皮を割ると赤い果肉がのぞくいちじく 生は、洋なしのような丸みを帯びた形をしていて、酸味が少なく甘いのが持ち味です。7月末のこの時期に出回るのは、実が大きく育つ夏果と呼ばれるもので、いちじくの旬は9月、8〜11月にかけて出回るとされます。今はまだそのさきがけ、走りの時期にあたります。ひと足早くこの果実に出会える贅沢を、まずは味わっておきたいところです。
この甘さの正体は何かというと、成分表を見ると答えがはっきり出ています。100gあたりの糖類はぶどう糖5.6g、果糖5.2g(いずれもMEXTの推定値)で、ぶどう糖のほうがわずかに多くなっています。つまりいちじくの甘みの主役はぶどう糖であり、酸味の少なさと相まって、みずみずしくすっきりした甘さを感じさせてくれます。酸味の面では、りんごにも含まれるリンゴ酸が100gあたり0.1gと、果実の呈味を支える酸としてわずかに存在します。控えめな酸に支えられているからこそ、いちじく特有の食べやすさが生まれているのでしょう。
選び方は皮の赤みがヒントになります
いちじくは皮の赤みが強いほうが甘みがあるとされます。店先で選ぶときは、色づきの濃いものを手に取ってみるとよいでしょう。エネルギーは100gあたり57kcal、炭水化物14.3g、食物繊維総量1.9gと、果物としては控えめな部類に入ります。甘さの割に後味がすっきりした果実なので、皮の赤いものを選んで丸ごと味わえば、ぶどう糖由来の甘みをしっかり楽しめます。
今だからこそ生で、扱いにはひと工夫を
いちじくは日もちしにくい果実なので、買ったらできるだけ早く食べるのが基本です。保存の目安は冷凍でまるごと1カ月、冷蔵で5日ほど。すぐに食べきれないときは、ラップで包んで冷凍しておくとよいでしょう。皮や葉に触れると刺激を感じることがあるので、素手で長く扱うときは軽く気をつけておくと安心です。冷やして生のままシンプルに味わうのが、この時期らしい楽しみ方です。ヨーグルトに合わせたり、生ハムと一緒に前菜にしたりと、酸味の少ない甘さを活かした食べ方が向いています。秋になり濃厚な秋果が出回る頃には、今度はじっくり煮詰めたジャムで違った味わいを楽しむのもよいものです。
まとめ
いちじくの甘さは、ぶどう糖と果糖を中心とした糖類によって支えられており、なかでもぶどう糖がわずかに多くなっています。酸味の少なさもあって、果物のなかでも食べやすい部類に入る一品です。皮の赤みという分かりやすい目印を頼りに、今のうちに走りの夏果を味わっておけば、秋にやってくる濃厚な秋果との味の違いも、より楽しみになるはずです。
※本記事は日本食品標準成分表(八訂)のデータ等をもとに作成しました。
栄養素のはたらき・摂取基準の記述は、次の公的資料に基づきます:厚生労働省 食事摂取基準