著者の所属・活動拠点の国は、インドです。
掲載誌:Journal of Cereal Research
ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
大麦は古くから食べられてきた穀物で、栄養面の価値が高いとされています。一般的な大麦は、殻(ふ)が実にしっかり付いた品種が多く、食用にするには殻を取り除いたり表面を削ったりする工程が必要です。この工程は手間とエネルギーがかかり、外側の層に含まれる栄養も失われます。一方、裸麦(ハルレス大麦)は収穫の過程で殻が自然に外れます。そのため、小麦と同じように粒をそのまま加工できます。
「ダリア」(グリッツ)は、穀物の粒を粗く砕いたもので、一般には小麦から作られます。研究チームは、インドで新しい裸麦品種が開発されていることを背景に、裸麦からグリッツを作りました。そして、その理化学的な性質と、グリッツから作ったダリアの食味を評価しました。著者らによれば、裸麦からのグリッツ製造に関する情報は、これまで乏しかったといいます。
何を調べたか
研究チームは、DWRB 223、Karan 16、PL 891、Geetanjaliの4品種の裸麦を、小型の石臼で挽きました。これをふるいにかけ、グリッツと、ふすまに似た副産物とに分けました。
グリッツについては、次の項目を測定しました。水分、たんぱく質、灰分(ミネラル量の目安)、β-グルカン(大麦に含まれる水溶性の食物繊維)の含有量です。あわせて、色の白さを示す指標、pH、水分活性も調べました。水分活性は、微生物の増殖などに使われうる自由な水の量を示す指標です。さらに、水で煮たときにどれだけ水を吸って重くなるかと、煮汁にどれだけ固形分が溶け出すかも調べています。
食味の評価では、まずグリッツをギーで炒め、水と牛乳で煮て、砂糖で甘みをつけたダリアを作りました。これを温かいデザートと冷やしたデザートの両方で出し、3人の評価者が色、味、とろみ、総合的な好ましさを9段階で採点しました。
主な結果
論文の要旨によると、グリッツのたんぱく質は約10〜15%、灰分は1.17〜1.37%、β-グルカンは4.12〜5.03%でした。色の白さを示す指標は61.2〜67.0でした。4品種のうち、DWRB 223が最も白く、Geetanjaliが最も低い値でした。pHは6.40〜6.67で、低酸性の食品に分類されるとされています。
煮たあとの重さは、煮る前の4.55〜4.86倍になりました。煮汁に溶け出した固形分は、0.97〜1.13%と報告されています。
官能評価の総合的な好ましさは、温かいダリアで7.33〜7.67、冷やしたダリアで7.42〜8.00でした。いずれも「やや好き」から「とても好き」の範囲に入っています。冷やしたほうが高い点数となり、どちらの出し方でもDWRB 223の評価が最も高くなりました。著者らは、冷えてゲル状に固まることが好ましさを高めた可能性を挙げています。
挽く過程で出た副産物にも、たんぱく質(約13.5〜19.5%)、灰分、β-グルカンが含まれていました。著者らは、この副産物を食品や飼料などとして活用できる可能性があると述べています。
研究が示すこと
この研究は、殻を取り除く工程がいらない裸麦を、石臼で挽くだけでグリッツに加工できたことを報告しています。また、それを甘く煮たダリアは、評価者から好意的に受け止められました。著者らは、裸麦グリッツを加工の少ない食品の選択肢と位置づけています。そして、気候の変化に強い作物である大麦の製品を多様化する、簡便な方法の一つになると述べています。
原著論文の著者・所属:Anuj Kumar(ICAR-Indian Institute of Wheat and Barley Research, Karnal, 132001, India)、Narender Mohan(ICAR-Indian Institute of Wheat and Barley Research, Karnal, 132001, India)、Dinesh Kumar(ICAR-Indian Institute of Wheat and Barley Research, Karnal, 132001, India)、Joginder Singh(ICAR-Indian Institute of Wheat and Barley Research, Karnal, 132001, India)、Manthn Sharma(ICAR-Indian Institute of Wheat and Barley Research, Karnal, 132001, India)、Amit Sharma(ICAR-Indian Institute of Wheat and Barley Research, Karnal, 132001, India)、Om Prakash Gupta(ICAR-Indian Institute of Wheat and Barley Research, Karnal, 132001, India)、Chuni Lal(ICAR-Indian Institute of Wheat and Barley Research, Karnal, 132001, India)、Sunil Kumar(ICAR-Indian Institute of Wheat and Barley Research, Karnal, 132001, India)、Ratan Tiwari(ICAR-Indian Institute of Wheat and Barley Research, Karnal, 132001, India)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Anuj Kumar, Narender Mohan, Dinesh Kumar, Joginder Singh, Manthn Sharma, Amit Sharma, Om Prakash Gupta, Chuni Lal, Sunil Kumar, Ratan Tiwari Hulless barley as an ingredient for manufacturing barley-grits. Journal of Cereal Research 2026-08-31. DOI: 10.25174/2582-2675/2026/178293. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.
本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。