著者の所属・活動拠点の国は、タイです。

掲載誌:Current Research in Nutrition and Food Science Journal

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

伝統菓子を作り替える試みと研究の目的

カオラムは、もち米に砂糖、ココナッツミルク、塩を加え、竹の節に詰めて焼き上げるタイの伝統的な菓子です。著者らによると、この菓子は炭水化物、脂肪、エネルギーが多く、頻繁に食べるとカロリーや糖の摂取が増えるおそれがあります。

そこで、エネルギーと糖を減らすため、もち米をこんにゃくに、砂糖(ショ糖)をイソマルツロースという糖に置き換えたカオラムが考案されていました。しかし、こうして作り替えたカオラムを食べた直後に、血糖や食欲がどう変化するかは臨床的に調べられていませんでした。研究チームはこの点を確かめるため、健康な成人を対象とした試験を行いました。

どのように調べたか

試験には健康なボランティア45人が参加しました。参加者は、基準となるブドウ糖液、伝統的なカオラム、こんにゃくを使ったカオラム、こんにゃくとイソマルツロースの両方を使ったカオラムの4種類を、順番を無作為に変えながら全員が摂取しました。このように同じ人が複数の試料を順に試す方法をクロスオーバー法といい、論文題名では二重盲検の試験とされています。二重盲検とは、一般に、参加者と研究者のどちらにも、どの試料を摂取したかが分からないようにする方法です。

摂取前と摂取後30分、60分、90分、120分に、血糖値と、空腹感や満腹感の自己評価を記録しました。さらに、食後の血糖上昇の大きさを示す指標(血糖曲線下面積の増加分、iAUC)と、食品が血糖値をどの程度上げやすいかをブドウ糖と比べて示すグリセミック指数(GI)も求めました。

主な結果

3種類のカオラムはいずれも、摂取後30分と60分の血糖値がブドウ糖液を摂取した後より有意に低くなりました。摂取後の一定の時間帯における血糖値の変化の大きさについても、3種類のカオラムはいずれもブドウ糖液より有意に小さいと報告されています。

一方、カオラム同士を比べると、血糖上昇の大きさを示すiAUCに有意な差は見られませんでした。ただし、食後2時間全体では、こんにゃくを使ったカオラムのiAUCがほかの試料より最も小さい値でした。

GIは、伝統的なカオラムが91、こんにゃくを使ったカオラムと、こんにゃくとイソマルツロースを使ったカオラムがともに88で、いずれも基準のブドウ糖液より有意に低い値でした。ただし、3種類ともGIが高い食品に分類される水準にとどまっていました。

食欲については、摂取後30分の時点で、3種類のカオラムはいずれもブドウ糖液に比べて「食べたい」という気持ちの自己評価が有意に低く、著者らはこれを満腹感が高まったことを示すものと解釈しています。

この研究が示すこと

著者らは、こんにゃくとイソマルツロースを取り入れたカオラムは、食後の血糖反応の改善、GIの低さ、満腹感の高まりと関連しており、伝統的な菓子より優れた配合だと結論づけています。一方で、抄録に示された有意差の多くはブドウ糖液との比較であり、カオラム同士の血糖上昇の大きさには有意な差が見られず、いずれも高GI食品に分類されていました。

また著者らは、イソマルツロースは高温で調理されるとカラメル化し、血糖反応を高める可能性があるため、その使用には慎重な検討が必要だと指摘しています。この研究は、作り替えたカオラムを食べた直後の血糖と食欲の反応を、健康な成人で実際に確かめた報告といえます。

原著論文の著者・所属:Phutthida Kongthitilerd(1Nutrition and Dietetics Division, Faculty of Allied Health Sciences, Burapha University, Chonburi, Thailand)、Rungsima Daroonpunt(1Nutrition and Dietetics Division, Faculty of Allied Health Sciences, Burapha University, Chonburi, Thailand)、Tanu-udom Maneesing(2Exercise and Nutrition Innovation and Sciences Research Unit, Burapha University, Chonburi, Thailand)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Phutthida Kongthitilerd, Rungsima Daroonpunt, Tanu-udom Maneesing. Postprandial Glycemic and Appetite Responses to Amorphophallus Konjac–Substituted Roasted Sticky Rice in Bamboo Joints (Khao Lam): A Randomized, Double-Blind, Controlled Crossover Trial in Healthy Adults. Current Research in Nutrition and Food Science Journal 2026-08-31. DOI: 10.12944/crnfsj.14.2.16. 原著ライセンス:CC BY.