著者の所属・活動拠点の国は、ナイジェリアです。

掲載誌:The North African Journal of Food and Nutrition Research

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究のねらい

朝食シリアルは手軽に栄養をとれる食品として広く食べられています。ただし、主な原料であるトウモロコシや小麦は精製された粉として使われることが多く、ビタミンやミネラル、食物繊維は多くありません。そこで、体に働きかける成分を持つ植物素材を加えて、栄養面や機能面の価値を高める試みが行われています。

ナイジェリアの研究チームが注目したのは、ベンケイソウ科の多肉植物ブリオフィルム・ピンナツム(和名セイロンベンケイソウ)です。論文によると、この植物は熱帯の各地で伝統的に薬用として使われ、フラボノイドなどの成分を含みます。研究チームは、トウモロコシ粉とソルガム(モロコシ)粉にこの葉の粉末を混ぜて朝食シリアルを試作しました。そのうえで、粉の性質、加熱したときの粘り方、ミネラル量、植物由来成分の量、食べたときの好ましさを調べ、葉の粉末の配合がこれらにどう影響するかを検討しました。

どのように試作し、調べたか

葉は熱湯に2〜3分くぐらせたあと、40℃で乾燥させ、細かく粉砕しました。トウモロコシ粉、ソルガム粉、葉の粉末を5通りの比率で配合し、葉の粉末の割合は2%から10%までとしました。比較対照には、トウモロコシ粉だけの試料を用意しました。甘味には砂糖の代わりにナツメヤシの実の粉末を使っています。

配合した粉は、押出成形機という装置で加工しました。これは、原料を高温・高圧で練りながら押し出して成形する装置で、シリアルやスナック菓子の製造に使われています。成形したものは乾燥させてから粉砕しました。

調べた項目は、粉の詰まり具合を示すかさ密度、水や油をどれだけ吸うか、加熱時の膨らみやすさ、加熱と冷却のあいだの粘りの変化(糊化特性)です。さらに、ナトリウム、カリウム、カルシウム、鉄、亜鉛の量、ポリフェノールの一種であるフェノール類とフラボノイドの量、抗酸化活性も測定しました。食べたときの評価は、大学職員50人が色、見た目、香り、味、口当たり、総合的な好ましさについて9段階で採点しました。

主な結果

葉の粉末を加えた粉は、トウモロコシ粉だけの対照より多くの水を吸いました。吸水量は配合量が増えるほど大きくなり、100gあたり約170gから188gでした。対照は約134gです。一方、油の吸収量は配合量が増えるほど少しずつ低下しました。糊化特性では、ソルガムの割合が最も高い配合で粘りの値が最も高くなりました。ただし論文の結論では、試料間の糊化特性に有意な差は見られなかったとされています。糊化までの時間は、どの試料もほぼ7分でした。

ミネラルについては、葉の粉末の配合を2%から10%へ増やすにつれて、ナトリウム、カリウム、カルシウム、鉄、亜鉛がいずれも有意に増えたと報告されています。たとえば鉄は100gあたり0.75mgから0.95mg、亜鉛は0.44mgから0.66mgの範囲でした。

植物由来成分では、フェノール類の量が配合比によって大きく異なりました。最も多かったのは葉の粉末4%の配合で、最も少なかったのは2%の配合です。フラボノイドは8%の配合で最も多くなりました。ただし、配合量が増えるほど一様に増えたわけではありません。また、抗酸化活性はトウモロコシ粉だけの対照でも高い値が示されました。

食べたときの評価では、葉の粉末が増えるほど、色、見た目、香り、味、口当たり、総合的な好ましさの点数が下がりました。それでも、配合2%、4%、6%の3試料の総合評価には有意な差がなく、いずれも許容とされる5点を上回りました。

研究から見えること

この研究は、伝統的に薬用とされてきた植物の葉を朝食シリアルの原料に加えると、粉の性質やミネラル、植物由来成分の量が変わることを示しました。同時に、配合量が増えると食べたときの評価は下がり、6%程度までの配合であれば評価者に受け入れられたことも明らかにしています。栄養面での変化とおいしさの両立には配合量の見極めが重要であることを示す結果です。なお著者らは、この葉の粉末を食品に使ううえでの安全性は、今後評価が必要な課題だと述べています。

原著論文の著者・所属:Musa Omotayo Jimoh(Bells University of Technology)、Oyindamola Comfort Olatunde(Bells University of Technology)、Omolara Folakemi Adeniji(Bells University of Technology)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Musa Omotayo Jimoh, Oyindamola Comfort Olatunde, Omolara Folakemi Adeniji. Evaluation of Phytochemical, Functional and Mineral Composition of Extruded Breakfast Cereals Made from Zea mays, Sorghum bicolor and Bryophyllum pinnatum Blends. The North African Journal of Food and Nutrition Research 2026-10-09. DOI: 10.51745/najfnr.10.22.99-108. 原著ライセンス:CC BY.