著者の所属・活動拠点の国は、サウジアラビアです。

掲載誌:Foods

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

私たちが日々口にする食品は、収穫したままに近いものから、工場で多くの工程を経て作られるものまでさまざまです。食品を加工の程度で分ける方法の一つに「NOVA分類」があり、食品を「未加工または最小限の加工の食品」「調理用の加工素材」「加工食品」「超加工食品」の4群に分けます。超加工食品とは、工業的な処理を何段階も経て作られる製品を指し、清涼飲料やスナック菓子、出来合いの食品などが含まれます。

著者らによると、超加工食品を多くとる食事は、エネルギーや砂糖、飽和脂肪、ナトリウムが多くなりがちで、肥満や2型糖尿病などとの関連もこれまでの研究で報告されています。超加工食品を控えるには、まず食品の加工度を正しく見分けられることが前提になります。しかし、見分ける力が実際の食べ方や栄養摂取と関係しているのかについては、とくに中東の人々を対象とした知見が限られていました。

そこで研究チームは、サウジアラビアの大学生を対象に、食品の加工度をどの程度正しく認識できるかを調べ、その認識と食品の摂取パターンや栄養摂取との関連を検討しました。研究チームは、加工度をよく見分けられる人ほど食習慣や栄養摂取がより望ましいという仮説を立てていました。

どのように調べたか

調査はサウジアラビアのキング・アブドゥルアジズ大学の18〜30歳の学生403人を対象に、ある一時点の状態を調べる「横断研究」として行われました。参加者はオンラインのアンケートで、16種類の食品の写真を見て、それぞれが「最小限の加工の食品」「加工食品」「超加工食品」のどれに当たるか、または「わからない」かを答えました。16品目は、焼いた鶏肉、卵、白米、バナナ、デーツ、レタス、ブラックコーヒー、紅茶という最小限の加工の食品8種と、包装された白パン、市販のチキンバーガーとビーフバーガー、チョコレートバー、クッキー、清涼飲料、エナジードリンク、包装されたフライドポテトという超加工食品8種です。

正しく分類できた品目の数を0〜16点の「知識スコア」とし、あわせて各食品を過去1か月にどのくらいの頻度で食べたかも尋ねました。頻度は1日あたりの摂取回数に換算され、超加工食品の摂取スコアとして合計されました。さらに、このうち190人については、平日と週末の2日分について前日に食べたものをすべて記録してもらう方法で、実際の食事内容と栄養摂取を詳しく調べました。

主な結果

まず、超加工食品という言葉の意味を知っていたのは403人中58人にとどまり、半数を超える235人はこの言葉になじみがありませんでした。

食品の分類では、超加工食品のほうが見分けにくい傾向がありました。とくに包装された白パンは正しく判定されにくく、参加者の9割が超加工食品だと認識できていませんでした。これに続いて、フライドポテト、クッキー、チョコレートバー、市販のハンバーガーも正答率が低い品目でした。一方、デーツ、バナナ、レタス、卵、焼いた鶏肉は正しく分類されやすい食品でした。著者らは、包装パンのような食品は工業製品ではなく主食として受け止められやすいことを指摘しています。

知識スコアと食べ方の関係を見ると、加工度をよく見分けられる人ほど超加工食品の摂取が少ないという関連が見られました。年齢や性別、収入、身体活動、喫煙、睡眠時間などの影響を統計的に調整した後でも、知識スコアが1点高いごとに超加工食品の摂取スコアが約0.24低いという関連が統計的に有意に残りました。

詳しい食事調査を行った190人では、超加工食品から1日平均約978キロカロリーをとっており、最も多かったのはパン・焼き菓子類、次いで調理済み・温めるだけの食品、加工肉でした。知識の低いグループでは脂質、トランス脂肪、飽和脂肪の平均摂取量が多く、知識の高いグループでは食物繊維が多い傾向が見られました。ただし、年齢を調整した比較では、こうした栄養摂取の差はいずれも統計的に有意ではありませんでした。

この研究が示すこと

この研究は、サウジアラビアの大学生の間で、身近な超加工食品、とくに包装パンやフライドポテト、市販のハンバーガーなどを見分ける知識に大きな空白があることを示しました。また、加工度を見分ける力と超加工食品の摂取の少なさとの間に関連があることも報告しています。

一方で、著者らは解釈に慎重さを求めています。一時点の調査であるため、知識があるから食べ方が変わるのか、健康的な食生活の人が知識を得やすいのかは区別できません。健康への関心の高さなど測定していない要因が影響している可能性や、食事内容が自己申告であること、質問票が正式な検証を経ていないこと、1つの大学の学生に限られていることも限界として挙げられています。また、教育や表示の取り組みの効果はこの研究では評価されていません。

それでも、食品の「加工の度合い」は見た目だけでは分かりにくく、その理解が日々の食べ方と結びついている可能性を示した点に、この研究の意味があるといえます。

原著論文の著者・所属:Wajd D. Alomari(Department of Food and Nutrition, Faculty of Human Sciences and Design, King Abdulaziz University, Jeddah 3270, Saudi Arabia)、Noha M. Almoraie(Department of Food and Nutrition, Faculty of Human Sciences and Design, King Abdulaziz University, Jeddah 3270, Saudi Arabia)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Wajd D. Alomari, Noha M. Almoraie. Recognition of Food Processing and Its Association with Consumption Patterns and Nutrient Intake Among Saudi University Students. Foods 2026-08-22. DOI: 10.3390/foods15172955. 原著ライセンス:CC BY.