掲載誌:The Journal of Almaty Technological University
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
家畜の生産性を高めて良質な畜産物を得るには、エネルギーやたんぱく質、ミネラルなどを家畜の必要量に合わせて調整した飼料が欠かせません。カザフスタンの研究チームは、たんぱく質を多く含む飼料原料の価格上昇や品質低下によって、栄養バランスのとれた配合飼料が不足していることを課題として挙げています。
著者らは、食肉や穀物、油脂などの加工業で生じる副産物、たとえば血粉、骨粉、トウモロコシグルテン、大豆かすを飼料原料として活用できる点に着目しました。研究の目的は、こうした副産物を使った「飼料強化濃縮物」と、それを配合した乳牛用飼料を開発し、品質を高めながら生産コストを抑えられるかを確かめることです。飼料強化濃縮物とは、配合飼料に混ぜて栄養を補う濃縮原料のことです。
濃縮物の配合と給与試験の方法
研究チームは、トウモロコシ飼料、トウモロコシグルテン、大豆かす、小麦ふすま、血粉、骨粉、リン酸三カルシウム、石灰、食塩を組み合わせた配合を計算で設計しました。そのうえで試験生産用のロットを製造し、成分やエネルギー価、栄養価を評価しています。論文の要旨によると、小麦ふすまの一部を血粉、骨粉、トウモロコシグルテンに置き換えることで、消化されるたんぱく質の量が65〜75%増えたとされています。
続いて、ある農場で泌乳の主要な時期にある乳牛30頭を用いた飼養試験が行われました。乳量や体の状態がそろうように、牛を10頭ずつ3群に分けています。対照群には農場で従来使っていた配合飼料を与え、二つの試験群には、配合飼料の20%または25%を飼料強化濃縮物とした飼料を与えました。
評価の中心は1日あたりの乳量です。乳脂肪率の違いを考慮して比べるため、乳脂肪率3.4%を基準とした換算乳量も算出しました。あわせて、牛乳1kgの生産に要した飼料の量を、飼料の栄養価を示す単位である「飼料単位」で記録しました。分娩後30日目と90日目には牛乳を採取し、固形分、たんぱく質、脂肪などの成分も調べています。
主な結果
試験期間中の1日あたり乳量は、対照群が18.5kgだったのに対し、20%群は19.1kg、25%群は19.8kgでした。乳脂肪率3.4%に換算した乳量は、対照群の19.64kgに対して、20%群が22.31kg、25%群が21.82kgと報告されています。
牛乳1kgの生産に要した飼料は、対照群の0.83飼料単位から、試験群では0.80と0.79飼料単位に減りました。著者らはこの結果を、飼料に含まれる栄養がより効率よく乳に変わったことを示すものと解釈しています。
乳成分については、試験群で乳脂肪率などが対照群をやや上回る傾向がみられました。たとえば分娩後90日目の乳脂肪率は、対照群3.74%に対し、試験群では3.86%と3.91%でした。経済面では、濃縮物を配合飼料の20〜25%に用いた条件で、牛乳の生産原価が2.1〜2.6%下がったと報告されています。
研究が示すこと
この研究は、加工業で生じる血粉や骨粉などの副産物を乳牛用の飼料強化濃縮物として活用する一例を示しています。30頭を対象にした今回の試験では、濃縮物を配合した飼料を与えた群で、従来の飼料を与えた群よりも乳量が多く、牛乳1kgあたりに必要な飼料が少ないという結果が得られました。副産物を飼料資源として生かすことが、乳生産の効率化につながる可能性を示した報告といえます。
原著論文の著者・所属:Zh. S. Alimkulov(Kazakh Research Institute of Processing and Food Industries LLP)、A. A. Amantayeva(Kazakh Research Institute of Processing and Food Industries LLP)、K. T. Shayliyeva(Kazakh Research Institute of Processing and Food Industries LLP)、K. N. Fazylova(Kazakh Research Institute of Processing and Food Industries LLP)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Zh. S. Alimkulov, A. A. Amantayeva, K. T. Shayliyeva, et al. Feed enrichment concentrate for farm animals. The Journal of Almaty Technological University 2026-09-30. DOI: 10.48184/2304-568x-2026-3-5-13. 原著ライセンス:CC BY.