7月、沖縄や宮崎の畑ではにがうりが盛りを迎えている。旬は6〜8月とされ、いままさに最盛期にあたる時季だ。緑の濃い表皮に無数のこぶをまとった紡錘形の実は、沖縄の方言で「ゴーヤー」、和名では「ツルレイシ」とも呼ばれる。果肉に宿るあの苦みこそが持ち味だが、実はその苦みの強さは一本ごとに違う。見分け方を知っているかどうかで、この夏いちばん美味しいにがうりに出会えるかが変わってくる。
ポイントは果皮のこぶと色だ。表皮のこぶが大きく、緑色が薄いものほど苦みは少ないとされる。逆にこぶが小さく詰まっていて、緑が濃く締まっているものは苦みが強い傾向にある。「苦味が出にくいもの」を選ぶなら、こぶがしっかり大きく張って、色がやや淡いものを手に取るとよい。苦いものが好きな人はその逆を選べばいい。同じ野菜売り場に並ぶ一本一本が、実は苦みの強弱を語っているというわけだ。
15kcalの軽さと、際立つビタミンC
にがうりは100gあたりたんぱく質1g、脂質0.1g、炭水化物3.9g、食物繊維は2.6gと、軽やかな夏野菜らしい顔ぶれだ。そのぶん際立つのがビタミンCで、100gあたり76mgを含む。これは女性30〜49歳の推奨量100mg/日の76%にあたる量だ。ビタミンCは抗酸化やコラーゲンの生成に関わり、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素とされる(詳しくは日本人の食事摂取基準を参照)。もう一つ、体内でビタミンAに変わるα-カロテンも100gあたり93µg含まれている。
ビタミンCは水に溶けやすい性質を持つ。にがうりを下ゆですると、水中にビタミンCやビタミンB群の大半が流れ出てしまうとされる。だからこそ、にがうり料理は手早く仕上げるのが鉄則になる。
苦みを活かす、下ごしらえの一手間
皮の苦みが気になるときは、塩をふって熱湯にさっとくぐらせるか、直火であぶるとやわらぐ。下ゆでのようにビタミンを大きく損なうことなく、香ばしさや口当たりのやわらかさを添えられるのが利点だ。わたと種を取り除いた分は廃棄率15%として計算されており、残りの果肉と皮を薄切りにして炒め物や和え物にすれば、シャキッとした食感と苦みを存分に楽しめる。卵や豆腐と合わせて炒めれば、まろやかさが苦みをやわらげ、夏の食卓の定番になる。
保存にもコツがある。にがうりは切らずに丸ごとであれば冷蔵で3週間、冷凍なら1カ月ほど保存が利く。わたや種は天日に干せば4日ほど保存できるので、丸ごと使い切る楽しみもある野菜だ。
見分け方を知って、夏の食卓を涼しく
こぶの大きさと緑の濃淡——そのわずかな違いを見比べるだけで、今日食べたい一本を選べるようになる。苦みが苦手な人はこぶの大きい淡い色の実を、苦みを楽しみたい人は締まった濃い緑の実を。にがうりは選び方ひとつで表情を変える野菜だ。次に売り場に立ったら、こぶを指でなぞりながら、今日はどちらの苦みを迎えようかと選んでみたくなる。
※本記事は日本食品標準成分表(八訂)および日本人の食事摂取基準(2025年版)のデータ等をもとに作成しました。
栄養素のはたらき・摂取基準の記述は、次の公的資料に基づきます:厚生労働省 食事摂取基準