著者の所属・活動拠点の国は、トルコです。

掲載誌:Archives animal breeding/Archiv für Tierzucht

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

畜産では、飼料コストの上昇や合成添加物への懸念から、植物由来の素材を飼料に活用する方法への関心が高まっています。研究チームが注目したのは、トルコの中央アナトリア地方などに自生するセイヨウカンボク(学名 Viburnum opulus L.)です。その果実はポリフェノールやフラボノイド、ビタミンCなどを多く含むと報告されてきました。

この植物の働きは人の健康や薬理の分野では多く調べられています。しかし、家禽の飼料添加物としての利用に関する情報は限られていました。そこで著者らは、果実粉末を異なる量で飼料に混ぜ、産卵中のウズラの体重や飼料の食べる量、産卵成績、卵の品質、卵黄のコレステロール濃度にどう影響するかを調べました。

どのように調べたか

実験には、体重がほぼそろった生後30週のウズラ176羽(雌132羽、雄44羽)を使いました。1つのケージに雌3羽と雄1羽を入れ、4つの飼料グループに11ケージずつ無作為に割り当てました。基本飼料だけを与える対照群と、飼料1キログラムあたり果実粉末を5グラム、10グラム、15グラム加えた3つの群を比べています。実験期間は8週間です。

果実は大学の圃場で完熟後に収穫し、乾燥させてから粉末にしました。体重、飼料の摂取量、飼料要求率(一定の体重を増やすのに必要な飼料の量)を毎週記録しました。卵については、重さや形、殻の重さと厚さ、割れにくさなどの外側の特徴を測りました。内側については、卵白と卵黄の高さ、卵の鮮度の指標であるハウユニット、卵黄の色を調べています。卵黄のコレステロール濃度は、実験期間中の複数の時点で測定しました。

主な結果

体重、増体量、飼料要求率には、果実粉末による統計的に意味のある差は見られませんでした。一方、期間中の総飼料摂取量には群間で差がありました。最も多かったのは5グラム添加群の7888.0グラム、最も少なかったのは15グラム添加群の7115.6グラムでした。

平均卵重、総卵重、総産卵数にも有意な差はありませんでした。卵の品質では、果実粉末を加えると殻の重さが減り、5グラム添加群で最も軽い1.22グラムでした。ただし殻の厚さは変わらず、割れにくさやハウユニットにも影響は見られませんでした。内側の品質では、5グラム添加群で卵黄の高さが最も高い13.55ミリとなり、卵黄の盛り上がりを示す卵黄係数も上昇しました。著者らはこれを主要な知見の一つとしています。

卵黄のコレステロール濃度は、添加群で全期間の平均が数値上は低い傾向でしたが、統計的に有意な差ではありませんでした。ただし実験6週目だけは有意な差があり、対照群の1グラムあたり52.31ミリグラムに対し、15グラム添加群では41.04ミリグラムでした。この低下は期間を通して一貫しては見られなかったと著者らは述べています。

研究が示すこと

著者らは、今回試した添加量では体重や飼料要求率に悪影響がなく、果実粉末はウズラにおおむね受け入れられたと考えています。また、一部の卵の品質を変える飼料添加物としての可能性があると結論づけています。

一方で、今回使った粉末に含まれる成分は分析されていません。そのため、どの成分が卵の変化に関わったのかは分かっていません。コレステロールの低下についても、仕組みが確かめられた効果ではなく、可能性の段階として扱うべきだと論文は強調しています。この研究は、家禽の飼料としてのセイヨウカンボク利用について最初期のデータを示したものと位置づけられています。

原著論文の著者・所属:Ayşe Gül Filik(Kırşehir Ahi Evran University, Agriculture Faculty, Agricultural Biotechnology Department, TR40100, Kırşehir, Türkiye)、Gökhan Filik(Ahi Evran University (Kırşehir, Türkiye))、Olgay Kaan Tekin(Kırşehir Ahi Evran University, Agriculture Faculty, Agricultural Biotechnology Department, TR40100, Kırşehir, Türkiye)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Ayşe Gül Filik, Gökhan Filik, Olgay Kaan Tekin. The effects of Viburnum opulus L. fruit powder on the performance, egg traits, and egg cholesterol of laying Japanese quails. Archives animal breeding/Archiv für Tierzucht 2026-09-03. DOI: 10.5194/aab-69-507-2026. 原著ライセンス:CC BY.