5キログラムずつ置き換えています。10日間の馴らし期間の後、56日間の試験を行いました。
研究チームは産卵率、平均卵重、飼料摂取量、一定量の卵を生産するのに必要な飼料量を表す飼料要求率と、卵黄の色や卵白の品質などを比較しました。また、飼料と排せつ物に含まれる栄養成分から、摂取した栄養のうち排せつされなかった割合を「見かけの消化率」として算出しました。
試験終了時には排せつ物を採取し、細菌の種類を識別するための16S rRNA遺伝子解析で細菌群集を調べました。その情報から細菌群集の代謝機能も推定し、産卵成績や栄養利用との関連を分析しました。
主な報告結果
平均卵重は5.0%配合群で最も大きく、試験全体と前半・後半のいずれでも、ほかのすべての群より有意に高かったと報告されています。一方、10.0%配合群では平均卵重が最も小さくなりました。試験全体の飼料要求率も、5.0%配合群では7.5%、10.0%配合群より低く、これらの高配合群より少ない飼料で同じ量の卵を生産していました。ただし、8週間全体の産卵率には群間で有意な差がありませんでした。
卵の品質では、5.0%、7.5%、10.0%配合群で、無配合群より卵黄の色の評価値が高くなりました。卵白の品質を評価するハウユニットは、5.0%配合群がほかのすべての群より有意に高い値でした。一方、卵殻の強度などには有意な影響が認められませんでした。
粗たんぱく質の見かけの消化率も、5.0%配合群がほかのすべての群より有意に高くなりました。乾物や粗脂肪の見かけの消化率、飼料の総エネルギーの利用割合には有意な影響がありませんでした。
排せつ物中の細菌群集では、多様性や群集全体の構成に有意な群間差はありませんでした。ただし、一部の細菌には配合割合に応じた変化が見られ、Turicibacter属の相対的な割合は配合量とともに増加しました。代謝機能の推定では、2.5%配合群で無配合群に比べて19の代謝経路が高まると予測され、主にアミノ酸、脂質、糖質、エネルギーの代謝に関係していました。これは遺伝子情報に基づく予測であり、代謝活動を直接測定した結果ではありません。
この報告が示すこと
著者らは、今回の条件では5.0%の配合が多くの評価項目で良好であり、ミルクシスルミールは産卵後期の鶏に使う代替飼料原料の候補になると結論づけています。多く配合するほどよいわけではなく、配合割合の選択が重要だという報告です。
一方、細菌群集の変化が産卵成績の改善を引き起こしたとは確認されていません。細菌と卵重の関連も、複数の比較による偶然の影響を調整すると有意ではなく、腸の状態や細菌の代謝産物などを介した仕組みは実験で検証されていません。著者らは、長期的な利用や商業飼育条件への適用についても確認が必要だとしています。
原著論文の著者・所属:Yanrong Long(Department of Medical Technology, Guiyang Kangyang University, Guiyang, Guizhou, China)、Yuan Gao(College of Animal Science and Veterinary Medicine, Jinzhou Medical University)、Desheng Li(College of Animal Science and Veterinary Medicine, Jinzhou Medical University)、Rui Zhang(Department of Medical Technology, Guiyang Kangyang University, Guiyang, Guizhou, China)、Xi Yang(Department of Medical Technology, Guiyang Kangyang University, Guiyang, Guizhou, China)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Yanrong Long, Yuan Gao, Desheng Li, et al. Dietary milk thistle meal supplementation modulates gut microbiota and improves performance and egg quality in late-phase laying hens. Frontiers in Microbiology(出版社:Frontiers Media) 2026-08-12. DOI: 10.3389/fmicb.2026.1925351. 原著ライセンス:CC BY.