著者の所属・活動拠点の国は、中国です。
掲載誌:Fishes
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
養殖では、魚粉や大豆粕といった高価な飼料原料の代わりに、植物を発酵させた素材を使う研究が進められています。研究チームは、発酵させた桑の葉の粉末を餌に加えると、ソウギョ(草魚)の成長や肉質、体の酸化に対する防御の働き、脂肪の代謝がどう変わるかを調べました。
どのように調べたか
実験には、体重がおよそ0.86kgのソウギョを用いました。基本となる餌に発酵桑葉粉末を0%、5%、10%、15%の割合で加えた4種類の餌を用意し、70日間与えました。そのうえで、成長の度合い、筋肉の品質、抗酸化の状態、脂質代謝に関わる指標を比較しました。
主な結果
論文によると、発酵桑葉粉末を加えても成長成績に統計的に意味のある差は見られませんでした。一方で、体重に対する肝臓や内臓の重さの割合、肥満度を表す指標、腹腔内の脂肪の割合はいずれも低下したと報告されています。
筋肉に含まれる基本的な栄養成分は変わりませんでしたが、死後の筋肉が水分を保つ力、肉から水分が流れ出る量(ドリップロス)、加熱後に重さが残る割合、食感などの点で改善が見られたとされています。
抗酸化の面では、脂質が酸化されたときにできる物質であるマロンジアルデヒドが減り、活性酸素などを処理する酵素であるグルタチオンペルオキシダーゼとスーパーオキシドジスムターゼの活性が高まりました。肝臓では、これらの酵素や、抗酸化の働きを調節するNrf2という因子の遺伝子の発現も増えていました。
脂質代謝については、血液中のHDLコレステロールが増え、肝臓の総コレステロールと中性脂肪が減少しました。また、脂肪酸を分解する働きに関わる遺伝子の発現が高まり、脂肪を合成する働きに関わる遺伝子の発現は抑えられていたと報告されています。
さらに研究チームは、結果を統計的な曲線に当てはめる分析から、餌への添加割合がおよそ7.55%〜11.40%のときソウギョの肉質や抗酸化の働き、脂質代謝が改善するとし、データからは8〜10%付近が最適な範囲と考えられるとしています。
研究が示すこと
この研究は、ソウギョの餌に発酵桑葉粉末を加えても成長は変わらない一方で、体内の脂肪の付き方や肉質、抗酸化に関わる指標に変化が見られたことを報告しています。あわせて、この実験条件のもとでソウギョに与える発酵桑葉粉末の添加割合について、分析にもとづく目安の範囲を示しています。
原著論文の著者・所属:Hongquan Wang(College of Fisheries, Hunan Agricultural University, Changsha 410128, China)、Shuang Wu(College of Fisheries, Hunan Agricultural University, Changsha 410128, China)、Xiwen Zhang(College of Animal Science and Technology, Hunan Agricultural University, Changsha 410128, China)、Wei Tang(College of Animal Science and Technology, Hunan Agricultural University, Changsha 410128, China)、Xiangyue Zou(Institute of Cotton and Sericulture, Hunan Academy of Agricultural Sciences, Changsha 410128, China)、Yurong Zhao(College of Animal Science and Technology, Hunan Agricultural University, Changsha 410128, China)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Hongquan Wang, Shuang Wu, Xiwen Zhang, et al. Effects of Fermented Mulberry Leaf Powder on Growth Performance, Meat Quality, Antioxidant Capacity, and Fat Metabolism in Grass Carp (Ctenopharyngodon idellus). Fishes 2026-08-05. DOI: 10.3390/fishes11080459. 原著ライセンス:CC BY.